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『雨下の雌野良猫』

雨が
降っていた

その野良猫は

屋根のある場所に居た

「居ても良いよ」

なんて
許可をされた事はない

ただ
追い払われもしないから

そこに居る



寒くなれば
恐る恐る
人に寄る

悲しくなれば
怯え怯え
人に寄る

ハッキリとした
許可をされた事はない

だが
今は
許されているのだと
思うのだ



時は流れる

まるで
九つの命など
無意味と言う様に
野良猫を飲み込み

彼女の声を飲み込み
彼女の安らぎを飲み込み

時は
流れる

「失いたくないよ…」

小さな声で鳴いた

「行かないでよ…」

逆戻りとは呼べない

飼われた事など
無いのだから

また
雨が降り出しそうだ

いつまで
ココに居られるだろう?

いつ
また
放り出されるだろう…

強いフリして
牙を剥いた

強いフリして
爪を磨いだ

フリをしきれなくて





雨に濡れた…




『迷い子のウタ』

雲間に見えた月光

ふと、また
暗雲に掻き消された

真っ暗闇の中

自分の方向すら見失い

オロオロするも
相変わらず先は見えない

擦り切れた靴

歩き疲れた足

そのままで
ボクはどこへ行くのだろう

月の光が眼に染みた

だから眼は涙を流す

月の光は雲の中

それなのに眼は涙を流す

行く宛も無く

右も左も解らない

温もりも無く

自分の正体も解らない





ただ、一つだけ解るのは

月光に包まれたいと

導きの光が欲しいと

ただ、それだけである

『行く宛無き、月下の夜』

暗雲に包まった
銀光の満月

その顔は解らない

しかし

我が心は掻き乱されて

悲しく嘆き
憤怒に苦しむ

温かさを求めるも
声は無し
気配は無し
便りは無し

冷た過ぎる銀光

美し過ぎる満ちた月

だからこそ
今宵の月は強過ぎて

故に姿を隠しているの…

何処に行こうか

何処に逃げようか

私の泣き場はあるだろか?

私の居場所はあるだろか?

『硝子越し』

眼には見えない壁が有る

きっと
それは透明な硝子板だろう

向こう側は見えているのに

手を伸ばせば
ガツリと拒まれてしまう

硝子の向こうに
貴方を見た

麗しい蝶
芳しい花

そんな物すら
色褪せてしまう

私にとっては
そんな…

解っていながら
私は手を伸ばす

ガツリ

ほら
またぶつかった

しかし、どうしても
貴方に触れたくて
貴方を求めたくて

何度も、何度も

見えない壁に阻まれながら



ふと
そんな私の幼稚な遊戯に
貴方は気付いた

振り返った貴方は
やはり
美しく見えた

見えぬ壁に
互いの手をそっと重ねる

感じるハズもない
そんな温かさ

感じるハズもない
そんな柔らかさ

偽りの戯れ

しかしながら
私のココロは
ほんの少し
満たされるのだ…

『共有時間』

「はじめまして」
で始まって

同じ時間を過ごした時を
指折り数えてみています

「こんにちは」

「ご無沙汰してます」

「お元気ですか?」

そんな前置き並べては
共にいられる時間の数を
指折り数えてみています

何時何処で
出会えましたね

何時何処で
笑いましたね

何時何処で
励ましましたね

何時何処で
涙を流しましたね

光の矢となりて
ヒュイッと過ぎ去る無常

そんな中
私達は出会えましたね

それだけが
私の喜び
私の宝

貴方は私の宝物

そんな思いを抱きながら
一緒にいられる時間を
指折り数えてみています

永遠、永久
知らない私も
ついつい数えてしまいます

「さようなら」

そんな言葉は要りません

これから…
悠久の時とは言わなくても

無限の時とは言わなくても

有限の時でも構わない

一緒にいられる
それが私の願いです

嗚呼、だけど
出来る事なら限りなど
付けずに歩める
そんな許可を…

有限などとは言わないで

共に居ても良いと言う
そんな長い、長い時間を
どうか
こんな私に下さいな

誰より上手に喜びます
誰より上手に大事にします

そんな願いを隠したまま
残りの時に怯えながら
私はこれ迄の時を
指折り数えてみています

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