スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

責任をもって育てましょう。そのA

「…………ってまたかい。」

病院の前に捨てられたイーブイ達を見て、ヒスイはポツリと呟いた。

「………ここ、保護施設でもなんでもないんだけど。病院なんだけど。わかってやっているのかな?」

ブイブイ、と鳴いているイーブイ達を見て、ヒスイは看護師長と共にため息をついた。

「まったくもう、ポケモンフーズのお金だってタダじゃないんですよ。
ヒスイさんが善意で出してくれているんですけど、限度ってもんがあります。限度ってもんが。」

ヒスイによってフルボッコにされたトレーナーが警察に連行されるまで、
看護師長はいちゃもんをつけた。

「………………というわけで、面倒かもしれませんけどイーブイ達の世話をお願いしてもいいですか?」

看護師長の言葉に小児科病棟にいる子供達ははーい、と挙手した。

「退屈しないから良いよー!」
「イーブイ、可愛いもんね!」
「どれに進化させるか迷っちゃうよねっ。」

和気藹々と話をする子供達にイーブイ達はつぶらな瞳をヒスイに向けた。

「大丈夫、この子達はピチューをピカチュウに進化させた実績があるから。
それに可愛がってくれるし、心配はいらないわ。」

「…………ない。」


「………タクマ君、どうしたの?」
「許せない、自分の身勝手な都合でイーブイ達を捨てるなんてトレーナー失格だよ!!
僕も言葉の暴力でフルボッコにしたかった!」

「………………タクマ君、気持ちはわかるけど落ち着こうか。」

「あまり叫ぶと心臓に悪いわよ。」

「叫ばずにはいられないもん!」

「そうだねぇ、身勝手なことをするトレーナーも世の中にはいるもんね。
でも今、タクマ君がするべきことはイーブイ達のケアをすることなんじゃないかな。」
「………ケア?」
「そう。人間不信にならないように、仲良くしてもらうこと。
それがタクマ君の課題。」

「…………ヒスイお姉ちゃん…………。」

「ま、頑張れ、少年!」
「……………うん!」


タクマをはじめとする子供達のケアにより、イーブイ達はそれぞれ進化することができたとか。






終わり。

責任をもって育てましょう。

「………ああ、これはピチューだね。」
「うちの病院に捨てられても困るんだけどなあ………。」

その日、病院の玄関口に段ボールの中に入ったピチュー達が発見された。
その数、8匹。

段ボールには『育ててください』と言う文字が書かれており捨てられたことが一目瞭然であった。

「どうします?」
「………小児科で預かってもらう?イーブイとラルトス、ミミッキュがいることだし。」
「いいかな?」
「ああ、良いですよ。ヒスイさんにピチューの取り扱い方、教わりますから。」
「すまんねぇ。」
「いえいえ、子供達も喜びますよ。」

そんなわけで、ピチュー達は小児科に預かってもらうことになった。

「うわあ、可愛い!!」
「ホントだ!」
「僕達で育てていいの!?」
「ええ、良いわよ。ただし、最後まで責任もって面倒を見ること!」
「はーい!」
ピチュー達はぽかんとした様子で子供達を見ていた。
「驚かせてごめんね、ピチュー達。この子達、ポケモンが好きなの。
貴方達を捨てたりはしないから、大丈夫よ。」
看護師の言葉に安心したのかピチュー達は互いに抱き着いたりして泣いた。
「あわわ、大丈夫!?」
「こういうところに捨てられたんだもんね、仕方がないよ!」
「泣きたい時は泣いちゃえ!」
よしよし、とピチュー達を抱きしめる子供達に看護師は逞しさを感じた。
「この仕事やってて良かったぁ…………。」


「…………よっくも病院にピチュー達を捨ててくれたわね…………。」

一方その頃、ヒスイはピチュー達を捨てたトレーナーをボコボコにした。
防犯カメラに一部始終が映っており、ヒスイは病院近辺を調べ、特定したのだ。
そしてボコボコにした後、ヒスイはトレーナーを警察に連れて行った。

「ああ、ヒスイちゃん。お疲れ様。ボコボコにしてくれてありがとうね。」
警察署から帰ってきたヒスイは看護部長の出迎えを受けた。
「で、やっぱり廃人だったのかい?」
「ええ、そうみたいです。
最初から育てられないなら、辞めればよかったのに。」
「そうだねえ。ポケモンも生きているからね。
でもまぁ小児科預かりになったし、子供達には人気みたいだし。
まぁ、いいんじゃないかな。」
「そうですね。責任もって育ててくれたらトレーナーとしても嬉しいですし。」

「うん。」



終わり。

幽霊騒動

「…………でね、ここ毎日不規則になるんだけど変な声がするのよ。
それで夜勤の看護師がすっかり怯えちゃってね。
ヒスイちゃん、どうにかしてくれないかな?もちろんお礼は出すわ。」
「………ゴーストタイプでも住み着いちゃったのかなぁ?」

とある日の午後。小児科病棟でルリの相手をしていたヒスイは看護師から話を聞いた。
何でもここ最近、夜な夜な変な声がするらしいのだ。
時間は特に決まっておらず、不規則であるため夜勤の看護師がすっかり怯えてしまい
業務に支障がきたすようになったらしい。

「…………まぁ、確かに病院ってあっちとこっちの境界線があやふやだったりするから………。」

夜になり、ヒスイはヒトモシ、ランプラー、シャンデラを連れて薄暗い病棟を歩くことにした。

「…………夜の病院って案外、静かなのね…………。」
「…………うん、そうだね。ヒスイお姉ちゃん。」

わらわらとついてきたルリにヒスイはため息をついた。
ルリも夜な夜な聞こえる変な声が気になり、昼寝をしたのだ。

「ホントに怖くないの?」
「えー、だって夜勤の看護師さんが怯えちゃっているぐらいの声って何だろう?って凄い気になるんだもん。」
「良い子はとっくに寝てる時間なんだけどなぁ…………。」

ルリの足元にいるラルトスとイーブイはにこにこと笑っている。


「………お姉ちゃんはポケモンだって思っているの?」
「多分だと思うんだけどね。…………まぁ、ここの病院ってお祓いとかそういうのをきちんとしているし、
取りこぼしはしていないと思うんだけど…………。」


ヒスイがそこまで言った時、変な声が聞こえてきた。

「………あそこかしら。シャンデラ、<シャドーボール>!」

ヒスイの指示でシャンデラは<シャドーボール>を繰り出した。

「当たった?」
「様子見でのワンショットだからね………。」

「……キュ?」


「……………ん?」
「……………あ、ミミッキュだ。しかも色違い。………あー、無傷か。」


「え?何で?」

「………ミミッキュの特性は<ばけのかわ>って言って、1度だけ攻撃を無効化するのよ。
野生のポケモンが病院に入り込むなんて、迷子になったのかしら。」

「ねーねー、お姉ちゃん!私、ミミッキュが欲しい!!」

「………言うと思った。ヒトモシ、ランプラー、<はじけるほのお>!シャンデラ、<シャドーボール>!」

3匹の攻撃を受けて、ミミッキュは吃驚し、外に逃げようとした。


「逃がさないわよ、行け、ダークボール!」

ヒスイが投げたのは暗闇や洞窟の中で捕まえやすくなるダークボールであった。

ダークボールはミミッキュの体に当たると、そのまま収納した。
左右に揺れること、3回。
カチッ、と言う音がして、ミミッキュはゲットされた。

「よし、これで事件解決。………………ってん?」

ぐすんぐすん、という鳴き声にヒスイは顔を青くした。

「………………え、もしかして本物の幽霊……………?」

顔を真っ青にするルリ達を庇う形でヒスイが前に出ると、半透明のパジャマを着た少女が現れた。

「……………寂しいの。ミミッキュは私に気づいて遊んでくれていたの…………。」

「………………そっか、ミミッキュもゴーストタイプを持っているから貴女に気づいたのね。
でも、貴女も逝くべきところに逝かないと、ダメだよ。」

「…………………うん。お願いがあるんだけど良い?」

「良いよ。何?」

「………パパとママのところに生まれてきて幸せだったよ、って伝えてくれる?
後、看護師さん達にわがまま言ってごめんなさいって。」


「…………わかった。伝えるわ。」
「ありがとう、お姉ちゃん。ミミッキュのことをよろしくね。」

にっこり笑い、少女はスーッと消えて行った。

「…………さ、てと。私達も帰って寝るか。」
「うん。……何か全然怖くなかったね。」


「…………そうだね。」



終わり。

明けましておめでとう。

「というわけで、ルリ。お年玉。」
「わぁい、ヒスイお姉ちゃんありがとう!」
病院の小児科病棟でヒスイは長期入院しているルリにお年玉を渡した。

「ヒスイ、悪いわね。貴方にだってお年玉あげたかったんだけど………。」
「トレーナー戦でがっぽり稼いでいるからいいの、ママ。
それに、幾らか負担できたんだし、これでようやく親孝行ができたわ。」
「……そうね、できた子で嬉しいわ。」

よしよし、と母親に頭を撫でられてヒスイは照れた。

「イーブイ、ラルトス。ルリの面倒見てくれてありがとうね。」

母親に声をかけられてイーブイとラルトスは良い返事をした。

「ホントにすまんな、ルリ。なかなか見舞いに来れんで。」
「仕方がないよ。パパもママも私の入院費を稼ぐために頑張っているんだもん。
それにお姉ちゃんが毎日、来てくれるから寂しくないもん。」

「あはは。まぁ、やることなすことやりきったら、あんたの見舞いぐらいしかやることなくなったしね。」

「うふふ、平和が何よりよ。それに小児科の皆、貴女の話に目を輝かせているもの。」

「そりゃ、ここに長いことおれば退屈になるのも仕方がないよね。」

「ヒスイお姉ちゃんの話、楽しいもん!」
「カントーからアローラまで旅をしたんでしょ?」
「まぁね。色んな人やポケモンにも出会ったし。」


「………………。」

「…………あれ?ナオヤ君、どうしたの?」

看護師に声をかけられて、ナオヤは吃驚した。

「…………ヒスイちゃんのお話、聞きたいの?」
「べ、別にそんなんじゃ…………。」

「聞きたいなら聞きたいって言えばいいのに、ナオヤ君ってば素直じゃないなー!」


「ホントだね!」
「う、うっさい!」


「……………いやあ、ツンデレって奴ね………。」



終わり。

クリスマスイブの贈り物

「………明日はクリスマスだね、ルリちゃん。」
「うん。パパもママも仕事でクリスマス会には来られないって言っていたけど、
イーブイとラルトスがいるもんねー。」

ルリの言葉にイーブイとラルトスはハイテンションに答えた。

「…………ただいまー、やっほー、ルリ!帰ってきたわよ!!」

「………へ、ヒスイお姉ちゃん!?」

病室に突然、ヒスイが入ってきてルリは吃驚した。

「お姉ちゃん、旅はどうしたの!?」
「終わったから帰ってきたのよ。驚かせようと思ったけど、サプライズ成功だったみたいね。」

ウィンクをするヒスイにルリはパァ、と顔を輝かせて彼女に抱き着いた。
「驚いた!すっごい驚いた!これからは一緒!?」
「毎日、見舞いに来るわよ。
イーブイとラルトスのコンディションだってチェックしないといけないし。
妹にあげたとはいえ、私のポケモンが親だもの。」

「あら、ヒスイちゃん。旅終わったの?」
「はい無事に終わりました。
ほら、これがホウエン地方の記念写真です。
いやあ、シロナさんホントに手強かったぁ…………。」


「……で、お姉ちゃん。」
「なぁに?」

「クリスマスプレゼント、もしかして用意しているの?」

「そりゃもちろんよ。でも明日のお楽しみにね………と言いたいところだけど、
ルリのことだから、待ちきれないんじゃないかって思って。
はい、これ。」

「…………わあ、プレゼント!?」

ヒスイからプレゼントを貰ったルリは早速袋を開封した。


「………あ、ポケモン図鑑!」

「カントーからアローラまでの図鑑の中身を写したものなんだけどね。
これで知りたいポケモンの情報をいつでも、取り出せるように博士に頼んだのよ。」

「……ありがとう、お姉ちゃん、大好き!!」


続く。
前の記事へ 次の記事へ
カレンダー
<< 2024年04月 >>
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30