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750

8階の 窓 開いている 暖かくて 空が高くて
慌てて閉める

749 題詠「小説」

夏彦の棚に夏彦詰め終えて 隙間まだあり 登美彦詰める

748 題詠「栗」

あの秋に集め帰りし団栗は皆消え失せて 吾ばかり 今

747

終電に乗って流れてゆくわたし
明日経由で終着駅へ

終点を告げる車掌の声しずか
眠る児は寝たまま降りて行く

746 つれづれなるにく

題詠「鶏」
二十五時 電子レンジで湯気を吐く サラダチキンよ 汝に罪無し

題詠「ベーコン」
長きもの 長いままでは いられない
切られたり縮んだり ベーコンみたいに

題詠「羊」
毛糸編む きっと銀河の真ん中は
ひつじのつむじのようなうずまき

題詠「ソーセージ」
ソーセージ 湯の中でごろごろもがく
今世の仏は ゴム箸を使う

題詠「牛」
表面をさっと炙って
生き物のいのちの赤を薄らげて喰う




745 題詠「ハム」

生ハムとハムの違いを考える 生のかたちはいびつで自由

744 赤子泣く家の上階に居り

生後数日の赤子に
生後数日の叔母(しゅくぼ)は
なす術も無く

母共のみな眠り果て 吾ばかりが紅茶片手に歌もてあそぶ

つま先の爪まで赤く 嬰児の声は血潮の渦巻くが如し

ほんとうに おぎゃあおぎゃあと児等は泣く
桃も流せば どんぶらこと鳴る

743 題詠「削」

本当なら何万字でも良いそれを 三十一文字に削る僕らは

742 題詠「蟻」

遊びつつ 時に働き 生きていく
夢ならアリ寄りのキリギリス

741

訊かれないと何も言えない
僕によく似た肝臓に所見があって

740

いつの間にか死刑反対派になっていた
赦されないことが怖くなった

739 題詠「ツナマヨ」

「丁寧に暮らす女性」の死を看取り ツナマヨごはんに海苔巻いて食う

738 題詠「隣」

咳続く隣の老爺を窓越しに見やる時吾は夜叉の眼をして

737 題詠「訳」

訳ありの林檎に訳は聞かないで傷ごと剥いてあげるやさしさ

736

もうここは白髪の毛穴 ああここも白髪の毛穴 いずれすべてが

735

焼き鳥の香が猛毒であるごとく 背き逃げ帰る禍中の吾は

734 題詠「湯」

お湯はあと何分で沸く 蓋裏の猫のおじぎはぺこぺこと鳴り

733

秋晴れの高き空より水の降り
慈雨と陽光に満つ君が生

732 題詠「枯」

誰にも話すなと祖母は云う 枯れ井戸の 冬の正午にのみ見える骨

731

新しき人生まれ来る明日なれば
総ての悪よ 今日迄に滅べ
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