「あ、芳樹さん、満月ちゃん、物吉ちゃーん!」
手をブンブンと振る物吉貞宗の格好をした春花を見て、満月は手を振った。
「あ、どーも。初めまして、春花の従姉妹の小鳥遊春菜です。よろしくー。」
黒縁眼鏡をかけた三十路すぎの女性、小鳥遊春菜が軽く自己紹介をした。
「……いやぁ、2人とも。素材がいいっスねぇ。」
「…………どんなの描いているの?」
「もちろん、腐ですよ。オススメは三日和泉、堀兼、小狐和泉…………和泉守受けが多いですね。」
「………千夏が聞いたら、卒倒しそうだね。」
「あ、でも最近はお2人の影響で三日清も描いているんですよー。
18禁ものですけど読みます?」
「いや、いいよ。満月ちゃん、まだ16歳だし。」
「………うーん、今後の楽しみに取っておきたいんですけどねぇ……………。」
「………ほほぅ。今後の楽しみというと結婚初夜ですか?」
「何でそんなことを聞くんですか!?そりゃそうですよ!」
「ちょっとー、満月ちゃん初心なんだからそんなこと言わないでくれるかな?」
「あはは。綺麗なままで居て欲しいんなら、大事にしないとダメですよ。
満月ちゃん、優良物件なんですから、男達の視線を常に受けているようなものですし?
ほら、あちらさんから視線がちらちらと。」
春菜が指差した方向を見ると、確かに男性達が視線を向けていた。
「………………………。」
「……………え、私、そんなに優良物件ですか?」
「…………自覚がないのがまた良いっスねぇ。
良いですよ、芳樹さん好みに育っている証拠ですねぇ。」
「あはは、どうも。褒め言葉として受け取っておくよ。」

「………あの、芳樹さん。どういう意味ですか?」
「お嬢様はそのままでいいんですよ。ある意味純粋に育ったようなものですから。」
「?」


「………あ、じゃあ三日清の本1冊貰おうかな。」
「マイド―!」
「………芳樹さん、読むんですか?」
「そりゃもちろん。これ18禁だから満月ちゃんにはまだ早いかな。」
「………………もう、芳樹さんったら!!」




続く。