華春さん曰く、新八くんは難攻不落の城らしい。中々おちてくれない、という意味の。つまり晋助と銀さんが押しても、中々おちない難攻不落の受けなのですね。いや頑なに拒んでるわけでなく、スルーが上手いだけなのだと思いますが。攻めさんに寄り添ってはいるのだが、中々こう、そんな感じの新八くんイメージなのではなかろうか(華春さんからは)。
つまり、銀さんも晋助もロッククライマーくらいの精神でかからないとダメなんですよ。新八くんのハートにまで伸びた断崖絶壁を不屈の精神で登り、登り詰めてから、いよいよ求婚にかかると。
あ、銀さんは折られても折られても、まったくめげないから大丈夫。ザクザク登っていくので。また一から登ってく気概はありますので、銀さんの心配はしてない。銀さんが新八くん捕獲にめげるはずがない。
で、晋助はどうかと言うと、銀さんがそこまでして登っていく断崖絶壁が気にはなるわけですよ。他ならぬ銀さんがやってる事だし。
だから下から銀さんを見上げて馬鹿にしたり皮肉飛ばしたりしてんだけど、銀さんに、
銀さん「うっせーよ。今はてめえの話聞いてる時間ねェから。登れやしねェ野郎にぐだぐだ口出されたくねーんだよ」
とか言われたらカチンときて、カチンどころかドカンときて、
晋助「……あ?」(ピキッ)
ってなって、元々の晋助の持ってる
「銀時が出来る事を俺ができねえはずがねえ」精神に火をつけ、銀さんがまた飄々としてるもんだから晋助の超高層プライドを煽りに煽り、それからは晋助も見よう見まねでロッククライマーになります(晋助)。
でも大丈夫。銀さんが崖に挑み続けていってる限り、晋助はめげない。だって銀さんに負けたくないんだもの。銀さんと隣で口論し続けてる限り、晋助は絶対絶対にめげないから大丈夫です。
そして図らずも二名のロッククライマーが誕生したの巻。
晋助は登ってる最中も、風穴に咲く花を見つけて摘んだりしてそうなんだよね。そして上に居るお姫様(新八くん)に差し出そうと考えている。そしてその隙を狙ってくる銀さんに足蹴にされてズザザッと少し落ちつつも、即座に懐刀を取り出して壁に突き立て身を立て直し、事なきを得る。
晋助「何しやがんだテメェ」
銀さん「んな花なんて摘んでる場合かよオイ。片手塞がってるけど」
的な会話を繰り返しつつ、二名のロッククライマーは登る。その間にも風はあり雨はあり、時には野生のコンドルの襲来がありつつも、二名のロッククライマーはひたすらに登っていく。もうボロボロですよ、銀さんの着流しは泥や汗にまみれ、晋助の着流しなんて片袖取れてますよ。それでもめげない、新八くんに求婚することをめげない二名。
……つか待って、え、これは何なの?ロッククライミングの話?(アレ?)
その頃、断崖絶壁の上にある難攻不落の城(お城の名前)で暮らす新八くんは、イメージ的にはディズニーのラプンツェルな感じで城内を自由に暮らしております。お料理したりお洗濯したり、お掃除したり、たまにお通ちゃんの鼻歌を歌ってたり。もはや着ているものはドレスのイメージしかない。新八くんのほっそりした胸や胴回りを包む上衣に、下半身はふわっと広がるオーガンジーを幾重にも重ねたプリンセスラインのドレスを纏っている事だろう(こわいのはごく自然にイメージできる事です)。色は水色とか。
そしてそんな新八くんを一人で置いておけないってんで、お妙ちゃんも一緒に住んでるんで。つまりこの城には、お姫様とラスボスが同居しています(ある意味完全な要塞)
お妙ちゃんも同じくドレスだよね。そして新八くんと仲良く暮らしてんの。
晋助と銀さんが崖を登りきり、とりあえずはお城についてるインターホンを押してはみるものの、当然のごとくお妙ちゃんが出てくるから新八くんに取り次いではもらえない。だって二人の格好はボロッボロなんですよ。銀さん汗土まみれだし、晋助にいたっては片袖取れてるんですよ。歴戦の勇者のように晋助の包帯は取れかかって、ゆるっゆるなんですよ。ここまでの苦労が見て取れる格好ですよ。
そしたらお妙ちゃんなんて、二人の不審者を見るなり扉を閉める。バタンとしめる、問答無用でしめる。絶対に新八くんに取り次がない。
そしたらまた二名で、
晋助「……オイ、何だあの女。あんなん居るなんざ聞いてねぇ」(めっちゃ不機嫌)
銀さん「俺だって知るかよ、何でここにお妙居んの?もう強盗として押し入った方よくね、この童話的な世界観無視で行ってこい。まずテメーが」(めっちゃ不機嫌)
って顔を突き合わせてゴニョゴニョと話し、仕方なくその辺で武具や防具を装備し直し、装備っつーか身だしなみを整えまして、晋助にいたっては薔薇の花束を一抱え持っていく次第なのですけど、いや銀さんは手ぶらですけど(俺と新八の仲だぞ?とかフツーに思ってる)、その上でお宅訪問ですよ。その上でピンポンですよ。そしたらお妙ちゃん、がチャリとまた扉を開ける。
そしたら一応はいつも通りの銀さんと、黒いライダースーツの上に白い着流し羽織って、木刀を腰に下げてる銀さんと、紫の蝶々の着流しを纏い、両手から溢れんばかりのベルベットローズを抱えたテロリスト晋助が居るわけですね。
お妙ちゃん「…………」(すごく微妙そうな表情)
もうね、またお妙ちゃんは無言で扉しめますよ(あれえ?!)。バタンですよ。いよいよ新ちゃんが危ない、と思って、もう容赦なく扉閉めてますよ。
そしたらもう二人はムカつくから、ムカつき果ててるから、マジでいよいよピキピキなってっから、もうこうなったら窓とか破るか?って勢いになってますから(止めて)、
そしたらね、そしたらですね、新八くんが二階の窓から可愛いお顔を覗かせ、
「あれ?!銀さんと高杉さん!どうしたんですか、こんなところで」
と、至極びっくりした様子で階下の二人を見下ろしているといいと思います。ここで言いたいことは、新八くんの意識の中にもう普通に晋助が存在していることです。さすが公式でジリジリと背後から近寄ってきてるだけはある(実績)。
そうやって崖の上の難攻不落の城に住まう新八くんは、ロッククライミングしてきた銀さんと晋助から求婚されるっていうとてもメルヘンチックなお話をしてましたよね(メルヘンの定義)