「………………どう、この街は。」
芳樹の運転する車に乗り、セイバーは満月達と共に桜庭市にある商店街を訪れた。
「……………随分と活気に溢れていますね。」
「ここは1番賑やかなところですからね。」

「………ねぇねぇ、あれって綿貫芳樹さんに満月ちゃんじゃない?」
「うわ、本物?」
「この間の結婚式、凄かったらしいね。」
「ああ、見たかったなぁ…………。」
コインパーキングに車を停め、商店街を歩くと通行人達に振り返られた。

「……………新婚旅行はよろしかったのですか?」
「……あはは、しょっちゅう旅行に行ったりしているから今更感があるんだよね。」
「別に焦らなくてもいいんじゃないかなって思っているの。
何事にも順番っていうのがあるから。」
「はぁ…………。」
「………それよりもセイバー。貴女、本当にその格好でいいの?」
満月の言葉に、セイバーははて?と首を傾げた。
「ええ、こちらの格好の方が動きやすいのですが………。」
セイバーの着ている服はダークスーツという、いかにも男装向けの格好であった。
「…………私も男装していたからわかるんだけど、
やっぱり年頃の女の子がそれを着るのはちょっとなぁ………。」
「満月ちゃんがそれを言う?」
「………む、だからこうして年相応の服を着ているじゃないですか。」
「あはは、むくれなくてもいいのに。」
手を繋ぎ、のほほんと会話をするその姿はまるで長年連れ添った夫婦のそれである。

「…………………こんな活気の良い街で、聖杯戦争が起こるのですね。」
「………うん。俺達は聖杯戦争を止める側だからね。」
「何万人もいるこの人里で人知れず、戦いをするって言うのが納得いかないというか。」
「でも止めなければ、たくさんの命が無駄死になってしまいますからね。」
物吉の言葉に芳樹達は頷いた。

「…………何事もなかったかのように振る舞うためにはやっぱり色々と動かないといけないかな。」
「そうですねぇ。」
「……………芳樹、満月。貴方達は最後まで勝ち残ります。
私が最後まで生き残らせます。騎士の誇りにかけて。」

「………ありがとう、アルトリア。」
「………うん。心強いね。」


続く。