ぼくたちの収入を激減させた原因: サブプライム問題
サブプライム・ローンとは、「信用度が低い人」に貸し出す住宅ローンのことです。
「信用度が低い」ということは、「貸したお金を返してもらえないかもしれない」ということです。
このことを、「貸し倒れ」のリスクが高いと言います。
過去にクレジットカードのローンなどで支払いが延滞したり、請求書の支払日までに支払わなかった人に貸すローン
が該当します。
マスコミの報道では、「低所得者向け」と説明しているメデアもありましたが、厳密には違います。
なぜなら、裕福でなくても借りたお金をきちんと返す人もいますし、反対に収入が多くても、金遣いが荒くて
破産する人もいます。
サブプライム・ローンとは、貸したお金が帰ってこない可能性が比較的高いローンのことです。
貸す方からは、貸し倒れにあう可能性が高いローンのことです。
リスクが高いローンは、それだけ利息というリターンを高く設定できます。
利息という金利も、需要と供給の関係で調整されるのです。
市場の原理です。
リスクが高い人に貸す金融機関は、当然少ないでしょう。
それに対して、お金を必要とするのは、必要なお金が不足している人です。
お金を充当する必要があるので、当然需要が高いのです。
だから、高い金利のお金に手を出すのです。
多重債務に陥る経済的な原理が、ここにあります。
普通の住宅ローンの金利が2%、サブプライムローンの金利が5%だとします。
同じ1000万円を貸し付けた場合、金融機関の儲けは3%分だけ、サブプライム・ローンの方が
大きくなります。
これが、魅力になるのです。
しかし、なぜこれほどまで大勢の人がサブプライム・ローンを借りることになったのでしょう。
これには、カラクリがあったのです。
それは、最初の数年はローンの返済を極端に少なくできたのです。
最初の3年間は、破格の金利で組めたので人気があったのです。
住宅ローンには、3種類の返済方法があります。
金利が変わらない固定金利タイプ、毎年金利が変わる変動金利タイプ、固定・変動金利タイプです。
いずれも、メリットとデメリットがありますが、確率的にはどれも返済総額が同じになります。
どの、ローンを組んでも、本来は大差がありません。
このことを、知っておくべきです。
なぜなら、金融機関はバカではないからです。
なぜ、当時のアメリカ人にサブプライム・ローンに人気があったのでしょうか?
当時のアメリカの住宅事情は、住宅価格が右肩上がりに、どんどん上がっていったのです。
そうです。
投資の対象になったのです。
住宅価格が右肩上がりに上がっていけば、最初だけローンを組んで、支払いの金利が上がる前に売ると、差額が
利益にまります。
儲かった差額を頭金にして家を買えば、こんどは「サブプライム・ローン」でなく、普通のローンを組めるでしょう。
つまり、信用力の低い人でも、普通の人と同じように、良い条件でローンを組めるようになったのです。
だから、誰もが飛びついたのです。
人気の原因は、ここにあったのです。
その結果、西暦2005年〜2006年には、購入された全住宅の2割がサブプライム・ローンが組まれるようになった
のです。
値上がりするものは、必ず値下がりするのが世の道理です。
2006年をピークに住宅価格が、値下がりしていきました。
多くのサブプライム・ローンが焦げ付き、多くの金融機関が損失を被ったのです。
アメリカの多くの銀行が、住宅ローンを回収できなくなったのです。
しかし、これだけではアメリカだけの問題にすぎません。
なぜアメリカの住宅ローンの問題が、なぜ世界に大混乱をもたらしたのでしょうか?
それは、住宅ローンの「証券化」が世界に飛び火した元凶だったのです。
「証券化」とは、あるビジネスの利益を受け取れる権利をつくり、それを第三者に売ることです。
通常ローンとは、お金を貸したA銀行と借りたBさんだけが当事者です。
A銀行がBさんの住宅ローンを証券化して、C銀行に売ったらどうなるでしょう?
Bさんがローンを返済しない場合、C銀行も損害を受けるようになります。
実際には、アメリカのサブプライム・ローンが証券化されて、世界の銀行や投資家が持つようになったのです。
そして、アメリカの住宅ローン問題が、世界に広がったのです。