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幼稚園

李奈side

「だって!そるとが!!」

「おたべがわるいんだろ!!」

ポコポコ、そんな擬音が似合うぐらい弱々しく可愛らしい殴り合いの喧嘩が繰り広げられる

こんなの日常茶飯事の出来事だから皆しれっとした顔で静かに絵を描いてる

「はいはい、二人ともどうしたの?」

「そるとがゆいがつかってたくれよんとったんやもん!!」

「はるかのくれよんなんだしいいだろ!!」

確か昨日は、ブランコの取り合いで喧嘩してたっけ?

この二人はいつも喧嘩していつも殴り合ってるのに、毎日一緒に遊んでるんだから・・・

笑っちゃうよ。

「喧嘩しないのー先生の貸してあげるから、ね?」

「はるかのがええもん!」

「どうして?」

そう聞けば照れたように顔を真っ赤にして、もじもじと喋る

「はるかのやから、はるかのくれよんやからつかいたいん!!」

ってなぜか逆ギレされちゃう。

「ゆい・・・、しょうがないなーかしてやるよ」

そう言ってクレヨンのケースごと由依ちゃんに押し付ける

「ええよ、いっしょにつかお?」

「うん!!」

あとで完成した絵を見てみればお互いの絵を描きあってる、可愛い絵。

遥香ちゃんのほんのり茶髪な色も由依ちゃんの綺麗な漆黒色も

ほんと、あのふたりって見ていて和んでくる


相思相愛なくせに素直じゃなくて、喧嘩しても嫌われたら?、ってすぐ不安になって・・・

愛情表現が下手なふたりはいつも喧嘩ばっかり

でも知ってるよ

それが精一杯の愛情表現なんだって。

マジすか長編企画第16話

ソルトside

「話って?」

安らかに眠るおたべのそばで私の顔つきは嫌に神妙だった

「今でも驚きを隠せない、」

今言ってしまおうか?

間違いなくこいつの人生は狂ってしまうだろう

でも・・・大切だから・・・こそ、間違った人生を歩んで欲しくない、

お前がやってしまったことは平謝りなんかじゃ済まされないだろう

けど。

おたべなら分かってくれるはずだ

理由なんて分からないし分かりたくないけど廃校にしなきゃいけない理由が


あんたは昔っからそうだ。

やらかす時は必ず理由があるはずだ・・・そうだろ?

「あんただったんだな・・・黒幕は・・・」

「白露・・・いや、優香」

悲しそうに呟いた私に困ったように笑った優香が口を開きかけた

「あーぁばっかやなぁ、部長さんも。なんで白露が黒幕なん?」

「優香の・・・、なんでもない」

寒露のフォローを遮り優香がいっぽ前へでた

「ほんとに・・・私だと思ってるの・・・?」

「どうなんだ」

一瞬うつむき顔をおおったかと思えば、今まで見たことが無いぐらい冷めた目でじっと睨んできた

「あーあ・・・・・・。バレちゃった」

その深くどす黒い声には思わず背筋が凍りついた

こんな優香、見た事ない・・・

「踊らされて、転がされて・・・面白かったよ」

「っ・・・」

なんだよ・・・


いきなり。

「おたべも馬鹿だよなぁ、あたしがやばい事に手突っ込んでんの知ってんのに助けんだからよ」

口調も雰囲気も声も顔立ちも

全く変わってしまった、私の知らない優香

「なんで・・・おたべを刺したりした」

震える声を必死に耐え、爪が刺さるぐらい手のひらを握りしめた

「誰でも良かった、別におたべじゃなくたって。誰かが死んでくれたらそれで」

その瞬間、熱く鋭い鈍痛が拳に走った

「っつ・・・、あぁ?!」

優香の事を殴ったこの手より、いちばん

心が痛かった

「っざけんな!!誰かが死ぬとか、そんな軽いもんじゃねえだろうが!!」

胸ぐらを掴み拳をひいた


その前に守るようにたちはだかったのは寒露だった

「辞めろ!」

「人が、刺されてんだ、しかもこんなふざけた理由で!」

「ふざけた理由じゃねえ!!白露の親が」

言いかけた寒露に優香が手をそっと出した

「言うな」

「で、でも!!」

ぽつりぽつり呟くように口を開いた白露

なぜおたべを刺したのか、事を大きく見せたのか、廃校に仕組んだのか
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