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ACT4-(4)

次の日、深愛、涼子、澪の3人は宮森の運転する車で小野かのゑの家に向かった。


「……………でもホントに怪獣だったらどうするの?」
「小型の怪獣なら山中なり、海中なり放牧すればいいけどそれ以上のクラスになると
ちょっとね……………。
小型化する方法、私知らないし。」
「…………だよねぇ。」

「つまり、自分の敷地に害がなければそれでいいって話ね。」

「……………つきました。ここが小野さんの家です。」


「うっわ、滅茶苦茶豪邸!」
「………………宮森さん、家の前に何人かいるみたいですけど。」

「ああ、マスコミですよ。小野さんの家に何かが住み着いているってことを嗅ぎつけて、
特ダネにしようとしているんです。」

「…………最ッ低…………。」

「防衛軍は怪獣と認定しなければ動いてくれませんが、海堂さんなら怪獣と認定しなくても
動いてくれるでしょう?小野さんはそれを踏まえた上で貴女に依頼をしたんです。」


「………ああ、なるほど。そういうことですか。」

「防衛軍は怪獣関連じゃないと動かないもんね…………。」

「いつだったっけ?確か、小型怪獣が出たって出動したら野生動物だったって話。
そういうのがあったから、ピリピリしているのよね。」

「………うん。今もしょうもない理由で通報とかあるから余計にね。」
「…………世知辛い世の中だね…………。」


宮森の案内で小野家の敷地内に入った深愛は早速見分を行った。


「………………。」
「どう?」
「これ何かが焼けた後なんだけど……………人の手によるものじゃないね。」
「マッチやライターの火じゃないのは確かみたいね。
こういう色の燃え方しないもの。」

「………澪、わかるの?」

「父方のおじいちゃんが花火師でね。火の取り扱いには口煩かったの。」

「……………あ、なる。」


「深愛さん、こっちに来てください。」


アミの言葉に深愛はわかった、と頷いた。



「………吐しゃ物?」

「………真新しいね、数日中かも。」

「人間の吐き方に似てない?」

「……まぁ、言われてみれば確かに。」


「…………………怪獣が人間に酷似した吐き方する?」

「……………いやぁ、一応することはするんだけど………。
でもそれなら、サイズ的に大きいはず。」

「……………じゃあ、やっぱり小型の怪獣?」
「…………ねぇ、思ったんだけど。」
「何?」
「防犯カメラ、見せてもらうわけにはいかないの?」
「あ、そっか。映っているかもしれないもんね。」




続く。

ACT4-(3)

櫻井浩二の追求をかわしつつ、収録は無事に終わった。

深愛と涼子は澪の控室でぐだっとしていた。

「お疲れ様でした、深愛さん。澪さん。」
「櫻井さんの追求、何とかかわしましたね。」

アミとティエに労いの言葉をかけられて、深愛と澪はありがとうと言った。

「………………一応、誰もいないよね?」

扉を開けて誰もいないことを確認した涼子はヒソヒソと話した。

「………M計画って非人道的な実験だったの?」
「…………まぁ、怪獣の遺伝子を人間の受精卵に組み込むっていう時点では非人道的な実験だね。」
「………というか、そもそも、人の身で怪獣の力をコントロールするってこと自体が無謀なのよ。」
「結構体重重いからね、私。」
「………防衛軍の医療チームが身体測定に来るぐらいだものね。
当たり前と言えば当たり前だわ。
そのリストバンドがなければ、あっという間に体重が重たくなるし。」
「…………技術局の皆様方には感謝感激しかないわ……………。」
「………………深愛も大変だけど、防衛軍も大変だねぇ。」

その時、コンコンという音がして5人はビクッとなった。

「…………あの、すみません。」
「……………誰?」
「あ、失礼しました。私、小野かのゑのマネージャーをしています宮森と申します。」
「小野……かのゑ?」

「って、大女優の!?」

「……………そんな有名な方なんですか?」
「あ、そっか。アミとティエんところってテレビないんだったね。
日本を代表する大女優で、半世紀以上も活躍している凄い人なんだよ。」

「…………それで、その宮森さんは何の用事で?」

「実は海堂さんにお願いがありまして。」
「お願い……ですか?」

「………ええ、小野の家がある敷地に住み着く何かを追い払って欲しいのです。」
「……何か?」

「どういうことですか?」

「………それについては私から話をしましょう。」

宮森の後ろから小野かのゑが現れて、澪は驚いた。


「………うわ、すご………オーラが半端ない………。」
「………御年85歳には見えないでしょ?」


「…………数年前から、敷地内の庭に何かが住み着いたのです。
最初は野生動物かと思ったのですが、どうも違うみたいで。」


「………………え、野生動物じゃないなら怪獣?」
「わかりません。ただ、どう考えても動物の仕業とは思えない所業をしているので、
貴女にこうして依頼をしに来たのです。」

「どうして深愛に?小野さんの知名度なら、普通に防衛軍に頼めば済む話じゃ…………。」

「情が沸いているのです。宮森さんは追い払って欲しい、と言いましたが
私はどちらかと言えば怪獣であれ、人間であれ、然るべきところで保護して欲しいのです。
怪獣も人間もこの地球に住む同じ生き物です。
人間の勝手な都合で、命を奪うのは良くありません。」




続く。

ACT4-(2)

「……誰?」
「………櫻井浩二さん。父親が確か、防衛軍の在り方を批判していた人物だって聞いたわ。」
「……質問タイムはまだなんですけど。」
「いいじゃないですか。どうせ、質問攻めするんでしょう?
ちょうど防衛軍のエリートもいることだし。」

「…………ねえ、深愛。防衛軍って非人道的な実験をしていたの?」

「私が聞いた限りではそういうのしたことないよ。というか私の立場でも調べることは無理だと思う。
防衛軍って都合の悪いことは全部隠したがるから。」
「じゃあ、実際にやったことがあるんですか?」

「それはわからないですね。私、父親に聞いたことあるんですよ。
非人道的な実験をしたことがあるのかって。
そんなこと聞いてどうするんだって殴られましたけど。」

「殴られたの?随分と暴力的な父親ね。」

「今は離れて暮らしているけどね。」

「私の父親なんか、逆に過保護よ。アイドル活動を最後まで反対していたもの。」
「………うわ、そう言う父親が欲しかったな。」

「その非人道的な実験と言うのは具体的に誰が何のためにやったのかってわかっているんですか?」
「………それは。」

「具体的な内容もわからないのに、ただ非人道的な実験をしていたのかを聞くなんて。」

「……………そ、そうですよね。外っ面だけが先行していたって感じがするというか何というか…………。」

「でもまあ、1つだけ言えるとするなら、防衛軍の全火力をもってしても敵わない存在がいて、
それがゴジラだったということですかね。」

「ゴジラは強いです。」
「モスラでも勝てるかどうかわかりません。でも防衛軍と力を合わせれば、何とかなると信じています。」

アミとティエの言葉に深愛はそうだね、と頷いた。

「でも1番怖いのは人間です。ゴジラを倒すためなら手段を選ばないとうところが恐ろしいと私は思います。
出来れば相互理解をしたいところなんですけどね……………。」



続く。

ACT4-(1)

「それでは今日の、知り合いに凄い人はいませんか?です!」
「今回も、素敵なゲストが登場します!
今日は人気アイドル、有栖川澪さんに来てもらっています。
こういう番組、初めてですよね?」

「そうですね。噂はかねがね聞いているので、緊張しています。」

本番が始まり、司会者の女性アナウンサーに質問された澪は慣れた様子で答える。

「………今日は凄い知り合いを連れてきたとか。」
「ええ、16歳で防衛海軍の一佐をしている海堂深愛さんを連れてきました。
学校の同級生なんです。」
「初めまして、海堂さん。」
「………初めまして。」

「手元の資料によりますと、お父様が防衛海軍のトップだとか。
士官学校を最年少かつ優秀な成績で卒業したそうですね。」

「いやあ、それほどでもないんですけどね。周りからは妬みとかがあって……………。」
「………あったんですか?」
「………割と。でも実力行使で黙らせたと言いますか。」
「なるほど。それで今回は防衛海軍と仲のいい怪獣さんと親しい方をお連れしてきたとか。」

「あ、はい。インファント島ってところから来たアミとティエです。
今回、無理を言ってきてもらいました。」


テーブルの上にアミとティエが立ち、会釈をした。

「初めましてアミです。」
「ティエです。」

「うわ、小さいですね………イヤホント、世間は狭いというか世界は広いと言うか…………。
海堂さんと仲がよろしいんですか?」

「はい、そうです。先日、モスラの誕生にも立ち会ってもらいました。」
「防衛海軍とモスラは協力関係にあって、仲が良いんです。」

「なるほどなるほど…………では有事の際には出動してもらうこともあるんですか?」

「防衛軍が敵わないと判断した時はそうですね、出動することになると思います。」

「モスラは人間との共存を望んでいます。私達もそういう関係にありたいと思っています。」

「どうして海堂さんは一佐になれたんでしょう?」

「最年少で優秀な成績を修めたこともあるんですけど、父親の立場もありましたね。
半分実力、半分コネと言ったところですか。」

「はぁ、大変ですねぇ。」

「……………ちょっと質問良いですか。防衛軍は非人道的な実験をしていたということを聞きましたけど。」


唐突に挙手をした人物に深愛達は顔を向けた。




続く。

ACT3-(9)

「うーん、海堂深愛に関しては防衛軍から詳細を調べるなっていうお達しが来ているんだよね。」
「何でですか!?16歳で一佐って普通に考えたらおかしいですよ!?」
「おかしいことはおかしいよ。
肩書は立派だけど経歴は不明だ。
ただ、それに関しては調べるなって言われていてね。」
「やましいことがあるからですか?」
「それはわからんよ。防衛軍だって昔は非人道的な実験をしていたって言う話があるぐらいだからね。」
「だったらなおのこと、調べた方がいいんじゃ………。」
「やめときなよ。ルポライターの人生、棒に振りたいの?」
「…………そんなにヤバいんですか、彼女。」
「………………こっちだって防衛軍の干渉がなければ、色々と情報をかき集めたいところなんだけどねぇ。」

出版社のオフィスで小鳥遊咲良は上司の話に耳を疑った。

「………君、昔から諦めは悪いからね。変なところで人生台無しにしたら駄目だよ?」
「………わかりました。ではこの話は保留ということで。」


「………うわぁ、ここがテレビ局か。入るの初めてだなぁ。
インファント島でもテレビ中継しているのかな?」
「………日本でしか放送されていない番組だよ。」
「……………あ、海堂一佐。」

「何?」

「………………例の御客人、連れてきましたよ。」

「こんにちは、深愛さん。涼子さん。」
「お久しぶりです。」

「アミにティエ、久しぶり!」


「…………うわ、小さ………でも美人。これが小美人?」
「はい。初めまして、有栖川澪さん……ですよね?」

「私はアミ。こちらは双子の妹のティエです。今日は番組に出させてくださりありがとうございます。」

「いいのよ、私の方こそ無理に言って悪かったわね。」
「いいえ、とんでもない。
澪さんのお役に立てるのなら喜んで。」
「ね、モスラは元気?」
「はい。元気ですよ。天気のいい日は周囲の海の上を飛んでいます。」

「そっか。」

「………しかし、ホントに大丈夫なんですか?」

「防衛海軍がモスラと知り合いだって言うのは別に隠すことじゃないし、嘘をついているわけじゃないしね。」


部下の言葉に深愛はあはは、と苦笑する。

「それに何処で誰が聞いているわからないから、ある程度の情報隠蔽にはなるでしょ。」

「…………そうですね。有栖川さん、くれぐれも海堂一佐のことは話さないようお願いします。」


「ええ、もちろん。それについては約束します。
こちらの無理難題に付き合って貰ったんですもの、それぐらいはしないと。」

「………一佐、ホントにいい友達に恵まれましたね。」

「………まぁね。」








続く。




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