「………よし、できた!」
それはとある日のこと。満月は作っていた浴衣を完成させた。
「芳樹さん、芳樹さん!」
「ん?何だい?」
リビングでテレビを観ていた芳樹は満月に声をかけられた。
「見てください、浴衣です!」
「よくできているじゃないか。うん、素敵だね。」
ポン、と頭を撫でられて満月はえへへ、と笑った。
「今度、夏祭りがあるからそれに合わせて着て行こうか。」
「はい!」



…………そして迎えた夏祭り。
「人がいっぱいですねー。」
「そうだね、初瀬神社はいつ来ても人が多いね。」
「そうですね………。」
「満月ちゃん、手を繋ごうか。はぐれると危ないし。」
「はい。」
「まずはお参りしないとね。」
「………はい!」
本殿に参拝をした後、芳樹達は境内を回った。
「………か、可愛い………!」
射的の屋台でピカチュウのぬいぐるみを見つけた満月は芳樹の顔を見た。
「芳樹さん、あのぬいぐるみが欲しいんですけど…………。」
「うん、わかった。取ろうか。」
屋台の店主にお金を渡し、芳樹はピカチュウのぬいぐるみに狙いを定めた。
ポン、と言う音がして1発で芳樹はピカチュウのぬいぐるみを落とした。
「兄ちゃん、やるなぁ。難易度結構高くしたのに。」
「あはは、満月ちゃんがついていたからですよ。」
「若旦那様にとってお嬢様は幸運の女神ですからね。」
「そんな大仰な…………。」
ピカチュウのぬいぐるみを無事にゲットした芳樹は満月にそれを渡した。
「ありがとうございます、芳樹さん。」
「どういたしまして。」

「………あら、芳樹君に満月ちゃんじゃない。」
「あ、美穂お義姉様!」
「綾人も来ていたのか。………子供達はどうした?」
「美花達ならおばあちゃん家に行くって言いだしたの。
たまには私達2人きりで過ごして欲しいから空気を読むのー、とか言って。」
「………ひょっとして言い出しっぺは美花ちゃんかい?」
「ええ。」
「気の利く子供達で助かるよ、最近2人きりで過ごすこともなかったから。」
「まあ、貴方ったら。」


続く。