ソルトside

今日は特別おたべの帰りが遅かった・・・。いつもなら一緒に帰って一緒に過ごす・・・だけど今日は先に帰るよう背中を押されたのだ

「大丈夫か・・・?」

おたべがいないリビングは・・・どこか寂しくて苦しくて・・・。
今は7時半頃、もう辺りは真っ暗闇に包まれている

「ただいま〜」

聞き慣れた大好きな声。とっさにソファから起き上がって抱いてたクッションもほり投げた

「おたべ!!」

「ん?なんや??」

口調こそはいつも通りなのに・・・いつも通りじゃない、おたべの頬には真っ赤な鮮血が飛び散り所々傷跡もある

服だって返り血か傷血か分からないほどに真っ赤な色に染まっていた

「なんだ・・・それ」

「えっと・・・ちょっと転んでな?」

これが本当だって誰が信じるんだろ?少なくとも嘘だってすぐに分かった。
傷口が痛むのか時々顔を痛みに歪ませる

「・・・られた」

「え?」
「誰にやられた!?ぶっ殺す・・・」

取り乱れたと気付いたのはおたべの冷たい手だった
熱上がった体にはおたべの冷たい手がちょうどよく体温を下げてくれた。

「あたしはええで?大丈夫やから・・・」

「おたべがよくても!私は許せない」

じっと目を見つめられる。おたべの目は吸い込まれそうなほど真剣だった

「これはあたしの問題なんやで?ソルトは首突っ込まんでええねん」
「でも・・・嫌だろ大切な人が目の前で傷ついてるのに黙ってるとか・・・」

「あたしの事好きじゃなくて火の粉吹っかける奴もそりゃおる、そいつはそいつの行動なんや
ソルトがあたしを大事に見てくれてんのは嬉しいで?でも・・・
ソルトは動かんといて?お願いやから・・・」

そのおたべの言葉にどんな言葉が含まれているのかは分らない・・・

凄く深い意味なのか、その場しのぎの軽い言葉なのか・・・

でも嫌だ・・・黙ってみてるとか。

なんで大切な人が目の前でさんざん言われてるのに指くわえなきゃいけねぇんだよ・・・

私は・・・そんな大人な考え持てるほど・・・

大人じゃないんだ。

自分の弱さには・・・悲しくなって頬に生暖かい何かが伝った。