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ACT2-(4)

芳樹と満月はアサシンのマスターを探るべく、街中を歩いていた。

芸能人である2人が街中を歩いている姿に通行人達は視線を向けた。

「……………物吉、どう?」
「……………アサシンは気配遮断スキルを持っていますから、探るのが大変ですよ。
でも何か不思議なんですよね。」

「不思議?」


「…………アサシンと思しき気配が数十に別れているんです。」

「………………どゆこと?」

「アサシンは分裂しているってことかな。それだったら納得もいく。」

芳樹の話に満月はなるほど、と呟いた。

「…………………分裂しているということは各々が独立した人格を持っているってことなんですかね?」

「解離性同一性障害を持っている英霊とかなら、合点が行くけどね。
……アサシンはほら、ハサン・サッバーハしか召喚されないし。
一部例外もあるけど。」

「…………歴代のハサンの中から誰かが呼び出される、でしたよね。」

「うん。」

「………………あ。」

不意に物吉が足を止めた。それにつられて芳樹と満月も足を止める。

「…………誘ってますね。」

「……………人気のないところで勝負しようっていうのか。」
「……………どうします?」

「…………行ってみよう、満月ちゃん。いざとなればあれで和泉守達を呼び出せばいいから。」

「はい。」





続く。

ACT2-(3)

雄叫びと共に現れたのは、巨躯で仮面を被った半裸の男性だった。
しかし、その頭部には角が生えている。

「…………………サーヴァント、か?」

「ALAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」
「……そうみたいだよ、兼さん。バーサーカーみたいだ!」
「…………言われなくても見ればわかる!」

バーサーカーは手に持っているハルバートを和泉守と堀川に向かって投げた。

「LAAAAAAAAAAA!」

「おおっと!」
「…………随分と古典的な攻撃だね、バーサーカー!」

ハルバートをかわした2人はアサシンの気配が消えたことを悟った。

「……どさくさに紛れて逃げたか。」

「追いかける?」

「………いや、やめとこうぜ。気配遮断のスキルを持っている相手を追いかけるなんて芸当、できないしな。
………それにこいつが私達を逃がすと思うか?」


「………だよね。」

「はぁぁああああああああああああ!!」


その時、頭上からセイバーが不可視の剣をバーサーカーに振り下ろした。


バーサーカーはハルバートを拾い上げると、不可視の剣を受け止めた。


「セイバーさん!」

「ったく、来るのが遅い!」


「すみません、遅くなりました。………アサシンは?」
「逃げられた。代わりにこいつが現れたが。」

「………バーサーカーですか。しかし、この角は……………。」
「………どう考えてもアイツだよな………。」
「………うん、もっとも有名な反英雄って言えばいいのかな。」



「………………ミノタウロス。」
「……アステリオスが正しい名前だけど、どちらかと言えばそっちの方が有名だよね、兼さん。」
「………ああ。」
「……ギリシャ神話に出てくる、迷宮の主ですか。」
「……………今ここで宝具を使われたらまずいな。」
「そうですね。」
「……………ALALAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」

ハルバートを手にし、バーサーカー…………ミノタウロスことアステリオスは3人に襲い掛かった。





続く。

ACT2-(2)

「旦那様、奥様。
和泉守さんと堀川さんがアサシンのサーヴァントと交戦しています。」
「………なるほど、早速現れたか。」
「アサシンとなるとやっぱりハサン・サッバーハですかね。」
「………白い髑髏の仮面………うん、ハサン・サッバーハだね。
セイバー、和泉守と堀川のところに行ってくれるかな。
俺と満月ちゃんはアサシンのマスターを探すよ。」
「……はい、わかりました。
くれぐれもお気をつけて。」
「大丈夫ですよ、僕がついていますから!」

綿貫家の本邸を後にし、芳樹達は二手に分かれた。

「…………守り刀、ですか。」
「そうだ。表向きは刀の名を襲名したボディーガードだが、
実際は人型の使い魔だ。
先々代の綿貫家当主が生み出した高等魔術だよ。
………そして先々代の姫宮家当主が魔力供給を提供している。」
「それが今もなお、続いているというわけですか。」
「そういうことになるな。」

遠坂邸では久遠と瑠樹が、アサシンと対峙している和泉守と堀川の戦いを見ていた。

「…………ところで瑠樹君、人払いの結界は十分に張っているだろうな?」
「はい、万事抜かりなく。」
「……………ならば、王の中の王に行ってもらうとするか。」

「……………そう、ですね。」


桜庭市内の公園に移動した和泉守と堀川はアサシンと交戦をしていた。

「…………ったく、同じ使い魔だって言うのにこうも差が出るなんてな……。」
「…………でも正々堂々とした戦いは苦手だから、このまま押し切れば何とかなるよ、兼さん。」


「……………だな。」

和泉守が柄を握った時、大きな叫び声がした。

「………何だ!?」

「新手!?」



続く。

ACT2-(1)

夜の桜庭市を、和泉守兼定と堀川国広は回っていた。
「………何だか、前の聖杯戦争の時を思い出すねぇ、兼さん。」
「………そうだな。あの時は帝都の聖杯を爆弾にした馬鹿がいたけどな。」
「そうだったね。」

今から60年ほど前、桜庭市では聖杯戦争が行われていた。
織田信長や沖田総司、土方歳三など日本に縁のある英霊が召喚され、
大火災に塗れた桜庭市で芳樹と満月の曾祖母達は、激しい戦いを繰り広げた。

「…………それにしても、遠見の魔術と使い魔で様子見か。
最初はどこもかしこも慎重にやっているのか。」
「……当然だよ、情報戦は大事だからね。」

「……………で、どうする?私達をつけている連中がいるみたいだけど。」
「………当然、斬るよ。」
「………んじゃまあ、決まりだな。」

和泉守がそう言うのと同時に、暗闇からアサシンが飛び出してきた。

飛ばされてきたクナイを、和泉守は抜刀して刀身で弾いた。

すかさず堀川がアサシンに狙いを定め、突きをついた。

「!!」

「………早い!」


「……………アサシン、黒いローブに髑髏………ハサン・サッバーハなのは間違いないみたいだな。」

「……だね。」


「…………何故我らの真名を?」

「何でって歴代のハサン・サッバーハが選ばれるんだろう?アサシンのクラスには。
お前、何代目のハサン・サッバーハなんだ?」
「…………今は教えるわけにもいかぬ!」

そういうと、アサシンは複数のクナイを飛ばした。

「…………これしか芸がないのか!?」

「……………まぁ、アサシンだしね…………。」


続く。

ACT1-(10)

「…………以上が報告だ。」
綿貫家に戻った山姥切は芳樹にそう話した。
「……なるほど、ラ・ヴォワザンか………。
毒薬製造販売者もしているアシヤ・ハイリンヒ・ドウマンが術式を使用したとしたら、
十中八九、キャスターのクラスのサーヴァントを召喚している可能性は大だな。」
「………一応、使い魔を飛ばしてアシヤの足跡を追っているところだ。
ただ、毒物となると結構厄介かもしれない。」
「………そうだね。既存品の毒物を使っているなら、分析さえすればどうとでもできるけど
オリジナルブランドのものだったら、対処しづらいな。」
「連続毒殺犯と狩猟殺人犯ですか…………。
始まりの御三家よりも先に始末しないといけないですね。」
「ああ。奥様の言う通りだ。」
「………とにかく、使い魔による追跡はこのまま続行してくれ。
聖堂教会も殺人犯が聖杯を求めているとなると知ったら、阿鼻叫喚だからね。
真っ先にキャスター陣営を始末するようにって指示が来るかもしれない。」
「………ラ・ヴォワザン………フランスの連続毒殺犯ですか。」

「うん。これはフランス人であるお母様が1番良く知っているから、
お母様に聞いた方が早いのだけれど…………。」

「…………泥だらけの聖杯にかける望みが何であれ、
キャスター陣営は極めて危険だ。
もし、ラ・ヴォワザンを召喚していたなら、対毒の魔術を用意しなくちゃならないし
違ったとしても、魔術をどうにかしないとね。」
「……そう、ですね。
最弱だからと言って蔑ろにしたらとんでもないしっぺ返しが来ますし。」

芳樹の膝の上に乗り、満月はそう言った。

「それが1番厄介なんだよね。」

「…………はい。」

「魔術戦に関しては俺達の方でどうにかするから、セイバーはサーヴァントをどうにかしてくれればいい。
幸い、対魔術のランクは高いし。」
「そうですね。」

「………………でも気になるのが、まんばちゃんを見ていた誰かなんですよね。
案外、アサシンクラスなのかな?」
「まあ、山姥切は山伏と兄弟関係にあるからその手には聡いし………。」
「……兄弟に比べたら、些細なことだ。もしかしたら勘違いかもしれない。」

「いえ、それはとても大切なことだと思います。
直感、という奴ですね。」

「………そうか。」
「はい。」


セイバーの言葉に山姥切はそうか、と呟くと失礼すると言って自分の持ち場に戻った。



続く。

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