ソルトside

最後の1発、こいつに叩きつけた後大きなあくびをした。

もうこんな時間か・・・

黄金に輝く茜色の街並み

ヒラヒラとまいおちていった枯葉は今日この日の緞帳を下ろしたようだった

「まだやっ・・・まだ終わってへん・・・」

今さっき殴り飛びした・・・誰だっけ?

まぁ誰でもいいか

「何度立ち上がろうと同じだ・・・諦めろ・・・あんたは負けたんだ」

「黙れ!あたしは部長なんや・・・負けるわけにはいかんねんっ・・・クソッ!体が動かへん・・・」

そいつにそう言われてここがラッパッパの部室だと気付く

「部長・・・か・・・残念だったな・・・今日から私が部長みたいだ・・・」

生まれたの子鹿みたいに起き上がろうとしては肘がガクッと折れ地べたに倒れる元部長

そいつの腹にありったけの力をこめ叩き込んだ

「がぁっ!!」

乾いた声を漏らした元部長

「とっとと出ていってくれ・・・ここは私の部室だ」

元部長の体を何度も蹴り付け部室の外まで転がしていく

「まだや・・・終わってへんねん!」

なんだこいつ・・・

ここまでしぶといのは初めてだ・・・足を大きく振り上げ元部長の頭に焦点を合わせた

そして思いっきり下に叩きつける

じーっんとした鈍痛が足を走り抜ける

元部長は目を見開いて驚いていた

「何度も顔に傷を作る・・・?そこまで私は冷酷じゃない・・・」

わざと元部長の横のコンクリートに足を振り下ろした

「ここの部室・・・私だけじゃ広すぎるようだ・・・。椅子も余ってるようだしな・・・」

さっき四天王ってやつから剥いでおいたスカジャン

その内の一枚を元部長に放った

「っ・・・どういうことや・・・、あんたに付け?嫌や・・・絶対付かへん」

ズキンと痛む心臓

「なんであんたなんかと・・・それやったら独りになったほうがマシや!!」

独りの方が良い、そんなこと言わないでくれ・・・

「部長としての・・・命令だ、あんたは私に付け、四天王になれ」

元部長の右腕を掴んでぐっと引っ張った

「嫌やっつってるやろ!あんたのことなんか大嫌いや!独りのラッパッパとしてやれ

全部言い切る前に元部長の口を片手で塞いだ

「もう・・・言うな・・・、それ以上。
お願いだ・・・それ以上・・・言わないでくれ」

思い出したくもない過去が頭を流れる

『嫌だ・・・独りは・・・。
独りにしないで。
また私の前から消えるのか。
辞めてくれ・・・もう悲しみたくないんだ。
自ら孤独を選ぶか?悲しまないため。

独りは・・・嫌だ・・・』

知らずの内に元部長の肩をぎっゅと力込めて握っていた

喘息の症状が出てきて息をする度にヒューヒューと音が鳴る

この過去を思い出した時必ずこうなる

「島崎・・・?」

私の異変に気付いたのか心配そうに顔をのぞきこんできた

「言うな・・・独りが良いなんて・・・ダメだ・・・独りは・・・。」

途切れ途切れにやっと絞り出した