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ACT9-(2)

「…………で、何しに来たんだ。お前。」
「何って、僕達も桜庭市のハロウィン祭に参加するんだ。
何処が悪いんだ?」
「………もう少し、自分の立場っていうのを考えろ。智仁。」
「………すみません、止めたのですが。」
「あぁ、姉さんは悪くない。姉さんはな。」

綿貫家の別邸で、芳樹は智仁と綾子を出迎えていた。
「ねぇねぇ、芳樹にーには仮装しないの?」
「俺は仮装するよ。和泉守兼定に。」
「じゃあ、満月ねーねは堀川国広?」
「ああ、そうだよ。………まったく、幸仁と幸子は智仁に似なくてよかった。」
「可愛いところは似ているだろう!?」
「どちらかと言えば姉さんにクリソツだけどな。」
「………僕、悲しいぞ。」

「悲しいとか言っている割には顔が笑っているんだけど?」
「あはは、バレたか。」
「バレたか、じゃねぇわ!!胃が痛くなる、ホントに…………。」
「ところで満月ちゃんは迎えに行かなくていいのかい?」
「ウルセェ。和泉守が行っているから、いいんだよ。」
「やれやれ、大変なことだ。」
「誰のせいだと思っているんだ!」

「………ただいま、帰りました。………あれ?」
「智仁様、綾子様。いらっしゃっていたのですか?
それに幸仁様と幸子様も。」

ちょうど満月と物吉が帰ってきて芳樹はパァ、と顔を明るくした。

「お帰り、満月ちゃん!」
「お邪魔しているぞ、満月ちゃん。」
「お帰りなさい、満月。物吉。」

「はい、ただいま帰りました!」

「……………ああ、そうだ。ところで知っているか。」
「何をだ?」

「この時期になると決まって現れるギランボと言うのを。」

「………あれか?ウルトラマンティガに出てくる、異次元人の。」
「…………というかこの時期になると現れましたっけ?」

顔を見合わせる芳樹と満月に智仁はふむぅ、と呟いた。

「つまらんな。………他の都市で、決まってハロウィンになると行方不明になる子達が続出しているんだ。」

「ハロウィンが終われば帰ってくるのですが。
皆して、同じ存在の手によって行方知らずになったと言うのです。
何分、気味が悪いということで今、桜庭市も対応に困っているのですよ。」
「……………そりゃ、対応に困るな。」
「でも、ハロウィン祭は開催するんですよね?」
「今のところは、な。ただ、子供達だけで行動するなとは釘を刺しても、
なかなかに言うことを聞いてはくれん。
だから、警察を動員して警戒に当たることにはしているんだが………。」
「何人かは行方知らずになるでしょうね。」
「…………そんな恐ろしいこと言わないでくれ、と言っても、ここは桜庭市だからな。」
「闇呪の動きも気になりますけど…………。」
「………そう、闇呪についてもだな。
闇呪とギランボの関係性は不明だが、闇呪が人間に手を出したりしたらそれこそ一貫の終わりだ。
あいつらが人並の知性を持ちだしたら、洒落にならん。
………というわけで、闇呪とギランボに警戒しつつ、ハロウィン祭を決行するということになった。」
「なった、じゃねぇよ。ただ単にお前がハロウィン祭に参加したいだけだろ。」

「義弟がいじめる〜。」
「………何でそうなる!?」

「………芳樹にーにとお父様、仲が良いね。」
「うん、仲が良いね。」


続く。

ACT2-(1)

「いやぁ、だいぶすっきりしたな。」
「大した事なかったね、ここのモンスター達は。」
「そりゃ、上級者向けのクエストじゃないんで…………。」
「……うーん、そんなに美意識に反するのかなぁ?」

モンスター達をボコってく芳樹と智久に、律と幸太は呆然とし
満月と物吉は苦笑した。


芳樹 魔法剣士
満月 魔女
物吉 召喚士
智久 諜報員
鶴丸 剣士
律 アサシン
幸太 魔法剣士

「…………データとしてはまぁ、悪くはないか。でも、人数が7人っていうのはキツイな……。」
「奇数ですから、偶数で割ることできませんしね。」
「……何か女性率が高いような気がする。律以外。」
「何ですって!?」
「幸太君、幼馴染は大事にしといた方がいいぜ。
苦労はするけどな。」
「そうだよ、後になって幼馴染が居て良かったっていう場面が絶対に出てくるから。」
「きちんと女性扱いしないとダメだよ?」
「そうですね。女性は繊細ですから。」
「ええ、チキンハートですからね。」
「………何で俺駄目出し食らってんだ?」

「アンタが余計なこと言うからでしょ!?」

「…………うーん、まぁ………2つのクエストを同時進行はできないからこの際諦めるか。」
「そうだな。それにせっかく職業がバラバラなんだ、それを活かしたクエストに参加するのも
手だぜ?」
「ですね。」
「………これ絶対、智仁が見たら僕も参加するーって言いそうだな。」
「………やめてくれ。まぁそもそも姉さんにストップをかけられるから、参加するってことは
ないと思うけど。」

「………え?芳樹さん、お姉さんいるんですか?」
「20歳になったと同時に皇室に嫁いだ姉がいるよ。2歳年上だけどね。」
「綾子お義姉様、文武両道かつ詩歌管弦にも秀でて大変聡明なお方ですから。
憧れの女性です。」

はにゃーん、と顔を緩ませる満月に幸太は律と顔を見合わせた。

「………そんなに凄いのか、綾子さんって人………。」
「………そりゃ、世界有数の巨大複合企業グループの令嬢だったら、
良妻賢母としての教育を施されていてもおかしくないわよ………。」

「………だよな。」
「うん。」
「…………俺達フツーでよかったかも。」
「………そだね。」


続く。

ACT9-(1)

「…………ハロウィンってキリスト教の祭りじゃないのにね。」
「死者の魂が家に戻った時に機嫌を損ねないように、
食べ物や飲み物を用意するのが伝統ですからね。」
「ケルトの古いお祭りが今じゃ、宗教から離れてしまっているとはねー………。」
「アメリカじゃど定番ですよ?」
「……ま、お菓子を貰いに行くのは楽しいんだけど………。
今年もたくさんお菓子を用意しないとね。」
「そうですね。」


桜庭市では毎年10月31日に、ハロウィンにちなんだフリマなどが開催される。
聖ミカエル女学院でも、一部の部活や生徒が参加しており、
満月達も参加することになった。

「……………ちなみにお嬢様、何に仮装するんですか?」
「え?堀川国広。」

「…………………魔女とか、妖精じゃないんですね。」
「いやだってさ、1度でいいからやってみたかったんだよね。堀川国広。
それを堀川に言ったら嬉々と喜んでいたよ?」
「それはそうですよ、とうらぶ違いとはいえ自分に仮装してくれるんですから。
喜ぶのは当たり前です。」
物吉の言葉に満月はあはは、と笑った。

「ちなみに若旦那様には?」
「もう伝えてるよ。
芳樹さん、『だったら俺は和泉守兼定になればいいの?』だって。」
「…………若旦那様らしいですね。まあ、用意はしますが。」
「ありがとう、物吉!」



続く。

ACT8-(6)

厳かな雰囲気の中、世界遺産登録20周年記念行事は行われ、無事に終了した。
ぞろぞろと帰っていく観客達は口々に凄かったね、とか綺麗だった、とか言って
神社を後にした。

「………………はぁ、疲れた………。」
「お嬢様、お疲れ様でした。皆さんも。」

「………本物の刀はもう扱いたくないよぉ………模造刀で十分。」
「まあ、普通はそれが1番良いよね。」

刀の姿から人の姿になった守り刀達は、誠達を労った。
「さて、智仁達もホテルに戻っているだろうから、俺達も戻ろうか。」
「今頃、大広間を貸し切っているでしょうね………。」
「お、宴会でもやるのか?」
正宗の問いに和彦はおうよ、と頷いた。
「智仁は賑やかなのが好きだからなぁ、酒用意していると思う。」
「……………ちょっとそれだけは勘弁して欲しいかもしれないです…………。
綾子お義姉様の方がお酒に強いんですから…………。」
「へぇ、そうなんだ。」

「さて、最後に参拝をしてホテルに帰ろうか。
皆、今日はお疲れ様でした。」

祐一の言葉に全員はぐったりしながらも、はーいと返事をした。


続く。

ACT8-(5)

そして、世界遺産20周年記念奉納行事当日。
観客達は厳かな雰囲気が漂う境内を訪れた。

「白いマフラーは必ず着用してください!」
「正式な衣裳の代わりになりますので、必ずです!」

スタッフの指示に従い、観客達は白いマフラーをつける。


「…………今日は晴れて良かったですね。」
「そうだね。」

「……………………でも緊張するな。本物の刀を持つ日が来るなんて。」
「普段通りでいいんだ、普段通りで。」
「そうそう、普段通りでいいんです!」

緊張する誠に和彦と幸人はそう言った。

「それでは本番行きます、皆さんよろしくお願いします。」
「はーい。」

「それでは行くとしますか。」

綾人の言葉に全員が頷き、境内へと向かった。

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