夜の桜庭市を、和泉守兼定と堀川国広は回っていた。
「………何だか、前の聖杯戦争の時を思い出すねぇ、兼さん。」
「………そうだな。あの時は帝都の聖杯を爆弾にした馬鹿がいたけどな。」
「そうだったね。」
今から60年ほど前、桜庭市では聖杯戦争が行われていた。
織田信長や沖田総司、土方歳三など日本に縁のある英霊が召喚され、
大火災に塗れた桜庭市で芳樹と満月の曾祖母達は、激しい戦いを繰り広げた。
「…………それにしても、遠見の魔術と使い魔で様子見か。
最初はどこもかしこも慎重にやっているのか。」
「……当然だよ、情報戦は大事だからね。」
「……………で、どうする?私達をつけている連中がいるみたいだけど。」
「………当然、斬るよ。」
「………んじゃまあ、決まりだな。」
和泉守がそう言うのと同時に、暗闇からアサシンが飛び出してきた。
飛ばされてきたクナイを、和泉守は抜刀して刀身で弾いた。
すかさず堀川がアサシンに狙いを定め、突きをついた。
「!!」
「………早い!」
「……………アサシン、黒いローブに髑髏………ハサン・サッバーハなのは間違いないみたいだな。」
「……だね。」
「…………何故我らの真名を?」
「何でって歴代のハサン・サッバーハが選ばれるんだろう?アサシンのクラスには。
お前、何代目のハサン・サッバーハなんだ?」
「…………今は教えるわけにもいかぬ!」
そういうと、アサシンは複数のクナイを飛ばした。
「…………これしか芸がないのか!?」
「……………まぁ、アサシンだしね…………。」
続く。