「…………ってまたかい。」
病院の前に捨てられたイーブイ達を見て、ヒスイはポツリと呟いた。
「………ここ、保護施設でもなんでもないんだけど。病院なんだけど。わかってやっているのかな?」
ブイブイ、と鳴いているイーブイ達を見て、ヒスイは看護師長と共にため息をついた。
「まったくもう、ポケモンフーズのお金だってタダじゃないんですよ。
ヒスイさんが善意で出してくれているんですけど、限度ってもんがあります。限度ってもんが。」
ヒスイによってフルボッコにされたトレーナーが警察に連行されるまで、
看護師長はいちゃもんをつけた。
「………………というわけで、面倒かもしれませんけどイーブイ達の世話をお願いしてもいいですか?」
看護師長の言葉に小児科病棟にいる子供達ははーい、と挙手した。
「退屈しないから良いよー!」
「イーブイ、可愛いもんね!」
「どれに進化させるか迷っちゃうよねっ。」
和気藹々と話をする子供達にイーブイ達はつぶらな瞳をヒスイに向けた。
「大丈夫、この子達はピチューをピカチュウに進化させた実績があるから。
それに可愛がってくれるし、心配はいらないわ。」
「…………ない。」
「………タクマ君、どうしたの?」
「許せない、自分の身勝手な都合でイーブイ達を捨てるなんてトレーナー失格だよ!!
僕も言葉の暴力でフルボッコにしたかった!」
「………………タクマ君、気持ちはわかるけど落ち着こうか。」
「あまり叫ぶと心臓に悪いわよ。」
「叫ばずにはいられないもん!」
「そうだねぇ、身勝手なことをするトレーナーも世の中にはいるもんね。
でも今、タクマ君がするべきことはイーブイ達のケアをすることなんじゃないかな。」
「………ケア?」
「そう。人間不信にならないように、仲良くしてもらうこと。
それがタクマ君の課題。」
「…………ヒスイお姉ちゃん…………。」
「ま、頑張れ、少年!」
「……………うん!」
タクマをはじめとする子供達のケアにより、イーブイ達はそれぞれ進化することができたとか。
終わり。