あきちゃんもまっくすさんが好きだったんです。
やっと土曜日フェリーで彼女から聞けました。
──しぃちゃん、ごめんな。うちもずっと先輩のこと好きやってん。
でも私はそのこと何となく感づいてたから
『うん..やっぱりね』
って確認した程度で全然驚かなかった。
ただ私は罪悪感でいっぱいで。
私は8月の学生選手権のときにまだ曖昧な自分の気持ちを彼女に相談してしまった。
『私、まっくすさんのこと好きかも』って。
それを聞いてあきちゃんは自分の気持ち押し殺してまで他の好きな人を作ろうとした。
秋学期になって
『しぃちゃん聞いてぇ、うち好きな人ができたかもしれへん
』
って嬉しそうに言った彼女を私も応援するって言ってしまったけど、やっぱりそう簡単に『好き』なんて気持ちを変えられるはずがない。
もぅ大丈夫だ、と思ったのに辛いとき先輩の優しさにやっぱり他の人好きになるのは無理だったんだな、って感じたらしい。
聞いててそこまで彼女を意識的にしろ無意識的にしろ感情を殺させてしまった自分に言葉が出なくなった。
・・仕方ないよ、
あそこまで優しくされたら好きにならん方がおかしいもんね。
笑うしかなかった。
ずっと言えなかったこと言えてスッキリしたんだろう、その日早めに彼女は寝てしまった。
私は何処でもすぐに寝られるのが取り柄のSiestanなのに全然眠れなかった。
眠れなかった原因に船が揺れてたのもあるけどさ。
今度は甲板に夜中に一人で出て、明けない空を寒い海風の吹く外で眺めてた。
気付いたら上から下まで体が冷えきってて、それでも私は中に入らなかった。
そのときの体はまるで内の世界のことなんて忘れたみたいだったんだ。
・・つづきます