朝起きる
昨日大泣きしたせいで腫れた目がいたい
第一志望の大学に落ちた
後期は違う大学を受けるから
もうあの大学には行けない
なんとなく現実が受け入れられなくて
学校に行く
誰もいないのを確認して生物室にはいった
志望校が同じなのを口実によくここでアイツと二人で勉強してた
今は勉強する気にもなれず
ぼーっとする
しばらくしてもう一度携帯で合格発表のページをみる
その中に私の番号はない、けど…アイツの番号はある
せっかく同じ大学だったのに
志望校聞いたときは心臓が止まるかと思った
もしかしたら春からも一緒にいられるかもって
もし合格したら告白しようと
必死に頑張ってきたのに
県外の大学だからもう会うこともない
もし付き合えても遠距離
きっと続かない
初めて本気で人を好きになったのに
「…諦めろってことか」
涙で視界が滲む
この思いも涙と一緒にながれてくれればいいのにな
いと悲しうて、
人知れずしほたれけり。
話題:I LOVE YOU を訳しなさい
「月が綺麗ですね」
二人でソファーに座って満月を眺めてた
お互い言葉を発さず
ただ眺めてた
"友達"では物足りないでも
"恋人"は当てはまらない
もどかしいけれど
どこか心地よいこの関係
「…は?」
「ねぇ、I love youって
本当に"月が綺麗ですね"で伝わると思う?」
「さぁな
別に伝わんなくてもいいんじゃないか?」
「なんで?
伝えなきゃ分かんないよ
人の気持ちなんて」
突然零れ落ちた本音
この距離が俺にとっては心地よくても
彼女にとったら
不安が大きかったのだろうか
そう考えると急に
焦りがこみ上げてきた
早くこの愛しい人を自分のものにしたい
あぁ、そうか
愛おしいってこういう事か
「じゃあさ
自分なりに訳してみて
"I love you"を」
そういってこちらを向いた
彼女の手を引き腕の中に閉じ込め
耳元で囁く
「…お前を俺のものにしたい」
「え?」
「取りあえず今は、これかな」
「…今は、ってなによ」
紅い顔に潤んだ上目づかいで俺を見上げる彼女が愛しくてたまらない
「ん〜、時間を重ねれば
I love youの意味は変わりそうだから」
「じゃあ変わったらまた
教えてくれる?」
「あぁ、」
変わるたびに囁こう
君が呆れるほどに
…さぁ、いくつのI love youを俺は伝えるのだろう
部活終わり
友達を待ってる
飛び込み台の上に座ってプールに反射する夕日を見ながら
理由は無いけどちょっと感傷的な気分にひたってみる
「先輩。襟、折れてますよ」
急に呼ばれてびっくりしてたら
彼の手が私の襟を正してた
「じゃあ、さようなら」
そう言って
彼は颯爽と帰っていった
……何でだろうドキドキした