「というわけで、ルリ。お年玉。」
「わぁい、ヒスイお姉ちゃんありがとう!」
病院の小児科病棟でヒスイは長期入院しているルリにお年玉を渡した。
「ヒスイ、悪いわね。貴方にだってお年玉あげたかったんだけど………。」
「トレーナー戦でがっぽり稼いでいるからいいの、ママ。
それに、幾らか負担できたんだし、これでようやく親孝行ができたわ。」
「……そうね、できた子で嬉しいわ。」
よしよし、と母親に頭を撫でられてヒスイは照れた。
「イーブイ、ラルトス。ルリの面倒見てくれてありがとうね。」
母親に声をかけられてイーブイとラルトスは良い返事をした。
「ホントにすまんな、ルリ。なかなか見舞いに来れんで。」
「仕方がないよ。パパもママも私の入院費を稼ぐために頑張っているんだもん。
それにお姉ちゃんが毎日、来てくれるから寂しくないもん。」
「あはは。まぁ、やることなすことやりきったら、あんたの見舞いぐらいしかやることなくなったしね。」
「うふふ、平和が何よりよ。それに小児科の皆、貴女の話に目を輝かせているもの。」
「そりゃ、ここに長いことおれば退屈になるのも仕方がないよね。」
「ヒスイお姉ちゃんの話、楽しいもん!」
「カントーからアローラまで旅をしたんでしょ?」
「まぁね。色んな人やポケモンにも出会ったし。」
「………………。」
「…………あれ?ナオヤ君、どうしたの?」
看護師に声をかけられて、ナオヤは吃驚した。
「…………ヒスイちゃんのお話、聞きたいの?」
「べ、別にそんなんじゃ…………。」
「聞きたいなら聞きたいって言えばいいのに、ナオヤ君ってば素直じゃないなー!」
「ホントだね!」
「う、うっさい!」
「……………いやあ、ツンデレって奴ね………。」
終わり。