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『虚勢をはるのです』

あの日
僕は楔であった

あの日
僕は鎹であった

両側から引き千切られ
錆付いた躰は散り散りに

そんな欠片を集めて

今の形に仕立てたのは
間違いなく
貴方であったはずなのに

完成した形を
貴方は
完璧だと思いますか?

見捨てないで
捨てないで

子供のように
泣きじゃくりながら
暗闇に溶けてゆく感覚

出来損ないと嘲るなら
どうか
その愛しい手で壊して

そのままは
愛してもらえず

だからこそ
変わってみせると

私は
錆付き 砕けた躰のまま
また虚勢をはるのです

『越えた骸の先に』

知りもしない

知られもしない

そんな小さな
泡沫の物語

あの日
私は鬼に嫁いだ

押し掛け女房とでも
申しましょうか

残念ながら
種族違いの私らに
子供は生まれませんで

だから
愛しい赤子は
お人形

幸せぶって
笑って見せた

子供同士の戯れ
無邪気な鬼ごっこ

オニサン、コチラ
テノナルホウヘ

何度となく夢に見た
貴方は
幻でしたから

私らの可愛い赤子は
お人形

幾年月夢を見た

叶えたくて
遠路遥々 御百度参り

笑ってしまうお話

鬼を救いたくて
神に縋った

手を合わせては
泣いてしまうようなお話

誰も知らない

誰にも知られない

泡沫の夢を
見続けた女の末路は


新たな時を迎え

私らの
愛しい子供は

こんなに大きくなりました

『夢の屍と新たな夢』

薄紅色した魔法の言葉

内包したまま
艶めく唇

夢の屍乗り越えて

いつか
無数の花となる

笑ってしまうような
新たなる夢

叶うとも知れず

ただ
君を待ちわびている

周りに咲いた花達には
きっと伝わらない

そんな
儚い夢を見る

今までに投げ出した
無数の夢の屍

睡蓮が咲く音

あの日の夢は
儚く散り逝くも

新たに見る夢は
どうか
大輪の花を咲かせて…

そう願いながら

ただ
君の隣を歩く

それすらも
きっと

夢の一つなのかも知れぬ

『届いてはいない』

綺麗な空に憧れ

綺麗な光に憧れた

だから
手を伸ばしただけなのに

どうやら
僕には届きもしないらしい

高嶺の花は
こちらに一瞥

優しい笑みに
ただただ
魅せられて

君のためなら
どんな苦難も乗り越えよう

君の願いなら
どんな困難にも立ち向かう

信じていたい

待ち侘びていたい


しかし
時は無常に流れ

時は無情に過ぎ去る

あの日見た
幻の様な幸せの瞬

君は
何も知らない

何も知らない

綺麗な空に憧れ

綺麗な光に憧れた

だから
手を伸ばしてるだけなのに
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