つまらなくはなかろう、と観には行ったが、オーシャンズシリーズって正直、あんまりおもしろくないよね(ドーン)
オーシャンズ11から13まで観たは観たけど、ぜんっぜん内容を覚えてない。
11は少し覚えてて、12はキャサリンゼタジョーンズが参戦して、13はもうぜんっぜん内容を覚えてない(2回目)
このシリーズがいまいち面白くないのは、誰がどういった活躍をするのかきちんと見せてくれないところではないかと。
つまるところ活躍を丁寧に描くには11人は多すぎると思うのよ。
じゃじゃーん実は彼も仲間でした―みたいなオチがきても、そもそも今何人仲間で何人活躍してる?ってのがわからないので「ふーん」程度の感想しかでてこない。

そんなこんなで今回は8人の女がダイヤを盗むお話。完全なネタバレはしないようにするけど、ネタバレ仄めかしてしまいそうなのでご注意。

主人公はオーシャンズシリーズの核ダニーオーシャン(ジョージクルーニー)の妹である、サンドラブロックである。
えー、ナインボール(リアーナ)以外全く役名を覚えていないので役者名といつも通りの適当なあだ名を付けて観ていたわけだが、なんていうかさ、……やっぱあんまりおもしろくない。つまらないわけではないんだけど。

とりあえず記憶にあるオーシャンズ11て、綿密に練り上げた計画の中で次々とおこるハプニング、まだ若造のメンバーが「ボクにもできる!」ってイキッて失敗しかける、というイライラシーン満載(←)だった気がするんだけど、8はそういうのがほぼ無い。
もう清流のごとくサラサラと流れて劇終である。これはこれでストレスがなくていいんだけど、どいつもこいつも落ち着きすぎてないか?
サンドラブロックと古くから付き合いのある同業者っぽい数名の落ち着きはわかるんだけど、この人カタギちゃうんかいってヤツら(インド系宝石鑑定士とファッションデザイナー)がこんなに失敗なく遂行できるもんなのか!?
ついでに言うと、字幕の訳し方が問題なのかもしれないが、「男の力は借りない」キリッとか言っていたくせに、あのザマはなんだよ。
8以外の人間が盗みに大きく加担している辺りで、話しが破たんしているやん。←なんか韻をふんでラッパーみたいになっとる。
いくつかの映像のカットにより、「あ〜これはやられますわ」と薄々オチは読めていたけど、ここはもうエントラップメントのゼタジョーンズバリに誰かに盗ってほしかった。

最終的にこの映画の見どころって、シーンごとに変わる女たちのファッションじゃないかと。サンドラブロックの、普通マジ普通!!みたいなトレンチコートファッションまでとにかくかっこいいんじゃ!!普通の低めのポニーテールすらオシャレなんじゃ!!
それに、コートを着るときおしゃれさんたちは長い髪はどうするのかと常に考えていたが、答えはこの映画にある。 
答えは、「コートの中に入れてしまう」 である。首の辺りにちょっと「もりっ」となってる髪がまたかっこいい。
サンドラブロックと、その相棒のルー(名前思い出した)ルウ?もまたサンドラとは別路線のお洒落さんでカッコいい。やたらとタイつけがち。

今作は8人全員の活躍は見事に描かれている。誰がどんな役回りで配置されているか、わかりやすかったのは良い。11の時はジョージクルーニー、ブラピ、マットデイモン、ミスター伊藤、ほかよくわからん白人男数名みたいな、名前も顔も覚えられない特徴のないヤツばっかり多くて、さっぱりわからなかったんだ。
しかしやっぱカタルシスがないと映画の盛り上がりが弱いのかと思わされる映画であったが、綺麗なおねえさんの七変化を観るには良い。あんな一瞬でピタピタのドレス着て髪をアップにして化粧を整えられるかボケェとかいうつっこみは胸の内にしまっておけ。

そして検察側の罪人だ
日本映画らしい、陰湿な映画だった…。
パッと思いつく好きな邦画といえば、「告白」「さまよう刃」「クライマーズ・ハイ」「ちいさいおうち」「HANABI」あと「菊次郎の夏」(←)
…オールウェイズ三丁目の夕日とか言える人間じゃなくてホンマすいません。そもそもオールウェイズみたいな映画観たいとも思わない人間ですいません。 

大抵の映画は下調べ(大まかなストーリー)すら調べず、予告編だけ観て行くためストーリーの本筋がよくわからないのだが、私が予告編をみて組み立てたストーリーは「何が何でも犯人に仕立てあげたい被疑者に、検察が証拠をねつ造したり調書を書き替えて陥れようとすることが日常的に行われているキムタクと、それについていけない後輩検事ニノミヤさんの葛藤」だった。

結果は当たらずともさして遠くもなかったのだが、この映画の最大のテーマはキムタクこと最上検事が口にしたあのセリフである。
「おのおのが信じる正義に固執し過ぎると、その検事は悪に落ちる」 的なセリフ。
この映画の登場人物たち(検事側)は各々が確固とした「正義」を持っているのだ。キムタク最上ももちろん、キムタクに心酔している後輩の二ノ宮も、二ノ宮の事務次官である吉高さんも。
法という劔を持った検事の二人と、ペンという劔を持った吉高さん、他にもおのおのが信じる「正義」信念をもった人間たちが交錯し、葛藤する。

キムタク最上が陥れたい被疑者は、かつて最上のかわいい妹的存在の少女を強姦殺人した事件の重要参考人で、この男の取り調べ中の態度ときたらもう不快感マキシマム!今すぐ地獄に落ちてくださいと全力で送り出したくなるようなクズなのだ。
こいつを有罪にするために動くキムタク最上を応援する気持と、暗躍する最上の動きをニノに告げ口して冤罪を防ごうとする吉高さんの、やってることは正しいけど邪魔すんな!って気持ちと、観ている側にも「正義の葛藤」を抱かされる。
それぞれの正義を全うしようとすると、完璧なる白ではなくグレーなことに手を染めたり全くの黒なことをせざるをえなかったりする。
それらの複雑な心情がどの登場人物(検事側)にも感情移入してしまって、結末までソワソワしてしまうのだ。

この事件と同時に、戦争の話しとキムタク最上の級友の賄賂事件の話しが挟まってくるんだけど、正直ここら辺の話しはあまり説明がないまま時折カットインしてくるので、よくわからないまま結末につながってくる。
噛み合わない三権分立と、正しい事をしようにも味方がいない、非現実的な事件を日常的に相手にしていると自分も知らぬ間に非日常が当たり前になってしまう、など物語のキーワードは拾えるけど、よくわからないんだよねー。
ここら辺は原作を読めということなのか…。

ともあれじっくりと腰を据えて、「葛藤」を噛みしめる映画であった。
気になる点と言えば、キムタクがヤクザ?ブローカー?の松重さんに会いに行く時のテクテクシーン。
あのキムタク感丸出しのヨタヨタ歩きは何とかならんかったのか。あれがHEROの久利生検事ならいいけど、最上検事はもっとシャキシャキ歩くだろ!!
ついでに吉高さんのぱっつんおかっぱ頭、なんであれにした…そんなにかわいくもないし時折すごくババくさいし、もうちょっと吉高さんの素材を生かす髪型あっただろと!思う。
あと芦屋星さんの生声聞きたかった。