「あ!ユウちゃーんッ♪」
教団内の鍛練場。
いつも通りに毎日の日課である鍛練に来た有紀は、たまたま居合わせた神田に笑顔で駆け寄る。
笑顔で自分に駆け寄る有紀に対し、神田は……
「ちっ」
「ちょっ、出合い頭に舌打ちとかなくないか」
いつもの如く舌打ち。
もはや日常茶飯事なので有紀も差ほど気にせず、続ける。
「神田も今から鍛練するのか?」
「…ああ」
「そか!んじゃあ一緒に…「断る」」
有紀が言い終わるまでにズバリと切り捨てる神田。
有紀は思わずガーン、という効果音が付きそうな顔をした。
「何故に!?」
「めんどくせぇから」
「いやいや一緒に鍛練するのにめんどくせぇからとかなくないか!?一人より二人のが良いに決まってんじゃん!」
「なんで俺がアホ猿と鍛練しなきゃなんねぇんだよ」
「んだコラァァァ!!!俺の名前はアホ猿じゃなくて有紀だっつの!いい加減ちゃんと名前で呼べよな!」
ぎゃいぎゃいと騒ぐ有紀に対し、神田はめんどくせぇ…と言わんばかりに溜め息を吐いた。
「お前相手じゃまともに鍛練出来ねぇだろ、大道芸みたいなのも合わせてきやがるから」
「だって俺のは自己流体術なんだもん。
なー、一緒にやろうぜーお互い任務で会えない事多いんだしさー」
「ガキかお前は」
神田の手をぶんぶんと振り回す有紀。物をねだる子供か。
しつこく食い下がる有紀に流石の神田もとうとうお手上げ。
「…わかった。わかったから離せ」
「マジ!?やたー!さんきゅユウちゃーん!」
「いちいち抱き着くんじゃねぇ!!」
もはや日常茶飯事となった有紀によるハグ。
神田も慣れた様子で有紀をひっぺがす。
「……あ」
「ん?どしたユウちゃん?」
「お前髪紐持ってるか?」
「何、忘れたのか?」
「ああ」
「んー俺も今使ってるのしか……あ、そうだ」
有紀はシュル、と髪を縛っていた髪紐を解き、神田に渡した。
「ほい!これで良かったら使って」
「お前はどうすんだよ」
「俺は阿修羅姫の能力で髪の長さ変えれるから短くするよ。ほれ」
良いながら、髪を少し長めのショートカットへと縮める有紀。普通の人から見れば奇妙極まりない光景だ。
本当何でもありだなコイツ……とか思いながら有紀から借りた髪紐で自分の髪を縛った。
「んーでもただ鍛練するだけじゃつまんないからなんか賭けねぇ?罰ゲームみたいに!」
「何をだ」
「えーと……じゃあ俺が負けたら一個だけ何でも言う事聞くってのは?」
「俺が負けたら?」
「神田が負けたら……うーん……」
小さく唸りながら考え込む有紀。
同じ罰ゲームにするっていう簡単な事も思い付かないのか…と軽く呆れる神田。
錬金術を覚えるくらい頭良いのにどこか抜けている。
「神田が負けたら……次からちゃんと俺の名前呼ぶこと!」
「……は?」
「だって皆は名前で呼んでくれるのに神田だけ呼んでくんねぇんだもん、だからさ!」
屈託の無い笑顔でそういう有紀に、神田はキョトンとした表情を見せ、すぐに小さく笑った。
「……何で笑うかな」
くっくっと笑う神田に有紀は何がおかしいんだ、と言いたげな表情を見せる。
――ホント、コイツは……
いちいち見ていて飽きない。
そのコロコロ変わる表情も、全てが。
神田は一度深く深呼吸をして、体術の構えを取った。
「いいぜ。俺に勝つ事が出来るなら、な」
「うっし!んじゃ遠慮なくッ!」
有紀は楽しそうな笑顔を浮かべ、神田に続いて体術の構えを取った。
――どちらが勝ったかは、二人だけの秘密。
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…何が書きたかったんだっけ?←
一応次にUPする連載(第52章)に関係ある話だったりする。一部だけだけど。
意味不明なSSでさーせんっしたぁぁぁぁぁぁ!!!!←