ライブが終わった後、亀甲が亜理紗、英美里、直美、明美の4人を迎えに来た。
関係者以外立ち入り禁止の場所を通り抜け、
4人は楽屋に向かった。
「………あ、前回はどうも!満月ちゃんを助けてくれて本当にありがとう。」
にこやかに笑う芳樹をよそに満月があはは、と苦笑いをする。
「本当にその節はお世話になりました。なんてお礼を言えばいいのか。」
「そんな、大袈裟なことはしていないです!」
「もう、亜理紗ったら素直に喜びなさいな。
その後、体調はどうですか?」
「おかげさまで、万全です。今回のライブを迎えることができたのも、
中井さんの適切な処置のおかげで…………。」
「で、そちらは?お友達?」
「あ、いえ、同じ学校に通うたまたま同じ性別の赤の他人です。」
「あ、酷い!」
「中井さんの同級生です、私達。芳樹さんからチケットを貰ったはいいけど、
おすそ分けする人間が該当しなかったから、私達にって。」
「………まあ、そういうことです。」
「素直じゃないのかな、中井さんは。」
「こういうところはパパに似ちゃったものねぇ。」
「もう、お母さんってば!」
「あ、これ。良かったらサインの色紙です。」
「え、嘘、やった!」
「ついでに写真でも撮りましょうか?」
「いいんですか!?」
「ええ、もちろん。」
「やったあ、今日はツイているよ!」
「…………でもなんかこの後怖そう………。」
「あっと、SNS上にはあまりあげないでくださいね?」
「もちわかってまーす!」
「…………ホントに大丈夫?」
「………大丈夫、そういうのを見せるそぶりがあったらすぐ消去するから。」
「………妹って大変だね。」
「まあ、仕方がないよ。」

かくして、4人は夢のひと時を過ごしたのであった。


続く。