病院を後にした後、深愛と涼子、そして澪はカフェに向かうことにした。
「…………何ていうかさ、結構重たい話を聞いた気分。」
「まあ、無理もないよ。普通だったらおかしいって思う話だし。」
「………そうね。でもそれだけゴジラは強かった。
防衛軍の総火力をもってしても、ゴジラは倒せない。
………切羽詰まった状態で色々手を出しちゃうのは無理ないかもしれないわね。」
「………………そうね。」
店員に注文をし、商品が運ばれてくるまでの間、3人は深いため息をついた。
「あらもしかして有栖川澪さん?」
カメラを持った1人の女性が澪に声をかけてきた。
「…………今、友達といるの。取材ならお断りするわ。」
「あら、そんなこと言わずに。プライベートの様子を撮ってもいいじゃないの?」
「………あの、不躾な貴女は一体何者ですか?」
「……………あら、これは失礼したわ。私、小鳥遊咲良って言います。ルポライターをしているの。」
「澪は私達とカフェをしているんだから、取材はお断りするわよ、おばさん。」
「つれないことをいうのね。アイドルが人気カフェにいるなんて知ったら、
お店は繁盛するっていうのに。」
「………やな奴。澪の気持ちを無視しちゃって。深愛、どうする?」
「うーん、仕方がないな。…………小鳥遊さん。肖像権侵害で警察に突き出されるのと
大人しく引き下がるの、どちらがいいですか?」
「あら、そんなことができるの?」
「一応、防衛軍に所属しているんで。この若さで一佐という自負がありますから。」
「………あら、そうなの?どうして?」
「ま、それだけ気になるなら自分で調べてみたらどうですか?ルポライターの仕事でしょう?
この場で話すには機密事項がいっぱいありますからね。」
にこやかに笑う深愛に澪はなるほどね……と呟いた。
深愛のことを調べようと思うのなら、防衛軍から待ったがかかるはずだ。
それを知った上で深愛は咲良に言ったのだ。
「いいネタになりそうね!よし、じゃあプライベートの様子を撮影するのはやめるわ!」
そういうと咲良はまたねー、と言ってカフェを後にした。
「…………でも、深愛。大丈夫なの?」
「何が?」
「あの人、絶対M計画に到達しそうな気が…………。」
「でしょうね。………それでもって物凄く後悔することになる。
公表すべきかしないかを。悩むことになるんじゃないかな。」
「ま、世間に公表すれば防衛軍の闇に深く入り込んだ女ってことで、非難されるでしょうね。
誰にとっても、闇に深く入り込んで欲しくないから。」
「………ま、防衛軍のセキュリティは日本屈指を誇るから、私の情報までに辿り着くのは至難がかかるだろうけど。」
「………とりあえず、防衛軍が凄いことはよくわかった。」
続く。