ちょこんと回想が入ります。
「レオン昔はあんなにお人形遊びが好きだったのに」
「男の子は成長するに従って女の子のような遊びはしなくなるものだ」
「うーん。私にはわかんないや。あんなにお人形がないと泣く弟だったのに。」
「心の変化は男女で違いがある。」
回想終了ー。
「マークスさんは不思議の国のアリスのナレーターでアリスのお姉ちゃん役ね。」
カムイがレオンの八歳の誕生日プレゼントにあげたシロウサギのぬいぐるみはタクミの物になっていた。
役が揃うと「不思議の国のアリス」ゴッコを始めた。
カムイがアリスウサギのぬいぐるみを持ってアリスの役。
タクミがシロウサギのぬいぐるみを持ってシロウサギ役。
ジョーカーとディーアは、お茶会の紳士の役。
双子のやくは、ヒナタとヒサメ。
公爵婦人の母子にベロアとキヌ。
女王役はカザハナ国王役がサクラ。
ラストシーンに出るアリスのお母さん役はリョウマになった。
登場人物が多いので色々割愛する。
女王のカザハナは
「バラでなく桜に変えよ!」と言ったりもした。不動に桜が好きな彼女らしい。
「アリスこんな所で寝ると風邪を引くぞ。」
「お母様。」
「さぁ白夜王国に帰ろう。今日の夕飯はカムイの大好物なちらし寿司だ。」
真顔でセリフを言うお母様役のリョウマに何人かおいおいとツッコムものもいた。
「お母様。今日は不思議な夢を見たの。」
カムイが手短に不思議の国で体験したことを話した。
「それは、嘘ではないなあ。アリスの近くにタキシードを着たシロウサギがいるではないか。」
リョウマが少し強引にシロウサギのぬいぐるみを抱っこして眠るタクミをカムイに見せた。
「シロウサギも連れて帰りましょ。(裏声)」
「ちょっとまってー!!」
「どうした?」
「セリフが違う!アリスの母親はそんなこと言わない!」
「アリスを迎えに来たお母様が言いそうなセリフに脚色をいれただけだ。」
「原作丸無視しているだろう。シロウサギを連れていくな!」
「これは違う。可愛いぬいぐるみという設定だ。アリス暗くなる前におうちに帰りましょ。」
「はいお母様。」
がしん。カムイの手を繋いでいるリョウマの手をマークスが掴む。
「さりげなく自分の設定をいれるな。シロウサギはアリスの見た夢だったという設定だ。」
「いやお母様が迎えにきて夢おちだったの終わり方もつまらない。」
「不思議の国のアリスはそんなものだ。」
ばちっ!ばちっ!と長兄の目線に火花が散った。カムイの手を離そうとしないリョウマ。離させようとするマークスの握力が食い込むもののリョウマは離さない。
「う〜ん。」
右手がリョウマに掴まれているため左腕だけでタクミを抱き抱えていたタクミの首が仰向けになった。
「リョウマ兄さん手を離してくれますか。タクミさんの頭支えられない。」
「すまない。それなら俺が抱き上げてやろう。」
タクミが顔をカムイの鎧のない胸元に擦り付けた。
「タクミさん。」
タクミが子供に戻っているとはいえカムイは顔をあからめた。
「カムイお姉ちゃん。」
「何ですか。」
「‥‥おかえりカムイお姉ちゃん。」
「ただいまシロウサギさん。」
こうしてアリスはタクミを抱き抱えてマイルームに帰っていきましたとさ。終わり。