「………………うーん、戦いたくないのかな?」
育て屋から貰ったタマゴから孵化させたラルトスは、戦うことを嫌がっていた。
「まあ、臆病な性格だから仕方がないのかもと言えばそうかもだけど………。」
ヒスイの言葉にラルトスは顔をふさいだ。
「あ、別に貴女が悪いわけじゃないのよ。ポケモンの中には戦いを嫌う子もいるから。
……………あ、そうだ。だったら、妹のところに行かない?」
ラルトスはヒスイの言葉に首を傾げた。
「妹、病弱で長期入院しているの。話し相手になってくれると、嬉しいな。どう?
妹のところだったら、戦う必要もないし。」
その言葉を聞いたラルトスは、パァと顔を輝かせた。


ヒスイの妹であるルリは朝からそわそわしていた。
姉であるヒスイが贈り物をしたいということで電話をしてきたのは昨日の話。
「何だろうなぁ、お姉ちゃんが贈り物をしてくれるなんて。」
「ルリちゃん、楽しみにしているわね。」
「うん、だってお姉ちゃんが贈り物をしてくれるの珍しいもん!」
看護師の言葉にルリはにこにこと笑った。
「ちわーす、ルリさん宛にお届け物です!」
個室病室で看護師と話をしていると、宅配業者がやってきた。
受取人のサインをして、小包を貰ったルリは早速開封した。
「…………え、モンスターボール…………?」
「………あら、ポケモンかしら。早速出してみたらどう?」
「うん!」
看護師の言葉にルリはモンスターボールを手にするとポンと投げた。
「ラル!」
中から現れたのはラルトスであった。
「わぁ、ラルトスだ!お姉ちゃん、私がポケモン欲しいって言っていたの、覚えててくれたんだ!」
ルリは満面の笑顔を浮かべると、ラルトスを抱きしめた。
「初めまして、ラルトス!よろしくね!」
ニコニコと笑うルリにラルトスは嬉しかったのか、照れ笑いをした。
「………あ、でもなんかラルトスの色、違うような………?」



『…………あ、ラルトス届いた?』
「うん、届いたよ!………あ、お姉ちゃん。ひょっとしてこのラルトス、色違い?」
『そうだよ。でもあまり戦いたくないみたいでね。
あんたの話し相手になってくれる?って聞いたら、二つ返事でOKしてくれたの。
大事にしなさいね。』
電話でヒスイと話をしたルリはうん、と頷いた。
「ありがとう、お姉ちゃん!」
『どういたしまして。一緒にいてあげられなくて、ごめんね。』
「仕方がないよ、お姉ちゃん旅をしているんだもん。」
『他に欲しいポケモンいたらいつでも言ってね。捕まえるなり育てるなりなんなりするから。』
「うん!」


終わり。