「………ああ、これはピチューだね。」
「うちの病院に捨てられても困るんだけどなあ………。」

その日、病院の玄関口に段ボールの中に入ったピチュー達が発見された。
その数、8匹。

段ボールには『育ててください』と言う文字が書かれており捨てられたことが一目瞭然であった。

「どうします?」
「………小児科で預かってもらう?イーブイとラルトス、ミミッキュがいることだし。」
「いいかな?」
「ああ、良いですよ。ヒスイさんにピチューの取り扱い方、教わりますから。」
「すまんねぇ。」
「いえいえ、子供達も喜びますよ。」

そんなわけで、ピチュー達は小児科に預かってもらうことになった。

「うわあ、可愛い!!」
「ホントだ!」
「僕達で育てていいの!?」
「ええ、良いわよ。ただし、最後まで責任もって面倒を見ること!」
「はーい!」
ピチュー達はぽかんとした様子で子供達を見ていた。
「驚かせてごめんね、ピチュー達。この子達、ポケモンが好きなの。
貴方達を捨てたりはしないから、大丈夫よ。」
看護師の言葉に安心したのかピチュー達は互いに抱き着いたりして泣いた。
「あわわ、大丈夫!?」
「こういうところに捨てられたんだもんね、仕方がないよ!」
「泣きたい時は泣いちゃえ!」
よしよし、とピチュー達を抱きしめる子供達に看護師は逞しさを感じた。
「この仕事やってて良かったぁ…………。」


「…………よっくも病院にピチュー達を捨ててくれたわね…………。」

一方その頃、ヒスイはピチュー達を捨てたトレーナーをボコボコにした。
防犯カメラに一部始終が映っており、ヒスイは病院近辺を調べ、特定したのだ。
そしてボコボコにした後、ヒスイはトレーナーを警察に連れて行った。

「ああ、ヒスイちゃん。お疲れ様。ボコボコにしてくれてありがとうね。」
警察署から帰ってきたヒスイは看護部長の出迎えを受けた。
「で、やっぱり廃人だったのかい?」
「ええ、そうみたいです。
最初から育てられないなら、辞めればよかったのに。」
「そうだねえ。ポケモンも生きているからね。
でもまぁ小児科預かりになったし、子供達には人気みたいだし。
まぁ、いいんじゃないかな。」
「そうですね。責任もって育ててくれたらトレーナーとしても嬉しいですし。」

「うん。」



終わり。