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ざわ…ざわ…

今更ですが、アニ銀ね、猫銀の可愛さは異常だよね。ヅラもめっちゃくちゃ可愛い。ヅラ猫のスカーフ可愛い、本当に可愛い。引っ張りたい(動物虐待だよ!)。うん。勲なんてアレ、もはや妖精じゃねーの?(真顔)

そういえば次のプリキュア、ピンクの髪のキュアブロッサムたんのお声はなんと水樹奈々さまなんだそうです。マジですかい。あの奈々さまって、ちょっ、マジですか。しかもキュアブルーム、キュアイーグレット以来の二人体制。マジもんの『ふたりはプリキュア』ですね。でも初代のバトルシーンがやっぱり秀逸なんですよ。シリーズ見続けてもう六年目か…何か感慨深い。
春になったらまたプリキュアオールスターズの映画があるので、再び見に行く気満々です。ウエスターとサウラーも出ないかな。


最近真面目に福本作品にはまっています。『アカギ』と『カイジ』しかまだ読んでないけども。カプはアカカイ押し。だってカイジくんが可愛いんですよ!本当に可愛いよ、カイジくん。別作品でもさらりと越境できてしまうのが福本作品のいいところ!
春コミで沢山本が買いたい。

拾いもの話・弐の5

銀時と新八が知り合って四日目の朝からスタートです。

すみません、現実にある病名が出てきますが一部症状などは自分で考え、物語に沿うようにしました。医療関係の方がいらっしゃいましたら、当然矛盾する部分があると思います。創作と思って見逃していただけると幸いです。


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「かいりせい…障害…?」

耳慣れない単語を繰り返し、銀時は目の前に座る男を見つめた。真新しい病院の室内はどこか非現実的な程に白く、朝の光が眩しい。棚に並んだカルテも医療器具も、慣れない単語とあいまってか、銀時の目には全てが現実離れして見えた。

「そうだな。“乖離性障害”。お前でも一度くらいは聞いたことがあるだろう?」

診察用の椅子に座りカルテに目を通している長髪の医師は、名を桂という。銀時の数少ない幼なじみ兼、この診療所の院長である。


桂は軽く息を吐き出し、病名の解説を続けようとした。その言葉を銀時の疑問が遮る。
その病名には聞き覚えがあった。

「待てよヅラ。乖離性障害って、アレだろ?『多重人格』…みてーな?でもあいつにそんな兆候はねーよ」

訝しげに疑問を口にする銀時に、桂がやれやれと肩を落とす。彼は少し声をひそめるようにして銀時に顔を寄せた。それに息を飲み、銀時が真剣な面持ちを作る。桂はゆっくりと会話を切り出した。

「ヅラじゃない、桂だ」

「いや、どうでもいいから。早く説明しろよバカ。本当お前バカな、昔っからアホだな。よく医者になれたな、ヅラ」

素早く真顔でツッコみ、銀時が桂の反応を窺う。桂というこの男、頭は決して悪くはないのだが、如何せん天然ボケの度が過ぎる。

桂は銀時の反応にもはや慣れきっているのか、軽く咳ばらいしたのみだ。

「無礼だぞ銀時。今時保険証もない子供をここまで手厚く診察してやっているというのに」

言うまでもなく、桂が口にした“子供”とは新八の事である。仕事が休みの今日、嫌がる新八を引っ張って桂の営む診療所に出掛けたのは銀時だった。無論、新八が診療を受ける為の保険証を持っているはずがない。

最新の医療器具が揃う大きな病院で看て貰えれば一番なのだろうが、同時に、“何故保険証がないのか?“という疑問を不特定多数の人間に与えることになるだろう。それを危惧した銀時が、親友の桂の顔を思い浮かべるのに時間はかからなかった。


「で、何だよ、その乖離性なんたらっつーのは」

若干呆れつつも、場を仕切り直す為に銀時が話を戻す。桂は物々しい態度で再度カルテをめくった。だがしかし、この場に診療を受けた新八本人は不在である。くまなく体中を調べられた新八だったが、その診察結果は銀時だけに伝えられる事になっていた。

桂が新八を気にしてそのような処断を下したのだろうが、不安げな新八を待合室に置いてきたことを銀時は些か気に病んでいた。できるなら早く診療結果を聞いてしまいたい。
そんな銀時の焦りを悟ったのか、ようやく桂が重い口を開いた。

「うむ。乖離性障害という病名は多重人格という症状で広く知られていることは間違いない。現実にそのような病名はないがな。だが新八くんにその『多重人格』の症状はない。これは言わば…レアケースだな」

「レア?つまり、変異か?」

「そうだ。何故人が乖離性障害になるか分かるか、銀時」

何故と話を振られても、医師でもない銀時に分かる筈がない。銀時は乱雑に己の頭を掻いた。

「知らねーよ」

「”ショック“だ」

そんな彼の反応を見越したように桂が再びカルテに目を落とす。

「人は強いショックを何度も覚えると、そのストレスを受けているのは自分ではない、別の誰かだと思いたがる。特に子供ほどそうだ。そうやって己の中にもう一人の己を作り出し、ショックを回避するようになる。自分を守るようになる。それを繰り返して自分を守る度に、心の隙間…”闇“が広がる」

「闇…?」

ざわざわとした不安が銀時の心を覆った。”闇“という単語と、新八がイコールで結ばれるとはにわかには信じ難い。

桂は再び説明を続けた。

「つまりだな、新八くんはそうやって心に負荷がかかる度に、心に空白を作ることでそれを回避していた。自分であって自分ではない、心にそんな隙間を設けて自分を守っていた。だが、隙間は大きくなりすぎた。心にだって容量はある。水を入れ続けた器は必ず溢れる。…ここからは推測の域を出ないが、聞け」

有無を言わさぬ強い口調で桂が銀時を見据える。この先を知りたくないが、知らぬ訳にはいかない。銀時は小さく頷いた。桂は真剣な表情を崩さない。

「『忘れたい』、何らかの出来事をないことにしたい、強くそう思い続けることで新八くんの自我は崩壊した。そして何もない隙間、己が作り出した”空白“部分だけが新八くんの心に残った。言わば、その空白の状態が今の彼なんだろう。簡単に言うと、これは意図的な記憶喪失だ。心が脳に送り続けた救援信号がこの状態を作った。他でもない、自分を守る為にな」

説明を終え、桂がふうと息をつく。これ以上は桂だとて分からないのだろう。心理学を専門としていない彼の説明では、新八を包む物事の輪郭がぼんやりと分かっただけだった。

しかし、それでも銀時には充分すぎる程のショックを与えていた。

―新八の心が壊れた…?


あの新八が、そんな状態にあった事など信じられない。記憶こそ一切ないが、銀時が見る限りでは新八は普通の少年そのものである。困り顔や、むくれた顔、この三日間だけで実に色々な新八の表情を見てきた。それに何より、新八はよく笑うのだ。屈託なく笑う顔は健康そのものだと言うのに。


―そんな少年の心が、壊れた?


銀時が知るよしもない新八の過去に、一体何があったのだろうか。

桂に礼だけ言うと、重い気持ちを引きずりながら銀時は待合室へ続くドアをゆっくりと開け放った。

「銀さん!」

開けるなり、長椅子に座る眼鏡の少年が嬉しそうに立ち上がるのが目に入った。


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心理学関係の本は好きでして、『アルジャーノンに花束を』とか『シーラという子』シリーズとか昔山のように読んだのですが、強いショックを受け続けることにより別人格を作り出す症例は実際にあるそうです。非常に珍しいと思います。が、それを記憶喪失に結び付けたのは創作です。実際は別人格も一つの人格として扱う訳ですが、そうすると色々紛らわしいので新八の場合は心に空白を作りました。何だかややこしくてすみません。

では登場人物も切り替わり、晋助の部屋から。

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高杉は夢をみていた。確かに、何かの夢をみていたはずだった。


「…」

意識が緩やかに浮上する。眠りから覚醒へと誘う朝の光は優しく、そして、ひどく残酷だった。誰にも等しく等分で、もやがかったような思考には等しく忌ま忌ましい。確かにみていた夢の断片も追えぬまま、高杉はゆっくりと重い瞼を開けた。視線だけを周囲に巡らせる。

巡らせた視線の先にある窓から入る光に心底辟易する。既に日は高く、寝起きの渇いた体には煩わしかった。

ふと無意識に隣にあるはずの体を抱こうとして、高杉の手は空をきった。その事に気が付きハッとする。伸ばした指先を丸めて、高杉はそのままシーツの上にぱたりと腕を落とした。そうか、と考えを新たにする。
新八は居ない。

少年が居なくなってから、今日で四日目だ。これでもう丸三日間も、新八は姿を消した事になる。
調べてみたところ、新八は現金を全く持っては行かなかった。そして靴さえも履いては行かなかったようだ。きちんと揃えられたまま残っている少年の靴からして、それは明らかだった。まるで唐突に思い立ったかのように、新八はただ忽然と姿を消したのである。

それは義兄である高杉の心に、深い影を落としていた。


―…新八が、消えた?

―それは違う、置いて行ったんだ。お前を

新八の事を考える度に、頭の隅でけたけたと笑う悪魔が囁く。だがそれは誰でもない自分の深層心理の声だ。高杉は分かっていた。痛いぐらいに分かっていた。

それなら己の悪魔を消す為にも、自分が彼を始末する。新八のこめかみに銃口を当てて、トリガーを引く。そうすれば全てが終わる。高杉の人差し指一本で、弟はその命を終える。あの瞳から生命は消える。
もう一生、新八は自分から逃げ出すこともない。だが、もう喋ることもない。ましてや笑ってくれることも。

そう考える度に、高杉の手は震えた。何故震えるのかは分からない。弟の裏切りを許すことはできない。それだけは確かだ。それなのに、己の手は弟を消す事を頑なに拒んでいた。
誰を始末する時でも決して怯えず“仕事”を成し遂げてきた男が、ただの義弟を殺す想像だけでこんなにも震えをきたしている。とんだ茶番だ。


「ッ、…痛ェ」

突然、ずきりと左目が痛んだ。眼帯の上から指先でそこを探る。しかし高杉の左目にはもう眼球はなかった。あるはずのないものが痛み出すなど、通常は有り得ない。

だが、有り得ないことが起こり得るのが人体というものである。切断や事故によって失ったはずの手足が痛む現象を幻肢痛と言う。当然そこにあるはずのない箇所が何故痛むのか、原因は分からない。人体の不思議である。手足でこそないが、高杉は不意に左目の痛みを覚えることがよくあった。

幻の痛みに導かれるように、左目を失った時の事をぼんやりと思い出す。


暑い夏の一日だった。高杉は18歳、新八は7歳になっていた。

高杉家の庭には庭園とも言うべき光景が広がっている。大小の池や木々、燈籠等がバランスよく配置されて並んでいる。美しい日本庭園が物珍しいのか、幼い新八はよくそこで遊んでいた。

その日もちょうど、新八は一人で庭遊びに夢中になっていた。高杉は見るともなしに縁側でそれを眺めていた。読みもしない文庫本を引っ張り出してきたのはいいが、いつの間にか新八の様子に目を奪われていた。確か、周りには誰も居なかったように思う。

辿る視線の先には、燈籠の下に屈んで熱心に地面を見つめる新八がいた。虫でも居るのだろうか、子供特有の集中力で目を凝らすようにして見ている。新八の側の燈籠は、昨日庭師が撤去作業をしようとして手付かずになっていた代物だった。昨日はひどく雨が降ったので、今日の午後にでも再度手を入れられる筈だったのだ。
“筈”という確証のない単語を使うのには意味がある。その燈籠は、ついに撤去される事がなかったからだ。

倒れてしまいそうだという危険がその撤去理由に当たる事を、当然新八も高杉も知るよしがなかった。


それは突然だった。

ぬかるんだ地盤のせいなのか、新八が背を預けた途端にその燈籠が崩れたのである。スローモーションのように、新八の頭上に燈籠に付いた石飾りがきらめくのが見えた。だが、そこから先の記憶が高杉にはない。


気付けば、高杉は病院のベッドに寝かされていた。そろそろと目を開けてみると、視界いっぱいに泣きじゃくる新八の顔があった。ぼろぼろと涙を零す新八が、震える声で高杉の腕に縋った。

『お兄ちゃん』

そう呼んで、新八はまた涙を高杉の顔に滴らせた。

あの頃はまだ、高杉は新八と義理の家族でも何でもなかった。それでも新八は自分をそう呼んでいた。
泣きじゃくる新八に声をかけようと高杉が口を開きかけた、その時だった。

途端にずきずきと痛む左目に気が付く。視界が狭くなっていた。左目が全く見えない。視界不良の不安からか、高杉は無理に起き上がって傍らにある鏡を掴んだ。

すぐさま、愕然とした。


自分の顔には、左目を覆うようにぐるりと包帯が巻かれてあった。



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すみません、ものすごく中途半端なところで切ります。晋助の目の負傷は新八を庇ったからっていう、同人補完計画。何かもう愛憎が渦巻きすぎるバイオレンスな義兄弟ですね。大好きだけどね!(えええ)
また続きます。
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