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Many Classic Moments28


*まとめ*





 さて。その後の高新はと言うと、二人してぐちゃぐちゃに敷かれたお着物の上にいますね。どうやら一回目が終わった後にちゃんと着物を出してお布団代わりに敷いてたようなんだけど(もちろん新八くんがな)、そうやって二人でいちゃいちゃしてましたらまた欲情して、二回、三回……と情を重ねたと。
だから今の二人はもうマッパでごろごろですね、二人の背に敷かれたお布団代わりのお着物なんざぐっちゃぐちゃですね。その乱れざまが情事の激しさを物語る。



「何でこんな事になったんですかね……てかお尻痛い、ヤバい……」

はあ、と疲れたようにため息を吐く新八くんは既に三つ編みの付け毛も取れ、着ていた筈の女子のお着物も晋助に剥ぎ取られ、今は完全に素の16歳男子の顔。

それに、

「俺が知るか、阿呆……テメェのせいだろうが……」

ふう、と同じく息を吐いて返事をする晋助は気怠い顔で、その辺に散らばった己の着物の袂からゴソゴソと煙管を探している。最中はあまりにも夢中で何も気付かなかったが、とりあえずもう隣りに新八くんが居ても欲情はしなかった。

だけど小半時もこのままで居たら、それはその、またどうなるか分からなかった(若さ)



「結局、何回くらいしました?三回くらいしたのは分かるんですけど」

掠れた声で尋ねる新八くん。

「さァな。俺もその辺から覚えてねェからな」

曖昧な記憶を辿る晋助だったが、思い出すのは四つん這いにさせた新八くんの白い背中だったり、その内腿にさんざっぱらキスマーク付けた事だったり、しまいには恥ずかしがる新八くんを上に乗っけて、

『こ、こんなの嫌ぁ……』

と言いつつも目の中にハートマークを浮かべて全然嫌がってない新八くんを下から攻めてたり、グリグリしてたり、色んなバリエーションで愉しんだことくらいだった(二人してノリノリかっ)

つまりは二人して性欲の虜と化してた高新(そんな高新もいい)



だけど新八くんは情事後の気怠げな晋助の横顔を見て、きゅん……と淡く胸をときめかす。好きって自覚して初めてセックスしたからか、何故か物凄く良かった。それまでももちろん気持ち良かったけれど、つかの間抱き合うだけのスポーツみたいな今までのセックスとは全然違った。

だって身体が合うってこと以上に、自分の心が晋助を求めてると初めて分かったから。


「高杉さん……」

だから知らず知らずのうちに晋助の身体に擦り寄って、汗ばんだ肌をくっ付けている新八くん。目はハート(隠しきれないラブ心)

そんな素直な新八くんの様子に、

「………あ?どうしたテメェ」

訝しげに眉をひそめつつも、もう疲れたので新八くんの好きなようにさせておく晋助。でも気怠げに煙管を咥えて、片手では新八くんの肩を抱いてますけどね(こちらも隠しきれないラブ心が)
そしたら新八くんも抱き寄せられて嬉しいから、

「……へへ。暑いとか何とか、いつもみたいに文句言われると思ったのに。高杉さん、今日は何も言わないんですね」

こっそり笑いながらも隣りの晋助を堪能ですよ。スリスリしております。

だって前は後戯なんてほぼナシで、晋助が射精したらさっさと離れてるパターンも多かったのに(今更ながらどんなだよ晋助)、今はまるで恋人同士のように肩を寄せ合ってセックスの余韻に浸ってる訳ですよ。

そりゃあ新八くんもラブです。キュンキュンです。抑えきれないラブが、その幸せそうな笑顔に溢れ出てます。




でもね、そんなやってゴソゴソ寝返りうってましたら。

「……あ、ヤバ」

新八くんのお尻の狭間をつうっと伝う、生暖かな感触。そりゃ何回も何回も中に出されたので、掻き出しておかないと新八くんのお腹が痛くなっちゃうやつですね。

前までは終わったら即座に厠に駆け込んで自分で処理してた新八くんなのですけど、でも何故か今日はまだ晋助に引っ付いていたくて、何ならお腹痛くなってもいいか……とすら思えてくる不可思議です。それよりくっ付いていたい、余韻を楽しみたい気持ちを優先。

だからとろとろ溢れてきて内腿に流れた残滓を指で掬い、新八くんはふっと苦笑した。

「まったくもー……中に出すなっていつも言ってんのに。僕が本当に女の子だったらどうするんですか?絶対今頃赤ちゃんできてたよ」

文句とも言えない新八くんの優しい声に、仕方ないなあって風情の呆れたような声に、晋助は煙管を咥えたままピクリと片眉をあげる。
図らずも今新八くんが言ったことは、さっきの己がうっすら考えた事と同じような内容だった。


二人に秘密の関係ができてから、確かにもう数ヶ月にもなる。その間にどれだけセックスしたか知れないですからね、どれだけ内緒で抱き合ったか分からない。だから本当に新八くんが女子だったら、多分今頃は。



「テメェが女だったら……いつか、テメェに俺のガキを産ませてたかもしれねェな」

吐き出す煙と共にふと呟いた声は、ほとんど無意識だった。そして言った後にハッと気付き、何言ってやがんだ俺は、馬鹿か、と心の中でだけ取り乱す晋助(外見はただ黙ってるだけ)

そんな晋助の言葉に驚いたように顔を上げる新八くん。


「え?僕に?アンタ、子供とか大嫌いって感じなのに」
「勘違いするな。ガキなんざ俺ァ好きじゃねェ。ただ……テメェの産むガキなら認めてやる」

驚きを隠せない新八くんから極限まで顔を背けて、なのにやはり高飛車に晋助は言う。

「お前だったら……ピーピー小煩くてかなわねェが、お前ならずっと俺の側に居てもいい」

ポツリと落とされた声は小さくて、なのに真剣で、一気に新八くんの頬を赤く染めさせた。

今は戦乱の最中で、明日にも命が失われてしまうかもしれない。それは晋助であり、新八くんでもあるかもしれない。いつか、いや明日にでも離れ離れになってしまうかもしれない。だからこそ、敢えて思い描かないようにしてきた。

二人の“これから”のこと。



「え?……そ、それって?それって何?どういうことですか、僕とその、ずっと一緒にいてもいいってことなんですか?この戦が終わっても?」
「…………」
「えええ!?もうだんまりですか!?そりゃないですよ!詳細を語れよ、分かるように教えてくださいよ!」


ガバッと身を起こした新八くんにぐわんぐわん揺さぶられても、どれだけ言い募られても、もう晋助は返事をしない。やはり極限まで顔を背け、唇を固く結んで、瞳孔を若干プルプルさせながら、明後日な方向を見てるだけだった(晋助っ)

だけども、そんな身にならない応酬を散々続けた後で。



「でも、僕……女の子じゃなくて良かったって思いますよ」

落とされた声に晋助がようやく視線を引き戻せば、そこにはにかっと屈託無く笑う新八くんの笑顔がある。

「そりゃあ女の子にしかできないことも多々ありますよ。赤ちゃんを産むとか……でも、もし僕が女の子だったら、こんな風には戦場で戦えない。高杉さんや銀さんと一緒の場所で剣を持って、闘えない。だから僕、男で良かったです」

新八くんの今の言葉には一点の曇りもなかった。心からそう思ってる事がわかる、晴れ晴れした笑顔。

その笑顔にきゅうっと胸が引き攣れたような感覚を覚えて、晋助は不意に胸を押さえた。


「……ああ、まあな。テメェが女だったら多分……俺はテメェを極力誰にも見せねェ。どこかに囲っておく。それで俺のガキを、」
「いやだから、怖いですってば高杉さんのその発想。ヤバいでしょうが、何そのヤンデレ。ツンデレのみならずヤンデレも標準装備ですか、僕を軟禁する気ですかアンタは(真顔)」
「チッ…………つまり、テメェが男で俺も良かったって事だろうが。それくらい分かれ阿呆が。テメェはどこまで行っても頭が足りねえ」
「おいィィィィ分かんねーよ!?そんなキレ気味に言われたところで、僕にアンタの機微なんて分かるはずねーよ?!」



だからいつものように言い争う中でも、晋助は思った。分かってしまった。

「(どれだけ俺に執着され、軟禁されたところで、テメェはその檻なんざぶっ壊して出て行っちまうに決まってらァ。いつもみてェに小煩く騒いでな)」

それは新八くんが男の子だろうと、女の子だろうとも。

「(テメェは自ずから自分の行きたいところを目指す。自ずから護りたいものを見つける……そんなお前だから、俺は)」



 ただ自分の望んだようにだけじゃなく、周囲から望まれただけでもなく、新八くんには新八くんなりの『護』がある。それは新八くんの中では絶対。死んでも譲れない部分。たとえ晋助の事を好きでも、愛してても、そこは譲ってはくれない。
絶対に、誰にも譲れないであろう侍の信念。新八くんを真に生かし続けている魂の核の部分。

普段の新八くんは戦場へ出てもまだまだ動きは足りてないし、剣の腕も晋助には程遠い。だけど、そんな『核』の部分がたまに新八くんの中に見え隠れするから、誰にも譲れない己の魂をチラつかせてくるから、

いつもは幼いだけの瞳の中にも、凛と燃える炎の片鱗がまざまざと垣間見える時があるから、

そんな瞬間はいつも晋助の心臓はドクンと弾む。
そして欲しくなる。その光を、自分のものにしたくなる。どうしても。


でも、そもそも自分のものになんかできるか?って話でね。できないでしょうね、新八くんだしね。
そりゃあ新八くんは晋助を受け入れてくれるし、包んでくれるけども、じゃあテメェの信念を捨てろってのは、晋助だって言わないだろうけどもさ、もしそんなんを言ったとして、

たとえ高新は高新で愛し合ってるという前提があったとしても、

そこだけは絶対ェに言う事聞きゃしないでしょうよ。新八くんは。いつもは凄い物分かりいいのにね、温厚なのに。

そうそう、新八くんは晋助を受け入れてても自分の核となる考えは曲げない子なのですね。とことんね。
頑固な若侍なのですよ。


そこが晋助にはクソ生意気に見えるし、テメェの分際で、と晋助に毒突かせる所以になってるね。弱えくせに、ガキのくせに、この俺に盾突きやがって……何でもいいけども、晋助がむやみに新八くんを身体で捩じ伏せるのもそこに一部起因している。

まあ新八くんに首輪でも付けて自分に繋いでおければ楽なのだろうが、そんな事をしても新八くんは首輪なんてぶん投げて、どこかへ行ってしまうのです。

いつぞやの夜、自分なりの信念を持って晋助の陣羽織をきっぱりと突き返してきた時のように。


自分の行きたい場所へ。新八くんは、ちゃんと光の射し込む方へてくてく歩いていく。
お日様のある場所をちゃんと目指す。




新八くんは絶対に自分の思うようにはできない。




でもそんな新八くんだから、きっとこんなにも自分は惹かれている。
思うようになんて絶対にならないからこそ、手放し難く、あの光にひどく執着してしまう。



誰にも渡せないと、心から渇望する。





(だから俺は──……)



お前に惚れたのだろう、と。




その想いがストンと胸に落ちた瞬間、晋助は急にプツンと声帯をオフにして黙った。そしてまじまじと傍らにいる新八くんを見つめた。

「……な、何ですか。そんな風にしてまじまじ見られると気恥ずかしいんですけど」
「いや……テメェはいつ見ても間抜け面だな。俺の心がどう動こうとも、それは変わりねえな。逆に安堵の気持ちを覚えるな、テメェの間抜け面は……(ふう)」
「どういう意味だコルァァァァァァ!!どんだけ失礼かよ!?ふざけんな!」


でもどれだけ憎まれ口を叩いても、もう晋助にも分かっている。この想いの在り方。源。その意味。

いつからなんて分からない。ただ気付いたらもう、こんなにも手放せない想いがそこにあった。もう見て見ぬ振りなんて、到底できなかった。

だからその想いごと、新八くんを闇雲に抱き締めた。


「わっ」
「……新八」

耳元を掠める熱い吐息に、自分を呼ぶ低い声に、新八くんの頬にはたちまちカァァと赤みが差す。


「えっ?……う、うん。何ですか?どうしたの?アンタが僕の名前呼ぶなんて珍しいですね……」

でも晋助はそれには答えなかった。何も答えず、何も言えず、ただずっと目の前の少年を抱き締めているだけだった。

Many Classic Moments27

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