咲良が審神者になってから、1週間が過ぎた。
7日間の間に鍛刀と出陣を繰り返し、鍛刀とドロップで入手した刀剣男士を加えると
その数は20を超えた。
つまるところ、大所帯になったのである。
「………あるじさま、おはようございます!朝ですよ!」
審神者にあてがわれた和室にて、眠りについていた咲良は今剣の声で目を覚ました。
「………うぇぇえ………もう朝……………?」
「はい、もう朝です!」
部屋の外から声をかける今剣に咲良はありがと、と伝えると寝間着から普段着に着替えた。
「お待たせー、今剣。」
「きょうは燭台切さんがはりきっていましたよ。」
「………鶴丸に大倶利伽羅に太鼓鐘、伊達縁の刀が集まったもんね。
昨日の夕食は豪華だったなぁ…………。」
厨を任せた歌仙と燭台切の料理には舌鼓を打ったものだ。
渡り廊下を歩きながら、咲良は今剣と手を繋いだ。


大広間に到着すると、咲良は障子を開けた。
「おはよう、皆。」
「主殿、おはようございます。」
一期一振が会釈をすると、他の刀剣男士達もおはようやよう、と言った。
「はい、主君。今日の朝餉だよ。」
「わぁ、美味しそう!というか、綺麗!」
喫茶店に出てくるようなメニューが目の前に出され、咲良は目を輝かせた。
「昨日、テレビの特集でやっていたのを見たんだ。」
「1度見ただけで再現したの?凄いね、燭台切。」
「どういたしまして。」
「じゃあ、皆食べようよ。それじゃあ、今日も良き1日になりますように。」
いただきます、と一礼して咲良達は朝餉を摂った。


「………ん、美味しい…………幸せだなぁ、誰かの料理を食べるなんてほんと久しぶり。」
「そういや、主の両親って仕事で忙しいんだったな。」
「まぁ、悪く言えば育児放棄しているようなもんだしね。
うちの親、子供がいたっけ?って思ってるんじゃね?」

軽いノリで話しながら笑う咲良に刀剣男士達はポカン、となった。

「主様……お1人で寂しい思いをされていたのですね。」
「しかしこれからは1人ではないぞ。悩み事があるならじじいでよければいくらでも聞こう。」
「がはは、我らのことを親として思うのも良いぞ!!」
「………えー、小烏丸で十分だよ。ね、パパ。」
「うむ、主にパパと呼ばれるのは嬉しいことよ。父であることの喜び故かな。」

「主、今日は学校でしたね。本日の仕事はいかがなさいましょう?」
「特に締め切りが迫っている書類はなかったから、長谷部に任せるとして………。
サインだけで終わらせるように処理よろしくね。」
「はっ。」

「小判についてはまぁ………博多に任せるわ。」
「わかったばい。大儲けするから、安心するばい。」
「…………大損だけはしないよう、物吉と一緒にやってね。」
「はい、わかりました。」

「…………護衛については………まぁ、小狐丸に任せるとして。」
「また小狐丸?」
「仕方がないよ、初期刀なんだし。」
「そうだぜ。俺達より先に目覚ましたんだから。」

「たまには俺も学校に行きたい。」
「………じゃあ、来る?」
「え、いいの!?」
「審神者の護衛、多いに越したことはないし。」
「それじゃあ、第1部隊6人全員で行こうか?」
「それはさすがに多すぎだって。2振りぐらいでいいよ。」



朝餉を終え、自室に戻った咲良はランドセルを背負い、小狐丸と清光のところに向かった。

「おや、今日は加州殿も護衛ですか?」
「うん。」
「主様の命であれば仕方がありませんね。」
「ちょっとー、それどういう意味ー?」
「じゃあ、主。気を付けていくんだよ。」

石切丸に見送られて、咲良は2振りの刀と共に学校へ向かった。



続く。