「え、え、何々!?どういうこと!?」
「とりあえず逃げるが先よ!ここどう考えても危ないし!」
真琴に背中を押されて、澪は跡地を後にした。
襲い掛かってくる闇呪を、清光達は慣れた手つきで斬り捨てていく。
庭師の鋏を召喚した芳樹も、清光達に続いて斬って行った。
満月はギランボ(仮)に1人、立ち向かった。
「おばあちゃん、貴女の相手は私がします。」
「……お前達、何者だい?」
「正義の味方じゃないけど、少なくとも桜庭市の平和を守る者ってことで十分じゃないかな………。」
そういうと満月は自身の周りに茨を召喚した。
「せーの……!」
茨は意思を持った生物のようにうねうねと動き出し、ギランボ(仮)に襲い掛かる。
「ふん、植物操作かい。でも私には通用しないよ!」
ギランボ(仮)はそういうと、杖を使い、炎を生み出した。
「そらそら、植物は炎に苦手なんだろう?
私に勝てると思っているのかい?」
「…………まあ、正攻法で行くならちょっと手厳しいかも。」
満月は庭師の如雨露を召喚すると、中に入っている水を振り撒いた。
茨が急成長し、炎を飲み込むかのように包んだ。
「!?」
スピードを持った茨が、杖を叩き落とし、ギランボ(仮)から離した。
「ふん、なかなかにやるじゃないか。でも杖を取られたぐらいで…………。」
………その時だった。ギランボ(仮)は、背後から物吉に刺された。
「………な…………。」
刀を引き剥した物吉は、もう一撃をギランボ(仮)にぶつける。
「…………誰も1vs1でやるとは言っていないもの。」
致命傷を負ったギランボ(仮)はゴホゴホ、と血を吐いた。
「………子供の夢を食らっただけで、殺すのか!?」
「帰ってきた子供達の何人かは記憶障害を抱えて生きることになった。
………それを知った周囲の苦しみを考えたことはありますか?」
刀についた血を振り払いながら、物吉は満月のところに戻った。
ギランボ(仮)が刺されたことで、ジャックオランタンの存在が不確かになる。
「……お嬢様、さがりましょう。ここは危険です。」
「うん。
人の夢を貪って、闇呪に手を貸した者に慈悲なんて必要ないからね。」
それだけ言って、満月は物吉と共にジャックオランタンから降りた。
「………おのれぇ、おのれぇぇえ!!」
ギランボ(仮)は断末魔を叫びながら、消滅していった。
続く。