昨日は結構動揺してましたユカリです。どんくらい動揺したのかと申しますと、昨日は晋助のことを考え過ぎていて、息子(2)を呼ぶ時にナチュラルに『晋助!』って呼んでたくらい動揺してましたよね、ええ(哀しい実話)。これは小学生が先生のことをお母さん呼ばわりするのと同じ原理ですからね、どんだけ晋助のことを呼び慣れてるかと言いますか、つまり小学生からユカリの頭の中身は対して変わらないんでね。悲しいくらい、変わらないんで(自分を戒めるために二度いう)
当然のことながら、訳もわからぬ男の名で呼ばれた息子(2)はポカーンですし、そんなんマジ初めてだったからユカリも狼狽えましたよ。一体全体、私の中の晋助の区分ってなんだろうと思いましたさ(息子なの?)。まあ彼氏やら旦那やらを呼び間違えるよりはいいんじゃなかろうか。そういう事にしておこうよ!
昨日は色々と気遣って下さるコメントもいただきまして、ありがとうございました。動揺はしましたが、ほんっとにユカリは大丈夫ですよ〜!お気遣いなく。
でもさ、でも、あの、その……
晋助があんなんで死ぬはず無いよね?ね?
「アイツがあんなんで死ぬタマかよ。思わせぶりなんだよ毎回毎回よォ」って、銀さんも文句言うよね?
「奴があれくらいで死ぬ筈がないだろう。何回死線を潜ってきたと思ってる」って、桂さんも呆れた顔で言うよね?
晋助大丈夫かな。あんな、血塗れの死闘を繰り広げた満身創痍の身体で後ろからぐっさりやられて……てかオメーさっちゃんを後ろからぐっさり刺した罰が当たってんよ、ほら見たことかオメーはよ、とは思わなくもないが(本音)、晋助大丈夫かなあ。晋助が生きててくれるとユカリは嬉しいけど、でもそれもエゴなんでしょうか。
だってさ、今の今まで晋助がしてきたことをご覧よ。いくら晋助側の言い分があれども、尊い人命を奪っていい理由なんてひとつもないからね。桂さんの言う通り、江戸に住まう大切な人達やかけがえのないものまで壊しかねないアイツのやり方は危険すぎるっつーの。晋助に殺されたモブにも、家族がいただろうさ。好きな女もいただろう。
アイツがしてきたのはそういうことさ。
でも、それでも晋助にはまだくたばって欲しくないな。うすらぼんやりだけども、アイツが死ぬ時はせめて銀さんにトドメを刺して欲しい、とはずっと思ってたんだ。それをさ、あんな風にさ、まるで闇討ちみたいにして後ろからぐっさりはねーよな。しかも銀さんとの決死の闘いで疲れ切ったところをね。
朧さんも出てきたってことは天導衆もまた絡んできてるのだろうし、天導衆やらにとっては銀さんも晋助も、等しくやっかいな男達でしょうよ。松陽先生が遺した愛弟子たち三人は目障りで目障りで仕方なかろう。むしろ銀さんと晋助との死闘では共倒れを狙ってたレベルじゃなかろうか。
だって銀さんと晋助を相手取るより、より弱った方を殺った方が自分達の消耗も少ないしね。賢いやり方ですよ、そこが地球の猿共とは違うのだろう。
銀さんと晋助が共に敬意を払って、かつての仲間だから、いや今でも仲間でありたいからガチで闘ったのにさ、そんで負けても晋助はあれだけ満足そうだったのに、そんな晋助をよく殺れんなオイ。
ほんとユカリ怒った、何なんだよ、とは思った。滅多に怒らんのに。
でもさ、そんなんでな、そんなんで晋助が死ぬと思うなよ。晋助の魂が死ぬと思うな。
とりあえずはユカリ、晋助にとっても生きていて欲しいんだ。銀さんだってそうだと思う。だからこそ、晋助の刀を折ってまで、晋助をゲンコツでブン殴ってまで引き止めてくれたのだと思う。
それはただ殺すより、よほど難儀な行為ですよ。でも松陽先生から晋助や桂さん、松下村塾の皆を託された銀さんだから、晋助をああやってゲンコツで止めに来たんだよ。真剣じゃない。己のゲンコツでさ、ガチでやり合って。
銀さんが晋助を大切に思う気持ちがなければ、あんな風にできないんだよ。
そして晋助が銀さんを大切に思ってなければ、負けたときにあんな風に優しく笑えないの。本当にそう思う。銀さんが「松下村塾の高杉晋助の魂を護る〜」って言ったあとに、
「まだ破門されてなかったんだな」ってふっと微かに笑んだ晋助は、あの時の一瞬は確実に憎悪に囚われてなかったよね。
闘いの最中ですけど、銀さんに向けたあの笑み(晋助が原作で初めて見せた優しげな笑み)は、そりゃもちろん優しかったけど、どこか寂しそうだったから。でもそれはかつては共に学び、剣を持ち、バカやって喧嘩して、でも共に先生からのゲンコツで制裁されてた銀さんと、マジで命を取り合う闘いの最中だったから出てきた笑みなんだと思うよ。
俺もてめェもこんなとこまで来ちまったな銀時、っていう。
晋助の銀さんに対する想いって、単なる『かつての同志』を超えたところにあるもんね。だから紅桜の時、岡田さんにそう言われてブチ切れたんだろうし。誰にも触って欲しくないんだよね、その傷には。
晋助にとっての銀さんって、己の胸に刺さった永遠に抜けない棘なんだろうね。先生を喪い、左目を失った時、その左目が最後に映した光景は銀さんの横顔だったんだものな。銀さんが泣いてる顔なんて、正真正銘その時初めて見たんだろう。
左目の傷は時が経ち癒えても、晋助の心につけられた傷はずっと鮮血を流し続けてるんだろうね。晋助が死ぬまで、それは疼き続けるんだよ。
先生を奪った幕府を呪い、先生を殺した銀さんを憎み、それでも銀さんの苦悩もちゃんと知ってるから、かつての晋助は己を修羅に駆り立てることでしか生きていけなかったんだと思うな。先生を誰より喪いたくなかった筈の銀さんが、それでも戦が終わってからありのままを受け入れて生きていくのに対して、憎悪を滾らせたこともあったろうね。
お前だけは許さねえ、と思っただろうね。もう愛憎表裏一体ですよ、そこはホラ。
本当は晋助だってさ、銀さんを仲間としていちばん側に感じてたんだからさ。共に先生のもとで学んだダチ公と思ってたんだろうし、いや晋助は言わないけど、絶対言わないけど、でも何よりも銀さんと桂さんは大切にしたの。いちばん近いダチ公として、仲間として。
でもそういうかけがえのない、まばゆい景色を見ていた左目はもう失われた。そこで見ていた景色や憧憬、絆を永遠に閉じ込めてね。
晋助の気持ち、憎悪とか苦しみとかを考えるとやりきれないけど、でも晋助にはどうすることもできなかったんだろうな。先生を助けたいがために戦に行ったのに、結局や先生を死に追いやった己を呪ったこともたくさんあっただろうなあ。
だけどまだ死ねない、まだ俺ァけじめをつけてねえ、って己を奮い立たせて、たくさんのものを捨てて、殺して、前に進まざるを得なかったアイツは……とてもかなしい男だなあ。何でお前はそういう風な生き方しかできなんだろう、って、ユカリなんて単純だからすごく思ってしまうな。
晋助の奥底に流れ続けているかなしみと、苦しみ。怒りや憎しみ。でもそれと同じくらいある先生に対する思慕や、銀さんや桂さんに感じる確かな絆を今回はとても感じて、胸が苦しくなります。
晋助が愛しいなぁ、と今回は改めて思いました。ほんと愛しく思う、アイツを。かつての己の弱さを抱えてのたうち回り、傷つきもがいて、間違っていたとしても前へ必死で進もうとしたアイツを愛しく思う。
松下村塾の高杉晋助はさ、かっこいい男だと思うよ。銀さんには負けたけど、でも、アイツはかっこいいな。
晋助はユカリの中でいちばんかっこいい男なんだよ。