ジャルダン・デ・ブルー・ロジエ

「………あ、芳樹さん！愛歌さん、澪ちゃん、真琴ちゃん。
綾人お兄様、直人お兄様、結人お兄様、悠人お兄様、幸人お兄様！」
１年生の教室に向かうと、メイド服姿の満月が９人を出迎えた。
「か、可愛い………満月ちゃん！写真撮ってもいいかな？」
「あ、私も！」
「私も、いいですか？」
「あ、はい、良いですよ！」
そういうと満月はクルリ、と一回転をした。

「９名様、ご案内です！」

満月達の教室の出し物は喫茶であった。
「お飲み物は何にしますか？」
「私達はコーラで。」
「あ、私はファンタグレープで。」
「私、ファンタオレンジで！」
「私はコーヒーを頼むわね。」
「はい、かしこまりました！では、少々お待ちください！」

仕切りのあるブースに駆けて行った満月の後ろ姿を見て、来客者達はにこにこと笑った。
「いやあ、さすがは姫宮の末妹ですなぁ。」
「婚約者さえいなければ、私の息子に嫁入りして貰っていたのに………。」

「………残念でした、俺の婚約者です。」
「あら、顔が笑っていないわよ、芳樹君。」
「はっはっは、何を仰いますか、愛歌さん。」


「………何か目が怖くない？芳樹さん。」
「そりゃ、満月さんのことになったら怖くなるって………。」



続く。