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『ゴミ捨て場』

夜の雑踏

声掛けるものもなし

右へ左へ

ビルの谷間に
居場所を作って

ぼんやり

人波

車の往来

眼に映して
暇つぶし

飼い主なんかいやしない

居場所なんかありゃしない

そんな小汚い野良猫一匹

だけど…

不似合いな服装の木偶人形

不恰好な道化

騒音を撒き散らす鉄屑

感覚マヒした偽り娼婦

行ったり来たりを
見送れば

少しは自分が
好きになる?

少しは自分が
マシになる?

居場所を無くした
ドブ猫なのに

温める手も
迎え入れる胸もない

そんな汚い
ドブ猫なのに…

「今夜も」
「星だけは綺麗だね」

『幻影愛撫』

幻影にすがるように

微睡んだ思考は
貴方の幻にすがりついた

慰めておくれ

許しておくれ

泣き叫ぶように
擦り寄せた頬は
北風につんざかれる

見えぬ血が体外に溢れ
心は深紅に染まり行く

貴方に
触れる事が出来たなら

貴方が
今一度私を許してくれたら

こんな激痛は走らない

こんな不安は襲わない

貴方の声は遠く
貴方の温もりは遠い

今一度
この頼りない体を支えてよ

今一度
この情けない心を支えてよ

泣き叫べずに

今宵も
想いを月光に託して…

『シラトリ』

白鳥が
宵闇をぬって飛んで行く

真っ暗空の
一つの点を頼りに

白鳥達が
宵闇の中、飛んで行く

三角を描いた白い線

コウコウと響く声音

悠々と
今年も
湖面に浮かびに来たか

水面の下では
バタバタと忙しなく踊り

今年も
冬を連れて来たのか

『天花涙』

散り散りになった花弁

天から舞い落ちてくる

へたり込んだまま

見上げた瞳には

まるで

雪のように映った

「慰みになるならば良い」

聞こえた…

気がした…

誰かが零してくれた

小さな小さな光

チラチラと頬に触れ

いつしか消えていく

「さよなら…」

小さく呟くも許されず

後から

後から

尽きる事なく

ハラハラと散り散りの花弁

舞い落ちてくる

『冬夜行脚』

際立つ冬夜

静々と

頼りない足元

蛍よりぼんわりとした灯り

行く先照らさぬ

ぼんわりとした灯りのみ

たよりなく

たよりなく

前へと進まねばならぬ

そんな冬夜

空いた片手は

ぎゅと結び

空いた傍ら

決して見ず

貴方を探して

今宵も行こう

独りの道は

変わらず冷たく

貴方を想えば

ただ淋しくて

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