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贅沢ベル











向こうには優しさが有るって知ってる

其の暖かさと綺麗さに縋りたくて

電話を掛けて仕舞う

けれど剰りにゆっくりと動くダイヤルに

途中で嫌気が差して受話器を置いて仕舞うんだ
















臆してしまうのだ

あたしがまた

壊して仕舞うかも知れないから


















何かのせいにすれば

少しは救われる気がする

惨めになるのは後の話だから後で考える















足りない

熱量が
















閉じ隠った部屋の空気が淀む















閉じ隠った狭い頭の中身が澱む


















ベルは鳴らない

ダイヤルは回せない


















変化しない場所で



腐って行く























優しく柔らかくなりたかったのに

其れすら
あたしには贅沢






















鳴らない

為らない

生らない



















低く唸る電化製品の音に溜め息が混じって

秒針が音無く滑って時間を攫った











ねないこだれだ









こわくない

こわくない

こわくない














ゆびをささないで














しろいふうせんはおそらに
とけてきえてしまったよ

あたしは
こわくてみみをふさいだの


















こわくない

こわくない

こわくない



















ねぇ

なにがこわいのかな?

















こわいんだ

こわい

こわい




















寂しい

だから

こわいんだ

紙月









偽物みたいな月が











ビルの間に貼り付いてる











上手く歩けない

大地が捕まらない














きっと

あの色の無い月がいけないんだ
















夜風が冷たくなって居た





◎施錠◎










茹だる

陽炎でも見えるのでは無いかと勘ぐる程に暑い癖に

ふと吹く風に










鳥肌が


立つ















不穏だ




















途端に

何もかもが

疑わしくなる

















すれ違い様に一瞥を寄越す自転車の人

後方で咳払いをする老婆

俯きながら進んで来る人













トリハダが止まらない















青く高過ぎる空さえも

怪しくしか思えない



















早く速く

家に帰らなくては

早く速く

鍵を掛けて寝てしまおう















潜り込んで

不安

安堵

















冴えきった目を

後は無理矢理閉じるだけ




半透明食卓











ざりざり







したのうえで









ふかかいがおどる










ざりざり




ざり













よるのやみ








すぷーんのなか












こぼれた

ふどうとく


















らせんのひかり















じゅんぱくには


いちごちゃむをぬって

















めしあがれ





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