2008年だか
2007年だか
覚えていない。
私が高校1年生の
5月7日に
祖母が死んだ。
朝私が起きる少し前に
家の電話が鳴った。
なぜかはわからない。
祖母が死んだのだ、と
直感的にわかった。
下の階で、
父と父方の祖母の驚く様子が
感じとれたので、
私はすぐ階段を下りた。
「おばあちゃん亡くなったって。」
祖母が私の目を見ずに
悲しそうに言った。
以前にインコが死んだ時と
同じ言い方だった。
私が悲しむところを見たくないのか、どんな顔をすれば良いのかがわからないのか、祖母の癖だった。
その時は悲しみはなかった。
驚きと信じられないという気持ちだったように記憶している。
正直、よく覚えていない。
そのまま学校へ行った。
よく晴れていた。
私は窓側の席で、
窓を開けて下の田んぼの
若苗と泥水がキラキラするのを
ぼんやり見ていた。
若苗の緑は祖母との
思い出を思い出させた。
私が小学生の頃
祖母と住んでいた時期があった。
そのときに、近所の竹藪に
祖母を誘って散歩に行った。
「すごくきれいなところが
あるから!」と意気揚々と
祖母に上を見て、と言った。
竹藪の竹の葉が重なり、
その隙間から光が漏れていて
葉の緑がうすい緑になり
とても美しかった。
私はその様子がたまらなく
好きだったのだ。
祖母はすごく喜んでくれた。
昔旅行で行った中国の竹藪に
似ていると、
はしゃぎながら笑っていた。
あれからもう何年も経った今
竹藪に行くと、あのときの
景色のままなのに、
なぜかぼんやり薄暗く、
今はちっとも綺麗ではない。
学校が終わったあと
祖母のお通夜に向かった。