ソルトside
今日は特に頭痛が酷かった。じゃあ休んだらよかったろって??
出席日数がたりてないらしく留年したくないなら出来るだけ来い、とおたべに言われたばかりだったから・・・。
でもこういう時に限って虫はたかってくる。
「なんのようだ・・・」
なりふり構わず拳を飛ばしてきた、いつもなら首を傾けたら避けれるのに・・・
「イッ・・・!」
見事に私の頬に命中した、避けようとしても集点が定まらずグラグラと世界が回る。
「あの最強ソルトがこんな所でおしまいか?」
もう1度拳が飛んでくるのが見えてギュッと固く目を閉じた
けれども一向に拳は当たらない、片目だけそっと開くと目の前で美しく舞っていたのは紛れもなくおたべだった
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「なんで黙ってたん?」
頬を擦りむいたからって保健室まで手を引いて来られていた
消毒して絆創膏貼ったらそれでお終い、だったはずなんだがいつもと違う私におたべはすぐに気付いた
体温計を無理矢理差し込まれて数分間ずっと睨まれ続ける
っで当たり前だけど熱はあっておたべの呆れたような悲しそうなため息が漏れた
「なんで休まんかったん?」
「・・・あいつらと・・・卒業したかった」
また深いため息が聞こえる
「それで悪化して学校休んだら元も子もないやん?お願いやから・・・無理しやんといて」
「・・・っ分かったよ・・・」
まぁ見事留年したんだが・・・、あの時の悲しそうな顔は今でも忘れられない
おたべがあんな顔するの・・・もう見たくないから。
みるきーside
「さやかちゃん!」
「お!みるきー」
あのな?って話そうと思っても、もう違う所向いてる
さやかちゃんが人気なんは分かってるけど・・・いつまでもおあずけはキツイで?
「なあ?さやかちゃん」
普通の音量で喋ったつもりやったけど想像以上にちっさい声で自分でも聞き取れるか分からんほど
小心者やな・・・って自分の性格に嫌気が指してくる
言いたい事あんねん
まだ喋ってたい・・・
でも・・・喋りかける勇気がない。
────
「さっき言いかけてたことなんやったん?」
移動のバスでたまたま同席になった
「え?あ・・・」
あの時はあんなに覚悟決めてたのに・・・いざほんまに言うってなったらなかなか口が開かん
「どうしたん?」
「あ、あのな・・・?」
しばらくの間苦しげな重い空気があたしとさやかちゃんの間に流れた
なんで言えやんのやろ・・・
ほんまアホみたい
「無理に言わんでええねんで?みるきーが言いたなったらいつでも言って?」
はっとなって下げてた顔をあげる
さやかちゃんの方見たらニカッてあの太陽みたいな笑みを浮かべた
「なあみるきーお腹空かへん?バス降りたらなんか食べよー!」
なんでこんな優しいんやろ?
「う、うん!何食べる??」
いつかは・・・
大好き、ってこの気持ち伝えれるかな?。