………そして、迎えた旅立ちの日当日。
「博士のとこに行く準備はできた?」
「うん、マルグリット博士………マリー博士のところに行く準備はできたよ。
あー………ドキドキするなぁ。初めてのポケモンか。」

「カントーからカロスまでの御三家を選べるっていうのが
悩みなんだよねぇ。」
「贅沢過ぎるよぉ………。選べそうにない。」

「そっかそっかぁ。
まあ、何にせよ私達もついていくからね。」
「………うん。」

自宅からマルグリット博士の研究所は近い。

身支度を済ませたヒロキはミツキとヨシキに連れられて、
マルグリット博士の研究所に到着した。


「………博士ー?いますかー?」
「はーい。いますよ。朝から元気な声ですね。……低血圧に響く………。」

「………マリー博士、不摂生な生活をやめたらどうですか?
幾ら研究命だからって、体もいたわらないと。」

「おや、そう言う貴女は昨日、チャレンジャーをミロカロス1体で完封した
ミツキじゃないですか。
今日はヨシキも一緒なんですね。」
「まあ、今日の挑戦者も何処かで泣いているだろうさ。
四天王は強いからね。だからこうしてのんびりとしているわけなんだけど。」

「それもそうですね。…………では、ヒロキ。」
「は、はい。」

「御三家のポケモンを1匹、選んでください。」
「えっと、そしたらくさタイプのツタージャで!」

「………あらまぁ。ツタージャですか。なぜ?」
「いやあ、うちの母さんもツタージャをパートナーにして旅に出たって言っていたから。」
「そうですか。わかりました。ではこれがツタージャの入っているモンスターボールです。」

「ありがとうございます。」

ヒロキはマリーからモンスターボールを受け取ると中からツタージャを出した。

「タジャ!」

「………よろしく、ツタージャ。」

「フォッコ!」

ヒロキがマリーからボールを受け取ると突然、フォッコがボールの中から飛び出した。
「どうかしましたか?」
「フォウフォーウ!」

「………ひょっとして一緒に行きたいの?」
「フォウ!」

「………ああ、そういえば。ケロマツやハリマロンが連れていかれたのに貴女だけ
いつも残っていましたものねえ。一目惚れって奴ですか?」


マリーの問いにフォッコはコクリと頷いた。

「どうやらそうみたいですね。……すみませんけど、フォッコも連れて行ってはくれませんか?
控えめな性格なんですが、結構強かですよ。」
「はーい。…………まあ、フォッコも悪くないからいいかな。
ツタージャの弱点をフォローできるし。
フォッコもよろしく。」
「フォウ!」

「じゃあ、私とヨシキからヒロキにプレゼント。
ピカチュウを連れて行ってあげて。」

「え、いいの!?」
「ピカピカ。」

「ピカチュウもちょうど旅に出たがっているのよ。」
「ありがとう、ピカチュウ!」

「ピカピカ〜。」

「ではそうしましたら、ポケモン図鑑とモンスターボール。
それから、必要最低限の荷物を持っていますね?
ではこのブリテン地方を歩んで行きなさい。
貴方にとって旅が良きものでありますように。」

「………はい。行ってきます!!」

「気を付けて行ってくるんだぞ、ヒロキ。」
「連絡はこまめにするのよ。」


「うん!」


そういうとヒロキはリュックを肩に背負い、研究所を後にした。

続く。