外壁を壊し、一行は城内に進んだ。
「……………何ていうか、薄気味悪いところだな…………。」
「………人工の太陽があるから、まだ良いけど、これは確かに怖いね。」

「………そういやラヴクラフトってクトゥルフ神話を作ったラヴクラフトと血縁関係あるのか?」
「いや、ないぜ。ただ単に同姓の別人だ。」
「そうか。まぁ、クトゥルフ神話は現存している神話の中でも作者が判明しているしな。」
「へ、へぇ……………。」
「ちなみにどうでもいい話だが、クトゥルフ神話は
『なんだかよくわからないがとりあえず怖いモノ』として認識した方がいい。
精神的にじわじわ来る奴だな。」
「…………精神疾患持っている人にはきついんじゃないですか?」
「かえって無効化されるか、弱体化されると思うんだけどなぁ………。
まぁ、精神疾患と言っても色んな種類やパターンがあるからな、一概に言えない。」
幸太の話にそう返答した智久の言葉に、律はそうですか………と呟いた。


「……リア充がよくぞ来たな。
お前達のことは調べているぞ。」



城の中に入ると、黒いマントを背につけた成人男性が待ち構えていた。

「おうおう、随分と言ってくれるじゃねぇか。」
「そうですね。まぁ、肉体関係はあるかもしれませんが。」
「さらっと凄いこと言いませんでした、鶴丸さん!?」
「そりゃ、男だぜ?自慰とかそういうのしたくなるし、鬱憤だって晴らしたい時があるし。」

あはは、と言ってのける智久に満月と律は顔を真っ赤にした。

「……………智久さんってあれなの?性にオープンなの?
それともただの馬鹿?」
「………………まぁ、智久さんも男だし、獣だし。それに付き合う鶴丸も凄いし………。」

「さて、と。こいつの性事情はどうでもいいとして、お前をとっ捕まえて
正常にログアウトできるようにしないといけないからな。覚悟しとけよ。」
「……………ふん。お前らごときに倒される私ではないわ。」
「………こういうの、何だっけ。フラグって言うんだっけ。」
「…………うん。フラグだね。死亡フラグ。」

「…………そこの女子2人!何を言うか!?私は弱くないぞ!?」
「………………え、ホントに?」
「試してみるか?」
「やってみましょうか。」

「…………ひょっとして、私、地雷踏んだ?」


武器を構える一同に、ラヴクラフトは命の危険を感じた。



………それから数分もしないうちにラヴクラフトは床に倒れた。

「大した事なかったな、こいつ。」
「…………そもそも、1対7で勝てるわけがないだろ。」

「バランスの取れたパーティーに勝てるとお思いで?」
「ひ、ひでぶ……………。慈悲などないのか…………。」

「残念ながら私達の辞書に慈悲という言葉はありませんね。」
「敵は徹底的に潰すのが守り刀のルールなので。」
「まだ新選組が相手じゃない分、マシだと思いな。」
「あいつら、手加減っていうのマジ知らないからな…………。」

「さて、と。修正プログラムを引き出して……と。」
「…………そんなことできるんですか?」
「俺を甘く見てもらっちゃ困るぜ。
もしも俳優を失業することになったら、芳樹に秘書をするよう頼まれているからな。」
「……………すご。」
「…………智久さんだけは敵に回したくないね。」
「……………だな。」




続く。