「……………マジか?」
「マジよ。嘘をついてどうなるの?」
「これはめでたいな。婚姻届けを早めに出さなければ。」
「そうね。早めに出しちゃいましょうか。」
とある夏の日のこと。
美穂は綾人におめでたを告げた。
「そうか……私はパパになるんだな…………。
お義父さん達には?」
「これからよ。きっと喜ぶでしょうね。」
「ああ、間違いなく喜ぶさ。」
「式も挙げなければなぁ……………。」
「どうせなら、おばあちゃんが着ていた花嫁衣裳を着たいわ。
お腹がパンパンになる前に。」
「そうだな。いや、そうかそうか………。」
美穂のお腹に手を当てて、綾人はこの上ないぐらいの幸せな表情をした。
「…………絶対幸せにするから、元気に生まれてくるんだぞ。」
「あら、頑張って産むのは私の仕事よ。」
「………む、そうだな。」
「………そうかそうか、おめでたか!よくやったぞ、美穂!」
美穂から連絡を受けた孝一はひゃっほー、と喜んだ。
「父ちゃん、喜びすぎ。」
「あら、颯太だって喜んでいるじゃない。」
「いやだって、家族ができるんだろ?すげー、嬉しいよ。
男の子かな?女の子かな?」
「どちらにしても初孫になるもの、楽しみだわぁ……………。
さて、結婚式の準備をしなくちゃね。」
「そうだな、誰を呼ぼうか………………。」
続く。
「芳樹さん、どうですか?この浴衣、似合っています?」
くるり、と一回転をした満月に芳樹はうんと言った。
「似合っているよ、満月ちゃん。」
「芳樹さんも似合っていますよ。」
「ありがとう。」
初瀬神社で行われる夏祭りと花火大会に参加するため、2人は浴衣に着替えた。
「さて、じゃあ行くとしますか。」
「はい!」
2人は仲良く手を繋ぎ、初瀬神社に向かった。
屋台が並ぶ中、2人はりんご飴を食べたり、綿菓子を購入して楽しんだ。
「満月ちゃん、お腹大丈夫?」
「平気ですよ。小さい頃みたいに壊したりはしませんって。」
「なら、いいんだけど。満月ちゃんは無理をするから。」
「心配性ですね、芳樹さん。」
「そりゃ、心配もするって。
お腹を壊して病院に搬送されかけたのは誰だったかなぁ、と。」
「もう、芳樹さん!」
ぷくぅ、とむくれる満月の頬を芳樹はつんつん、と突いた。
「あはは、むくれ顔も可愛いなぁ。
じゃあ、お姫様の御機嫌がこれ以上悪くならないよう色々買わないとね。」
終わり。