子供は欲しく、でも産むことができない
別の部屋の住民が、貴女がエントランスで子供たちを叱る光景を目撃している
たったそれだけで、どうして誘拐犯だと疑わなければならなかった?
どうして、誰よりも本人が苦しんでいることを掘り起こして、心無い言葉を投げつけた?
警察ならば何を言っても許されるのか。その住民は、何故そんなことで彼女を名指ししたんだ
あんな、あんな顔は初めて見た。一切の感情が失われたような、疲れ果てた表情
そして、彼女の涙も初めて見た
話を聞いていて、視界がぐらつくようだった
怒りと、やるせなさ。ただただ腹立たしくて、そして悲しくて
殺してやりたい、なんて本気で思ってしまった
「子供を産んでいたら偉いのか」
「産めない私が悪いのか」
「他人の子供なんかいらねえよ」
「家に着ぐるみがあったらそんなに怪しいか。芝居で使っているだけなのに」
ぽつり、ぽつり。長い長い間を置いて紡がれた、その一言一言が。とても重たくて、かなしくて
「こんな話、子供のいる劇団員には打ち明けられないから」と最後に言ったそれを聞いて
今日、いまこの瞬間、ここにいて良かった。一人で抱え込ませずに済んでよかった
そう思いました
同時に、私も辛くなってしまって
稽古場へ着く前から行こうかと考えていたのですが、キリの良いところで稽古場をお暇して、帰りにカラオケへ行きました
ちょうど都合が合い、私の好きな子がご一緒してくれたのが本当に有難かった
あのまま一人で居たら、色々な感情に呑まれて死んでしまいそうでした
彼女には特に何も話していませんが、楽しい時間を過ごしたお蔭で少し気持ちが落ち着きました
ついでに(?)近いうち一緒にライブへ行くことになり
こういう所でも、彼女の存在に勝手に救われているなとこっそり感謝しています
得難い友人の一人です
きっと、他人事ではないんだよ