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ACT1-(4)

「小鳥遊さん、おはよー。」
「おはよー。」

次の日、小狐丸を連れて咲良は学校に登校した。
案の定、彼は他の人間には視えていないらしく、ひとまずは安心した。

「(これで何もなければ今まで通りと何ら変わりない生活を送れるはずなんだけどなー…………。)」

「おい、見ろよ。また霊感女が来ているぜ。」
「どーせ、嘘つきなんじゃないのか?」
「ちょっとアンタ達、そんなことを言うのやめなさいよ!」
「そうよそうよ、嘘つきとか言ったら失礼じゃない!」
「小鳥遊さんは頭がお花畑だけど!」
「ちょっとちょっと、お花畑にはなっていないから!」

男子達の陰口に対抗する同級生に咲良は突っ込みを入れた。
毎度毎度こんな感じで、女子と男子が対立しているのだ。

まぁ、だからと言って親が首を突っ込んできたことは1度もないのだが。

「…………………小狐丸、子供の言うことだからね?いちいち突っかからないでね?」
「ええ、わかっていますとも。」
「…………ホントにわかっている?」
ジト目で小狐丸を見ると彼は明後日の方向を向いた。
「(ホントに大丈夫かなぁ……………。)」



給食の時間が終わり、お昼休みの時間に差し掛かった頃、全校集会が開かれた。
「えー、最近、通り魔が出没しているらしく、
えー、しばらくの間、保護者の皆さんに登下校についてもらうように……………。
隣の地区では斬りつけ被害に遭った子もいますので、
警察や地域パトロール隊の方の協力の元、警戒を強めますので…………。」


校長の話を聞いていた咲良は違和感を感じ、キョロキョロと周囲を見回した。

「どうしたの?小鳥遊さん。」
「………ちょっと、嫌な予感がして……………。」

咲良が頭上を見上げると同時に、空間に歪みが現れた。

「………………え?」




続く。



ACT1-(3)

小狐丸を連れて帰った咲良は、一軒家に到着した。
「………そう言えば小狐丸って、視える人にしか視えないの?」
「はい。視える人にしか視えません。」
「………じゃあ、視えない人には視えないのか………。
でも視えるようにはできるんだよね?」
「ええ、そうですが。
……それがどうかなされましたか?」
「小狐丸、ルールを設けるからそれを守ってね。
でないと、知らんぷりするから。」

咲良の設けたルールというのは単純なものだった。

@24時間365日そばにいてもいいが、
自身の悪口や陰口の類を言った者に斬りかからないこと。
A子供同士の喧嘩は
咲良から言ってこない限り、基本的には手を出さないこと。

「………………まぁ、大雑把に言えばこの2つのルールさえ守ってくれれば
それでいいかなぁ、的な。」
「主様の命とあれば、それを守るのが私の役目故。お気になさらず。」
「暴力にまで発展したら、さすがに止めてね。」
「はい。」
「関係性を疑われたら、保護者代理ってことにするから。」
「保護者代理ですか。」
「うん。………まあ、小狐丸って見た目に反して主様大好き感が満載だもん。」
「…………そうでしょうか?」
「鬱陶しいとかそういう意味で言ったわけじゃないからね!?真に受けないでね!?」
慌ててフォローする咲良に小狐丸はクスクスと笑った。
「では、そういうことにしておきましょうか。」
「(小狐丸が単純明快でよかった…………。)」

ホッと一息をついた咲良は一安心をした。



続く。

ACT1-(2)

「…………刀?凄い綺麗………。」
本殿の中に入った咲良は、鎮座している刀に触れた。
すると、刀が光り輝き、白髪に赤目の成人男性が姿を現した。
「……………え?」

「大きいけれど、小狐丸。いや、冗談ではなく。
まして偽物でもありません。
私が小、大きいけれど!!」


「えっと、小鳥遊咲良って言います………。
………………………小狐丸…………?」
「はい。貴女が私の主様ですか?」
「………は?主様?」
「ええ……………ですが、まず先にあれを斬らねばなりませんね。」
「…………あ、そうだった。あれに追いかけられていたんだ。」
「主様はそこでお待ちを。すぐに終わります故。」

そういうと小狐丸は本殿から出た。
それと同時に百目鬼のような何かが襲い掛かる。

小狐丸は鞘から太刀を抜くと、一太刀でそれを斬り捨てた。

「す、すごい…………。」
「主様の霊力があってこその力ゆえでございます。」
「…………何で私のことを主って呼ぶの?」
「貴女が私を目覚めさせたからですよ、主様。
ここに来る前、何かしらの前兆があったはずです。」

「………あ、そういえば狐が私をここまで案内してくれたの。」
「ほう。それはそれは。恐らく、ここにいた神の眷属だったのでしょう。
とは言っても、ここは寂れてしまった故、貴女を案内するのが精一杯だったみたいですが。」
「……………言っては悪いけど、ここ、廃れて結構時間が経つものね。」
「はい。」
「…………何で、ここにいたの?」
「私はずっと誰かを呼んでいました。そして、それに気づいたのが貴女だったのです。」
「……………へー…………。何か最強の御供って感じがするなぁ…………。
じゃあ、うちくる?パパもママも仕事で忙しいからほとんど家にいないし。
喋り相手がいるのは嬉しいことだし。」
「はい。主様のお好きなように。」


続く。

ACT1-(1)

小鳥遊咲良、11歳。
視えないものが視え、聴こえないものが聴こえると言った霊感を持っていること以外は
ごくごく普通の女子小学生であった。
ただそれを誰かに言ったことはなかった。
それを言えば、10割中9割は嘘つき呼ばわりするだろうし
残りの1割は専門の病院に行った方が良いと
言うだろうということで、誰にも言わずに生きてきたのだ。

とある日の午後。
学校帰りに図書館へ借りた本を返しに行った咲良は、いつものように帰路を歩いていた。
「……………。」

誰かが、自分をつけている。それもこの世のものではない。
「……………逃げるか。」

言うが早いか、咲良は駆け足で走り出した。
それに合わせて、自分をつけている者も、後を追いかけてくる。

「…………困ったな………この近辺に神社とかってないし………。」
走りながら、何処へ逃げようかと考えていた咲良の前に狐の神霊が現れた。

「…………!?」

咲良の前に現れた神霊はこっちへ来いと言わんばかりに、走っていく。
「…………ついて行った方がいいかもしれない。」
直感的にそう思った咲良は神霊の後をついていった。

舗装されている道が段々と、獣道になっていく。
住宅街から離れた先にあったのは寂れた神社であった。

「………うっわ、手入れのされていない神社!?でもここに何かあるんだよね………。」

鳥居にお辞儀をして、端を通った咲良は境内に入った。
ぜぇぜぇと息を切らしながら、彼女は後ろを振り向いた。

そこには、百目鬼のような何かが突っ立っていた。

「………うわぁ………距離が近い………。」
咲良は本殿の奥で何かが光るのを感じ取った。

「……………!」

咲良は数段しかない階段を登ると、本殿の扉を開けた。

そこには、1振りの刀が鎮座していた。






続く。

プロローグ

西暦2205年。
歴史の改変を目論む「歴史修正主義者」によって
過去への攻撃が始まった。
時の政府は、それを阻止するため
「審神者(さにわ)」なる者を各時代へと送り出す。
審神者なる者とは、
眠っている物の想い、心を目覚めさせ、
自ら戦う力を与え、振るわせる、
技を持つ者。
その技によって生み出された
付喪神『刀剣男士』と共に歴史を守るため、
審神者なる者は過去へ飛ぶ――。
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