ソルトside
私は今日、けじめをつけるためにあそこにいく。
けじめを・・・縁をひとつとして残さず切るために
私は部長失格だ。
弱くて臆病者でなにも出来ない、全てが嫌になって逃げ出して情けに答えられずへまばっかして。
なにしてんだろ、自暴になった時だって、人が助けてくれた
もう嫌なんだ、飽き飽きしたんだ
ここまで弱い自分に。
久しぶりに履いたブーツは改めて見てみると嫌な赤黒色がこびりついていた
あの日も・・・この靴で出掛けたんだ
これはきっとあいつの返り血
息が乱れてきて体中を嫌な汗がダラダラと流れてくる
頭がぐるぐるとせがわしく回ってきて何が何だか理性が止まらなくなる
数分間地面にひたりこんだまま一本として動けなかった
でも今日は行かなきゃならない。
思う人がいなくなったあの部室に。
けじめをつけに行かなきゃ・・・。
おたべがいなくなったあの部屋に、入るのが本当に怖かった。
マジックside
ちらっとあのソファーを見れば主を無くした寂しげな姿が目に入った
ソルトさんが学校に来なくなって・・・もうひとつきか?
相変わらずヨガはソルトさんにべったりらしいし、バカモノもソルトさんの席を睨んでる
あの後バカモノに話を聞けば、やりすぎたと自覚しているらしい。
確かにおたべを慕っていたバカモノはソルトさんが憎いらしい。でも「人殺し」までとは思ってないみたいで反省はしてるっぽい
「なあバカモノ」
「なんだよ」
バカモノのつぶらな瞳に私が映ったところで口を開いた
自然と顔がニヤけてしまう
「この後さ、行かないか」
「どこに」
「会いにだよ。あんたのだーいすきなあいつに」
そう言えばむっとした怒りっぽい顔になった
「皮肉か??それとも本当に?」
「さぁ?どっちだろ。まあどっちに会いに行くかは決めていいよ」
バカモノの好きなあいつに会いに行くか・・・それとも尊敬してるあいつに会いに行くか
まあどちらとは言えないがバカモノならきっと両方を選ぶだろう
「じゃあ私は・・・、先に......に会いに行く」
「そっか、先に、でいいんだな」
「あぁ」
どこに行ったかなんてまだ言えないけれど、ひとつだけヒントを教えてあげる
バカモノのだーいすきなあいつに会いに行ったんだ