一方、その頃。同時刻。
「……………これはまた、奇怪な文章ですね。」
綾人の言葉に智久はだろう?と言った。
彼が手にしていたのは1枚の紙。
そこには満月のブランドが主催するファッションショーの中止を求める文章が書き記されていた。
「………ご丁寧に新聞紙の切り抜きを使っていますね。
満月に何の恨みがあるのでしょうか。」
「言いたいことがあるなら、はっきり言ってくれればいいのに
根暗な奴なんだろうさ。
警察にも連絡はしているんだろう?」
「ええ、無論です。しかしだからと言って中止をするわけにはいきません。
今回のファッションショーは刀ミュとのコラボですからね。」
「…………そうなんだよなぁ。11振りの衣裳も出るんだっけね。」
「犯人は満月の才能を妬んでいるのかな?」
「そうだとしたら最悪だよ。」
「むむぅ、お兄ちゃんとしては満月の近辺を警護した方が良いと思う。」
「ええ、物吉をはじめ新選組の面子に任せることにしましょう。
もしかしたら、粟田口にも協力を要請してもらうことになるかもです。」
「…………まあ、何にせよ。大事なお姫さんに何かあったら困るからな。
芳樹も黙っていないだろう。」
「そうですね。…………将来満月を預ける身ですから。」
「お兄ちゃんは大変だなぁ………。」
「シスコンと言われても仕方がありません。
爆弾に備えて、爆破物処理班にも待機してもらいます。」
「………大袈裟だな。」
「大袈裟で結構ですよ。何せたった1人の妹ですから。」
続く。
満月達と共にウィンドウショッピングをした咲耶は、
心が落ち着いていくのを感じた。
「…………大丈夫ですか?何処か具合でも?」
「あ、いえ………大丈夫です。なんていうか、心が落ち着いていっているみたいで。」
「それは良かったですね。」
物吉の言葉に咲耶ははい、と頷いた。
そしてあっという間に、時間は過ぎて行った。
咲耶は母親に電話をして、迎えに来てもらった。
「まあ、うちの娘がお世話になりまして…………。
色々面倒を見て貰ってありがとうございました。」
「いえ、こちらこそ楽しかったです。」
ペコリと頭を下げる咲耶の母親に満月達は手を振った。
「拓哉君も心配していたんだから、後で連絡しなさいね。」
「はぁい。」
「そっか幼馴染は拓哉君って言うのか。」
「…………はい。本当に面倒見のいい人なんです。」
「幼馴染は貴重で大事だから、大切にしてね。」
「………はい。今日はありがとうございました!」
咲耶達と別れて芳樹はさて、と呟いた。
「じゃあ、俺達はウィンドウショッピングの続きでもしようか。」
「そうですね。」
続く。