「うーん、海堂深愛に関しては防衛軍から詳細を調べるなっていうお達しが来ているんだよね。」
「何でですか!?16歳で一佐って普通に考えたらおかしいですよ!?」
「おかしいことはおかしいよ。
肩書は立派だけど経歴は不明だ。
ただ、それに関しては調べるなって言われていてね。」
「やましいことがあるからですか?」
「それはわからんよ。防衛軍だって昔は非人道的な実験をしていたって言う話があるぐらいだからね。」
「だったらなおのこと、調べた方がいいんじゃ………。」
「やめときなよ。ルポライターの人生、棒に振りたいの?」
「…………そんなにヤバいんですか、彼女。」
「………………こっちだって防衛軍の干渉がなければ、色々と情報をかき集めたいところなんだけどねぇ。」
出版社のオフィスで小鳥遊咲良は上司の話に耳を疑った。
「………君、昔から諦めは悪いからね。変なところで人生台無しにしたら駄目だよ?」
「………わかりました。ではこの話は保留ということで。」
「………うわぁ、ここがテレビ局か。入るの初めてだなぁ。
インファント島でもテレビ中継しているのかな?」
「………日本でしか放送されていない番組だよ。」
「……………あ、海堂一佐。」
「何?」
「………………例の御客人、連れてきましたよ。」
「こんにちは、深愛さん。涼子さん。」
「お久しぶりです。」
「アミにティエ、久しぶり!」
「…………うわ、小さ………でも美人。これが小美人?」
「はい。初めまして、有栖川澪さん……ですよね?」
「私はアミ。こちらは双子の妹のティエです。今日は番組に出させてくださりありがとうございます。」
「いいのよ、私の方こそ無理に言って悪かったわね。」
「いいえ、とんでもない。
澪さんのお役に立てるのなら喜んで。」
「ね、モスラは元気?」
「はい。元気ですよ。天気のいい日は周囲の海の上を飛んでいます。」
「そっか。」
「………しかし、ホントに大丈夫なんですか?」
「防衛海軍がモスラと知り合いだって言うのは別に隠すことじゃないし、嘘をついているわけじゃないしね。」
部下の言葉に深愛はあはは、と苦笑する。
「それに何処で誰が聞いているわからないから、ある程度の情報隠蔽にはなるでしょ。」
「…………そうですね。有栖川さん、くれぐれも海堂一佐のことは話さないようお願いします。」
「ええ、もちろん。それについては約束します。
こちらの無理難題に付き合って貰ったんですもの、それぐらいはしないと。」
「………一佐、ホントにいい友達に恵まれましたね。」
「………まぁね。」
続く。