おはようございます、ユカリです。また小話を書いてみました。この前の『来島また子の憂鬱』から続いています。
やはりかなりの下らなさなので、OKな方だけスクロール推奨です。
--鬼兵隊・来島また子の激走--
ちース、来島また子っス。
またしても引っ張り出されたっス。もういい加減にしろよコルァ、出演料貰うぞ?っス。来島だって暇じゃないっス。晋助様の様子をうかがってるだけの来島じゃないっス。
原作ではたまたまあんな感じに描かれてるっスけど、来島だって鬼兵隊の幹部っスよ?マジ忙しいっス。なめんじゃねーぞワレェっス。
まっ、幹部なんスけど、大抵は晋助様の動向を気にしてるっスね☆そこはホラ、来島も乙女っス☆
だってそうっス、晋助様は来島の神!!
唯一無二の晋助様っスから!
…そんな晋助様、最近あの眼鏡に夢中っス。名前は何て言ったか…確か『新八』っス。限りなく没個性で、唯一の取り柄がツッコミと眼鏡っス。そんくらい地味な野郎っス。
よくよく見れば可愛い?と言えなくもない顔してるっスけど、来島は眼中にないっス。とりあえず眼鏡は眼鏡っス。それ以上でも以下でもないっス。
その眼鏡なんスけど、捕まえられて三日も経ったら慣れたのか、元々適応力が高いのか、今は普通に家事してるっス。洗濯したり掃除したりしてるっスよ。マジふざけてるっス。パネェ眼鏡っス。眼鏡のくせに肝が据わってるんスよ。
拉致られてるのに、ハンパない適応力の高さっス。とりあえず有り得ないっス。
眼鏡が言うには、
「ただじっとしてろって、どういう拷問なんですか!タダ飯食らって踏ん反り返ってなんていられないですよ!」
と言うことらしいっスけどね。どんだけ貧乏性なんスかね?今では洗濯から掃除、果ては食事作りにまで手を出してる始末っス。
元々が男所帯の鬼兵隊、掃除もメシもかなり適当だったんスけど、眼鏡が、
「何日掃除してないんですか!病気になりますよ!」
とか言い出して、昨日なんか丸一日大掃除してたっス。
お前は松井●代か?っていう勢いっス。松井棒もハンパない数作ってるんス。そんなに船に割り箸あったの?っていうくらい大量に作ってるんス。
それを隊士全員に配る辺り、眼鏡はマジで眼鏡っス。しまいには晋助様にも渡す始末っス。
「高杉さん、はい!」
とか言って、普通に晋助様に松井棒を渡すんス。
割り箸にティッシュ巻いて、輪ゴムを括りつけたアレっス。マジ普通の生活じみたテンションっス。
…!?
ちょっ、止めろや眼鏡ェェェ!!
のんきに『はい!』じゃないっスよ!!のんきすぎて見落としそうになったっス!危ないっス!
晋助様にまで松井棒を渡すなァァァ!!
全く、どんだけ有り得ない眼鏡っスか。
もう、来島の心中はサイクロン状態っだったっス。嵐どころじゃないっス。これマジっス!
でもそんな来島の葛藤も虚しく、眼鏡はあっさりと晋助様にも松井棒を託したんスよ。
しかも、
「高杉さんも、自分の船くらい自分で掃除するんですよ!子供じゃないんですから!」
渡すだけならともかく、説教付きっス。片腕を腰に当てて、したり顔っス。マジ眼鏡ふざけてるっス。
ちょ、マジで眼鏡、お前ふざけすぎっス。
だって、あの晋助様と対峙して、その態度っスよ?
来島、それ見た時は恐ろしくて拳が超震えたっスね。眼鏡、ミンチにされるかと思ったっス。
だって、晋助様は誰の指図も受けないんスよ?晋助様は誇り高く気高い、孤高の獣なんスよ?
晋助様はこの腐った世界を壊す為に突き進む、カリスマ攘夷志士なんスから!
あーマジやべェェェ!!
晋助様パネェかっけェェェ!!
超やべーっス。来島、晋助様の攘夷論を語るとマジ脳内麻薬がドクドク噴出するっス!!
軽くマグマっス、晋助様は神っス!
だから来島、眼鏡が晋助様に対してそんな態度を取ってるのを見た時は、
『オイ眼鏡ェェェ、お前死ぬ気なんスか!?つーか眼鏡割ってやろうかァァァ!?』
って思ったっス。ハンパないガタガタきたっス。拳の震えが全身に回ったっスね。だって、晋助様の怖さは部下である来島もよく知ってるっスから。
例えば、晋助様は人を斬る時も、顔色一つ変えないっス。ただ斬った後、いつもの薄い笑みを一瞬だけ唇の端に乗せるんス。そういう時の晋助様はハンパないかっけーんスけど、ハンパないこえーっス。
オーラがマジ凄いんスよ。まがまがしい…って言うんスかね?とりあえず圧倒的なオーラなんスよね。
正直、初めて見た時は来島マジでビビったっス。ぶるったどころじゃねーっス、とりあえず隣の武市先輩の着物の袖を握り締めてガタガタ震えてたっス。
『また子さん、私は成人女性は範疇外ですよ』
って散々言われてもガン無視っス。武市先輩の性的嗜好なんて知ったこっちゃなかったっス。ガクブルっスよ。
もうチワワっス。
マジ、晋助様の前でハンパする奴は全員チワワになるっスよ。
…あ、ビビったっつーか、晋助様のオーラに感銘を受けただけっスからね。ちょっと語弊があったっス。とりあえず言い触らしたら散らすぞコルァ!!っス。
だからっスね、松井棒を差し出してくる眼鏡を見つめ返した晋助様の表情を見た時、
『あーコレ、眼鏡死んだっスね。ププ』
って来島は思ったっスよ。うん。
でも…でもでも、晋助様は腰の刀を払うこともなく、
「ククク、しょーがねェなァ…パチの頼みだ」
って唇を微かにつりあげて、薄く笑っただけなんスよ!
松井棒を押し付けられてんのに、パネェ上機嫌なんスよォォォ!!!!
えええ、ちょ、えええ、晋助様マジっスかァァァ!!??
晋助様+松井棒なんて、あってはいけない組み合わせっス!
有り得ない科学変化っス!
マジハンパないっス、ある意味テロっス。視覚的なテロリズムっス。来島の中の晋助様像にも、微かに亀裂が入ったっス。『ピシっ』ス。
あああ、晋助様ァァァ!!
…。
で、でもさすが晋助様、テロリズムの鬼っスよね!!己を犠牲にしてまでテロリズム精神を解くなんて、晋助様はやっぱり神っスよ。さっきの亀裂もさっくり修復っス!さーせん、さっきの『ピシッ』はカットでお願いするっス☆
要は、「晋助様にチクんなよお前らコルァァァァ!!!!」っス☆ミ
そんな訳で、鬼兵隊の屈強な男達も昨日は一日大掃除っスよ。当たり前っス、晋助様がやることを部下がやらない訳にはいかないっス。
鬼兵隊は完全なる縦社会っス、遊びでつるんでる訳じゃないっス!
しかもそれで終わったら良かったんスけど、眼鏡の野郎、あまつさえ食事作りまで始めたんスよね。作り慣れているのか何なのか、やたら手際もいいっス。大根なんて、リズミカルにトントントントン刻んでいくっス。それで一汁三菜をきちんと作ったんスよ。どこかで嫁の資格でも取ったっスかね?
でも来島、味噌汁なんて飲んだのマジで地元に居た時以来っス。これには若干感動したっスね。
あ、もちろん若干スから!完璧に眼鏡を認めた訳じゃないっスから!
ま、万斉なんて単細胞だから、眼鏡の作った料理にパネェ感動して、
「新八殿は料理が上手でござるな。拙者も新八殿のような嫁をもらうかな」
なんて言い始めたっス。
お前そういうキャラだったっけ?状態っス。何かいい人化してるっス。有り得ないっス。
誰っスか、万斉をこんなほっこりキャラにしたのはァァァ!?
…眼鏡っス。
お玉を持ってお代わりをよそっている、そこの眼鏡なんス。
もう万斉は完全に眼鏡に敗北したっスね。胃袋掴まれまくりっス。しかし、味噌汁には男の郷愁を誘う魔力があるっスかね?
あっ、来島は料理なんてできなくても関係ないっスよ?このチャーミングな容姿があれば、来島は充分なんス!!
…。
…誰だこっちチラチラ見てる奴、何か言いたい事あるなら言えやコルァ、蜂の巣にされたいっスかァァァ!!
うがァァァ!!
…。
…さーせん、ちょっぴり取り乱してしまったっス☆料理なんて、来島みたいなプレミアムモテ子だったら卵かけご飯ができたら充分っスよね!
テヘ☆ミ
とりあえず鬼兵隊の隊士達の胃袋をがっちり掴んだ眼鏡は、拉致られたという身分も忘れて、今日も家事に没頭してるっス。落ち着いて座ってもいないっス。
それはそれでいいんスけど(船もピカピカになるっスから)…問題は晋助様っス。
晋助様、やたらと眼鏡の側に居るっス。今やもう、眼鏡の居る所に晋助様ありきっス。
マジやべーっス、あの晋助様が生まれたての小鳥のようっス。刷り込みかっていうくらい眼鏡の側に居るんス。
眼鏡が甲板で洗濯物を干したりしている時も、
「…おいパチ、まだそんな事してんのかァ?」
とか言って、後ろから眼鏡の腰を抱いたりしてるんスよ!しかもまた顔を覗き込んで、皮肉めいた例の笑いでニヤリっス。独眼を三日月のように細めて、妖しく微笑むんスよ。
…!!
うぎゃああああァァァ!
晋助様超絶かっけェェェ!!
目が潰れるっス!
来島、マジで倒れる寸前っスぅぅぅ!!
それなのに、そんなハンパない晋助様のスキンシップにも眼鏡は相変わらずなんス。
「あーもう、うっとおしいなアンタは!ベタベタベタベタ、子供ですか!?手伝ってくれないなら邪魔しないで下さいよ!!」
本当に迷惑そうに晋助様を振り払うっス。マジ眼鏡ふざけてるっス。本当にふざけた眼鏡っス。
その眼鏡は何なんスか、単なる飾りっスかァァァ!?
やっぱり来島が割るしかないっス。
ふざけまくってる眼鏡は、晋助様の怒涛のセックスアピールにもまるで動じないっス。普通はここで、
『ちょっ、止めっ…、んっ!?』
みたいな展開になるんじゃないっスか?ぶちゅーっといくんじゃないっスか?
BL?って詳しくないっスけど、来島にもそれくらい分かるっスよ。
要は、
「空気を読めや眼鏡ェェェ、レンズ割ってただの伊達眼鏡にすっぞコルァァァァ!!」っス。
だって、そうじゃないっスか!?何で眼鏡はまたもくもくと洗濯物を干す作業に戻るんスか!晋助様の回した腕はどこに行けばいいっスか!?
あああ、もうやべーっス!来島、軽く涙出てきたっス。
しかも晋助様も晋助様で、ちょっと肩を竦めただけで何も言わないんスよね。そのまま煙管を取り出したりして、黙ってふかしながら空を見つめてるっス。
その視線の先には青空と眼鏡…
広げられた白いシーツ…
って、何スかこの純情展開はァァァ!!!!
有り得ないっスぅぅぅ!!
マジ、このサイトに居る他の晋助様と同一人物だとはとても思えないっス。どうしたっスか晋助様、普段の晋助様のただれたオーラとはまるで真逆の行動っス…。
これが恋の魔法のなせるわざなら、マジ眼鏡パネェっス。晋助様のハートを弄ぶなんて、パネェ小悪魔っス。
眼鏡と小悪魔っていう単語が並ぶのにもイラッとするっス、ウス!
…でも、でも、でも、仮にっスよ?有り得ないんスけど、もし仮に、晋助様が眼鏡を大事にしようと思ってるなら…。眼鏡の気持ちを尊重して、手を出さないでいるとするなら…
それなら、来島にも考えがあるっス!
簡単っス。
眼鏡に、『晋助様にフォーリンラブ☆ミ』になってもらうしかないっスよ!!眼鏡が自発的に晋助様を好きになるよう持っていくっス。
待ってて下さい晋助様ァァァ!!
この来島が、晋助様の為にやり遂げてみせるっス!!
【続く】(えええ)
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