劇場で見たかったが見逃がして、ようやくレンタルした2作。
「滝を見にいく」、「ソロモンの偽証 前編/後篇」どちらも良かったのだ。

まず「滝を見にいく」
これは地元である新潟県で撮影されたことと、主演女優さんは殆ど素人(撮影地の妙高在住の女性、とか演技経験のない方)ってあたりに興味があったものの、上映回数少ないし時間も半端で見逃してしまったのだ。

ストーリーをひとことで言うとおばちゃん7人が山で遭難する話。
これがほっこりしててジワジワとおもしろかったのだ。

幻の滝を見にいくバスツアーに参加したおばちゃん7名、頼りないツアーガイドと山に入ったものの道に迷ってしまう。
まだなの〜?とおばちゃんに詰め寄られて焦るガイドが「様子を見てくるのでここで待っていてください!(汗)(汗)」と言い残し、…帰ってこない。ガイドを探しに更に山に入っていくおばちゃんたちは、山で迷子→プチサバイバル生活となっていくのだ。
おばちゃん7人というのがまず、おっとりして手芸が好きなジュンジュン、自営業の美容師ユーミン、 最近太極拳始めたセッキー、写真展に出す写真を撮りに来た師匠とスミス、腰に爆弾を抱えているクワマンとオペラ経験者のクミ。
ツアーで一緒になっただけのメンバーが対立しつつもしだいに協力し、いつの間にやらお互いが愛称で呼びだしたりする辺りにニヤニヤしてしまう。

序盤、道に迷わないようにとんがりコーンを矢印のように地面に置いていくスミス。惜しみなくとんがりコーンをガンガン置いていく様子に、観ているこちら側としてはこの後遭難するのに食糧無駄遣いで責められるんじゃ…!?とか心配してると、劇中のクワマンも「それで(道しるべとして)足りるの〜?」と心配するのだが、「大丈夫。まだあっさり塩味とバーベキュー味があるから。」ってどんだけとんがりコーン持ってきてるんじゃい(笑)!!
これが無尽蔵におやつが出てくるおばちゃんのカバンあるあるだ。
この他にもおばちゃんあるあるが随所に出てきてニヤニヤが止まらない。

その後遭難した後も焚火を囲んで若い頃の恋バナしたり、歌を歌って爆笑したり、遭難しているんですけどって状況なのに童心にかえってちょっと楽しんでいる様子がとてもかわいい。
ここら辺が若い女性ではなく、人生の酸いも甘いも経験している胆の座ったおばちゃんではないと描けないところではないか。
ジタバタ騒いだってしょうがない。誰かを攻めたって好転しない。成行きに任せる!
これは若くて体力があると余計な事してこじらせそうじゃない。それに中年男性でもこうはならないのでは。

中盤に、素晴らしいセリフが出てくるんだ。

「40過ぎたら女はみんな同い年!!」


これがこの映画のキモだと思うんです。
そして確かユーミン役の方以外は、ほぼ演技経験のない人たちだったと思うの。
だけど全く違和感がない。セリフ棒読みとか大げさ、とかもなく、普通の等身大のおばちゃん。ありのままのおばちゃん。
健康食品の話とか不健康自慢とか、中年の会話によくあることを自然にやっている。

よく2時間モノのサスペンスドラマとか見てると近所の人に聞き込みとかのシーンで大げさに「あっ!そういえば、あそこのご主人!こないだ…」みたいなセリフがあるけど、リアルで警察に聞き込みされてあんな話し方出来る奴いないよね。
「犯人は…ま、まさか…!!」とか現実に言ってるヤツいたら厨二くささに引くんだけど。
ああいう系のドラマってベッタベタな演技だけど、あれが求められているからあの演技なの?
素晴らしい演技って何なのだろうか。

超サバイバル生活をする的なスペクタクル映画を望む時にこの映画は向かないが、脱力してほんのり笑って、ほんのりグッとくる、そんな映画だ。
おばちゃんたちは助かったのか?幻の滝を見ることはできるのか?というのは内緒にしておきます。
ついでにおばちゃん軍団映画として、見ていて「デンデラ」を思い出した。これは「姥捨て山のその後」を描いた話。
正直オチを思い出せないんだけど、「自分たちを捨てた奴らに仕返ししてやる!」と思ってたらそれどころじゃなくなったってストーリーだったことは覚えている。

さてまずは、とか言っていたし言いたいことは他にもあれど、疲れたし「ソロモンの偽証」について言いたいことはまた今度にしよ。