真珠色の粉を叩き、色とりどりのヒオウギガイで目元を染めて、珊瑚色の紅をひく。爪はサクラガイ。髪は海藻色の絹糸。身体に纏うのは優しい母なる水と冷たく海底を照らす光。それと、朽ちていく前に魚たちが脱ぎ捨てた鱗で編まれた衣を羽織ゆらゆらゆらり、とただ踊る。上も下も右も左も前も後ろもない世界で。

吸い込むものはいつだって潮の香りに溢れている。いつだって同じ様でいて全然違う。青かったり黒かったり翠だったり蒼く染まり碧く朱く上から見ると解らないのに、ひと度なかへ入ってみるとなんと鮮烈な色達。魚も岩も珊瑚や海藻や水さえも同じ色ではなくて。

私は祈るように手を合わせて目を閉じた。時に暴力的に荒れ狂い私たちやこの上の世界で漂うモノを振り回し、命さえも奪い気紛れでそれでいて優しく包み込みながら死を囁くこの海は、嗚呼なんて愛おしいのか。


人魚×海の女神 で百合

最終的には一緒に朽ちて沫になり其処から真珠色の髪 チョウチョウオの瞳 シイラの爪に珊瑚色の唇を持つ海の魔女が産まれて海底の巨人と結ばれ新たな海の女神を産みおとすけど、女神は先代と一緒に朽ちた人魚の親族に心を奪われ最終的に無理心中で歴史は繰り返す。


天空の女神が海の女神と朽ちた人魚の魂を沫と水の中から拾い上げて、形を調えまた海底へと還し転生させるから互いに求めあい削りあい消滅を繰り返す。どれだけ同じ運命を繰り返そうと二人を愛する天空の女神は、彼女達を拾い上げ海へ還す事をやめられない。眠らせてあげられない。



絹糸は天からの贈り物。蚕が吐き出した糸を天空の女神が少しずつ海へと垂らしていく。糸は海へ溶け込み海中に住まうモノの色を吸い込み人魚の髪となる。




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-エムブロ-