「…………ハロウィンってキリスト教の祭りじゃないのにね。」
「死者の魂が家に戻った時に機嫌を損ねないように、
食べ物や飲み物を用意するのが伝統ですからね。」
「ケルトの古いお祭りが今じゃ、宗教から離れてしまっているとはねー………。」
「アメリカじゃど定番ですよ?」
「……ま、お菓子を貰いに行くのは楽しいんだけど………。
今年もたくさんお菓子を用意しないとね。」
「そうですね。」


桜庭市では毎年10月31日に、ハロウィンにちなんだフリマなどが開催される。
聖ミカエル女学院でも、一部の部活や生徒が参加しており、
満月達も参加することになった。

「……………ちなみにお嬢様、何に仮装するんですか?」
「え?堀川国広。」

「…………………魔女とか、妖精じゃないんですね。」
「いやだってさ、1度でいいからやってみたかったんだよね。堀川国広。
それを堀川に言ったら嬉々と喜んでいたよ?」
「それはそうですよ、とうらぶ違いとはいえ自分に仮装してくれるんですから。
喜ぶのは当たり前です。」
物吉の言葉に満月はあはは、と笑った。

「ちなみに若旦那様には?」
「もう伝えてるよ。
芳樹さん、『だったら俺は和泉守兼定になればいいの?』だって。」
「…………若旦那様らしいですね。まあ、用意はしますが。」
「ありがとう、物吉!」



続く。