楓子side
春の暖かなそよ風とふわりと飛んだ桜の花びらが頬に張り付いた。
窓から見える、皆の楽しそうなわちゃわちゃした明るい声
2時限目は外でミニサッカーやって
あたしはこの女子高に入って一回も外で走り回った事がない
ほんまは走り回りたい、ボールも力いっぱい蹴りたいし皆と汗かいて笑いたい
でも、この病弱な体がそんな行為を固く縛る
中学生の頃から一回も外で遊んでへんから真っ白な体はほんまの病人みたい
あたしだって遊びたいのに・・・、そんな胸苦しい思いは腕をぎゅっと握るだけで終わってまう
「そっちそっち!!ボール行ったで!!」
「おっけー!!あたし蹴る!!!」
「ヤッター!!!!」
美瑠のシュートで外はいっそう騒がしくなった
皆にハイタッチしてもらって・・・楽しそう・・・
あたしのちっさい頃からの幼馴染、白間美瑠
あたしとは真逆の性格で皆からリーダー的に見てもらって好かれてる
体も丈夫で小麦色に焼けた肌と、笑った時の白い歯が人気の秘訣でもある
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「ふぅちゃんー!」
知らん間にチャイムが鳴っててガヤガヤ騒がしくなってきた
「お疲れ様、シュートかっこよかったで」
にこって笑って抱き抱えてたタオルと水筒を手渡した
「え、ありがとう!!今日もふぅちゃんの為に頑張ってん!!」
そんな何気にドキドキする事言ってくるから、こんなふうに・・・
どんどん好きになっていってまう。
「あ、ありがとうな、あたしの為って・・・」
「ふぅちゃん喜んでくれるさけ嬉しいねん!大好きやで!!」
いつにも増して心拍数が上がっていく、これでもかってほど顔は真っ赤になって思わず目線を外してもた
「どうしたん??ふぅちゃんらしくないな??」
「な、なんでもないよ」
ピタって頬に、てのひらが当てられた。それに美瑠の額があたしの額と重なる
「顔真っ赤やで、しんどない??」
「だ、大丈夫!!」
肩掴んでぐっと離した
これ以上、密着してたらおかしくなりそうやから
「あたしの大事なふぅちゃんやで、なんかあったら言ってな??大好きな人やから」
美瑠の最後の言葉だけ顔赤くなったって思ったんは気のせいやったんかな??。